閑話3
んーどうなんだろうか
「おい知ってるか?阿修羅が召還獣を手に入れたってさ。」
大学の一室、そこにはVRMMOのプレイヤーたちが雑談をしていた。教室を入って左、そこがタナトスオンラインの雑談の場所であった。昨日のことだというのにさすがはVRMMO科の生徒、情報収集に抜かりはない。阿修羅のギルド『モノトーン』は設立した瞬間に公式に掲示板が立ち上がり、情報通でないプレイヤーにもその日のうちに知られた。前々から噂されていたことであるため、その話題はすぐに終わった。
そこで次に話題になったのはギルド設立時、阿修羅の後ろに控えていた2人の少女のことだ。黒のローブに赤い大鎌を持つ阿修羅。の後ろにモノトーンのように色のない少女、しかも身に似合わぬ2mもの大鎌を持つ少女が2人ともなればさぞかし目立ったことであろう。多くの人はプレイヤーかと思いサーチをするとそこに記されたのはLV84というプレイヤーではないことを記す証拠であった。
しかしその形が人であること、さらに2つ名を持っていることから召喚獣であることを疑う人があとをたたなかったが、結局未開のクエストの報酬ということで掲示板は落ち着いた。
「知ってる知ってる。でもあれってプレイヤーじゃないの?女の子だし。2つ名あったし。」
モンスターで2つ名を持つものはいないため、2つ名を持っているのはプレイヤーのみというのがタナトスオンラインの常識となっているためその疑問は何らおかしくない。
「俺も見たけどさ、LVが阿修羅と同じだったから召喚獣じゃねぇの?どう思う?光」
するとなぜか俺に話が回ってきた。知らないとはいえ自分のことを話されていると思うと結構恥ずかしいものだ。
「何で俺にふるんだよ?」
恥ずかしさをごまかすようにおれはそう答える。
「だってさーお前自分の情報まったく話さないじゃん。みんなLVくらいは話してるのにさ。」
LVはいちおう50LVくらいというふうに通している。80LV代なんていった日には人物特定もいいとこだ。めんどくさいことこの上ない。
「だからいってるだろ50くらいだって。」
いつものようにごまかす。
「それダウトー。」
すると葵が急に話しに入ってくる。いままでこうごまかしてきたことあってさすがにはっきり嘘だといわれると動揺する。
「なんでそうなる...」
額に汗をが垂れる。
「だってあんたクローズドプレイヤーでしょ?阿修羅ほどは行かなくても70LVはいっててもいいでしょ。正直に話せばいいのに嘘見ると有名プレイヤーかな。」
当たりだ。つい最近のことを思い出しそのときの自分を殴りたくなる。最近大学へ行くときはたいてい葵と一緒だ。そのときはログアウトしたばっかということでぼぉーっとしてるうちについ口を滑らせて自分がクローズドテストのときからやっているといってしまったのだ。そのときに葵も同じクローズドプレイヤーだと知ったのだが...
「それなら霧島もだろ。そういうお前も話してないじゃないか。」
とりあえず自分のことは棚に上げて、小さな反撃に出る。
「ん?私?もちろん70LV代だけど?」
なんてことだ。こんなにあっさり認めるとは思ってなかったため半ば呆れる。
「おいまじかよ。70LV代のプレイヤーなんて名の知れてるやつしかいないぞ。ってか光と葵って全国で20個しか当選枠がなかったクローズドプレイヤーかよ。まじで二人ともなんなんだよ。」
そうクローズドテストの応募は少数先鋭という方針の下行われたため、MMO経験や一日のプレイ時間など細かい質問に答えることによって厳しい選考が行われた。そのためクローズドプレイヤーはクローズドテストの報酬として、クローズドのデータをそのまま引き継いでいる。
「はぁー詮索はなしって前きめただろ。それよりも次のアップデートファイル更新されたって?」
とりあえず入学時に決めたルールを引っ張り出し本題に移らせる。
「あーそうだった。これが資料だ。こりゃいろいろと変わるぜ。」
タナトスオンラインVer1.82
新2つ名を150種類追加しました。
新アーティファクトを20種類追加しました。
新MAP極東の砂漠『グラスナダ(推奨LV75)』、オアシス都市『アクロポリス』、砂漠地下遺跡『カタコンベ(推奨80~)』を実装しました。
新システム職業を実装しました。
職業に就くことでそれぞれにあったパラメータに補正が入ります。また職業の種類は次のようになっています。基本ジョブへの転職はグラティウスの転職棟にて転職可能です。
ファーストジョブ(10LV~)
ナイト マジシャン スカウター
レンジャー テイマーズ
技術者 鍛冶屋 商業者 料理人
セカンドジョブ(50LV)
ナイト派生
バーサーカー キーパー
マジシャン派生
メイジ クレリック
スカウター派生
アサルター
レンジャー派生
ワイルドハンター
テイマーズ派生
マスターテイマーズ
サードジョブ(80LV~)
ComingSoon...
戦闘職にはこれらのほかにシークレットジョブ、ユニークジョブも実装します。
シークレットジョブ
クエストをすることにより転職可能になるジョブ。基本ジョブよりも能力値は高いですが転職する場合、ジョブスキルのみしか使えなくなります。
ユニークジョブ
2つ名やユニーククエストなどの条件を満たすことによって転職が可能になります。能力値の補正は職によって違いがあります。また職1つにつき1プレイヤーとなります。ユニーククエストの受注は1つにつき1人のみです。プレイヤー受注中は他プレイヤーの受注は不可能となります。なおユニーククエストにはそれぞれ期限があり、達成できなかった場合ペナルティーを負いますので注意してください。
サードジョブに関しましては次回アップデートでの実装となります。なお転職LVを超過している場合でも転職は可能となっています。職業スキルはメルキルやEXPを消費することで取得できます。
「んー職業かー。まぁあって困ることないけどねー。これいつ実装だっけ?」
いままで職業がなかっただけあってこのアップデートはかなり大きい。今でさえすべての2つ名が明らかになっていないため、職業にも隠し要素が多くありそうだ。それにメルとリルのこともある。プレイヤーでも召喚獣でもない彼女らが何なのかも気になるところである。
「たしか来週の金曜だな。その日1日はサーバーも停止してるからINはできないな。」
さきほどから情報報告をしているのは黒木螢。VRMMO科タナトスプレイヤーの情報通ってところだ。身長は俺と同じくらいで黒縁の眼鏡を掛けている。眼鏡を外せばそこそこイケメンの気がしないでもない。アップデートの内容は言えないような方法で仕入れているらしい。ゲーム内の情報もお手の物だ。
「そうか。やっぱり気になるのはシークレットジョブとユニークジョブだよなー。」
やはり隠しやら、自分だけっていうのには憧れるものである。
「ん?一部しか手に入らなかったが見てみるか?」
そういって螢は俺に紙を渡す。
が、
「おい、これなんだ?」
そこにかかれてたのはわけのわからない数字の羅列だった。
「ん?シークレットジョブとユニークジョブだけど?」
螢すこし微笑みながら言う。こいつ、確信犯か。
「はぁーまぁいいや、どうせ来週にはわかるし。」
しかし職業か。いままではなかったがなかったからこそあった自由さがなくならないかが心配だ。いままでは職業という概念がなかったため魔法系と物理系の両方を育てたり出来ていたわけだ。それが今回の仕様変更で不可能になったりしたらそういったプレイヤーはどうなるか...
まぁそこらへんも考えてあるだろうと結論付け今日も大学から直でヴェルメルに向かう。