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絶望の箱庭~鳥籠の姫君~  作者: 神崎 ライ
第1章 運命の始まり
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第8話 ワールドエンドミスティアカデミー

 突如現れたフェイにより襲撃された冬夜。突如、覚醒した魔力が暴走し、、意識を失ってしまう。その後、駆けつけたリーゼと()()()()()()()()()学園長により、学園の医務室へ運びこまれた。

 常勤医の診察によると目立った外傷はなく、急激な魔力枯渇により意識を失ったと診断された。



 数時間後、目を覚ました冬夜の視界に映ったのは見知らぬ部屋の天井だった。


(ここはどこだ? たしか待ち合わせ場所に向かって森の中を歩いてたよな? 突然、フェイとか言うヤツに襲われて……吹き飛ばされて意識がもうろうとした時に不思議な声を聞いたような? あ! そうだ、左肩は? あれ? 傷がない?)


 ぼんやりとした微睡みの中、自身に起こったことを思い返す。フェイに撃ち抜かれたはずの怪我の痕跡がないことに困惑していた時、出入口の扉が開いた。


「もう起きられるようになったのね。身体の調子はどう? 気分は悪くない?」

挿絵(By みてみん)

 開けられた扉から差し込む光が、少女のポニーテールにした透き通るような銀髪を際立たせる。整った容姿はまるで美少女ゲームのキャラクターが現実に現れたかのようで、冬夜は完全に目を奪われた。少女がクスっとほほ笑むとコバルトブルーの瞳が細められる。それを見てハッと我に返り、慌てて平静を取り繕うかのように声を絞り出す。


「ま、まだ頭がぼんやりしている。ところで、あんたは誰だ?」

「自己紹介が遅れたわね。私はリーゼ・アズリズル、あなたを()()()()()()()()()()、この学園の生徒会長よ」

「あんたがそうだったのか。俺は天ヶ瀬冬夜(あまがせとうや)

「冬夜君ね、これからよろしく。私のことは『リーゼ』と呼んでくれて構わないわよ。色々あって待ち合わせの時間に遅れちゃって……ごめんなさい、私が間に合っていれば……それよりも起きられる? 起きたら学園長室に連れて来るように言われているから、一緒に行きましょう」

「わかった、すぐ起きるよ。ところで、俺は左肩を撃ち抜かれたはずなんだが……」

「それについては、私が説明しても納得しないでしょ? 学園長を交えてゆっくり説明するわね」


 冬夜はベッドから身を起こし、何事もなかったかのように服のしわを伸ばし始める。その様子を見てリーゼもようやく安堵したのであった。準備が整うと、学園長室に向けて長い廊下を二人は歩き始めた。


(リーゼって意外と背が高い……俺と変わらないな。ここが学園か……俺のイメージとずいぶん違うな……まるで城か美術館みたいだ)


 ワールドエンドミスティアカデミーは今まで冬夜が通ってきた学校と大きくイメージが異なった。コンクリートの無機質な感じはいっさいなく、中世ヨーロッパの城内を想起させるような造りとなっている。広い通路にはアーチ型の大きな窓があり、そこから外をみると、よく手入れされた庭園が広がり、噴水の向こうにグラウンドが見える。更にその奥に広がるのは濃い霧に包まれた森だ。


「こんな森の中にずいぶん立派な学園があるんだな」

「そうね。霧の中にあるおかげで外部と切り離されているから。そちらの世界からくる人間にとってはいろいろ珍しい物ばかりでしょ?」

「そちらの世界?」

「この世界は二つの並行世界で成り立っているということはご存じかしら? 冬夜君がいた現実世界ともう一つの幻想世界。この説明は……後ほどゆっくりね。ほら、着きましたよ」


 リーゼに促されて顔を上げると、目の前に『学園長室』と書かれた部屋。重厚な扉をノックすると室内で待つ人物へ声をかける。


「リーゼです、冬夜くんをお連れしました。入ります」


 中の人物へ伝えると扉を開ける。すると窓際に立っていた男性がこちらを振りむき笑顔で話しかけてくる。


「学園を代表し歓迎しよう。ワールドエンドミスティアカデミーへようこそ、天ヶ瀬 冬夜くん」

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― 新着の感想 ―
いや……めっちゃ良いじゃないですか……。 リンク開いた瞬間びっくりしちゃいました。 良い意味で「なろう」らしくないというか、どっしり構えた作品ですね。すごく好みです。 これからも読み進めて行きます。
[良い点] 色々な登場人物の思惑が渦巻いていて、 これからどうなるんだろう、が尽きない作品ですね! 最後には綺麗さっぱり、すっきりするのだろうと勝手に思っています(笑) イラストも可愛いですし、物語…
[良い点] リーゼさん、めっちゃ美少女!( ु ›ω‹ ) ु♡ 銀髪は正義!!
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