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絶望の箱庭~鳥籠の姫君~  作者: 神崎 ライ
幕間②

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閑話 ソフィーの一日(中編)

 午前のソフィーが頼まれている仕事は多岐に渡る。資料を職員室から頼まれた各教室へ配達、先生の助手として授業のサポートもある。小さな体で一生懸命お手伝いをしている姿は生徒たちにとっても癒しになっていた。


「今度はいつ来てくれるのかな?」

「ソフィーちゃんに授業をしてほしいよな」

「『ソフィーちゃんファンクラブ』が最近できたみたいね……」

「なにそれ? 入るに決まってるじゃん!」


 本人は()()()()()()()()()()()が、生徒教師を問わず人気が爆発しているのだ。最近発足したというソフィーファンクラブの会長はもちろんあの人である。

 ソフィー自身は魔法が使えないため、全ての授業でお手伝いをすることは難しいが、できる範囲でてきぱきと仕事をこなしていた。一通りのお手伝いを終えて職員室に戻ろうとすると声をかけられた。


「学園長さん。お疲れ様です!」

「今日もいっぱいお手伝いありがとう。そろそろお昼休みだからメイちゃんと冬夜くんを迎えに行く時間だよ」

「もうそんな時間ですか? 教えていただいてありがとうございます!」

「どういたしまして。ソフィーがたくさんお手伝いしてくれるから本当に助かるよ。ありがとう」


 学園長はソフィーと話す時、しゃがみ込んで目線を合わせニコニコと話してくれる。そしていつもたくさん頭をなでてくれるのだ。


「さあ、遅くなると二人を待たせてしまう。午後からは自由時間だったかな?」

「はい、しーちゃんといっぱいお話しできますね」


 学園長に一礼をするとメイたちの待つ教室に向かうソフィーを微笑ましく見送る学園長。


「無事にあちらの世界と繋がったみたいだね。そろそろ彼女がこちらにやってくる頃かな? これから賑やかになりそうだね」


 ソフィーにくるりと背を向けて歩き出す学園長。その顔にはこれから巻き起こるであろう騒動が見えているような笑みを浮かべていた。


 その頃、午前の授業を終えた教室では冬夜が疲れ果てた顔をして机に突っ伏していた。


「つ、疲れた……お腹すいた……」

「大丈夫? 授業終わったし、お昼ご飯食べに行こうよ」

「メイ、冬夜さん、迎えに来たよ」


 教室の入り口から二人を呼ぶかわいい声がすると同時に教室内が一気に騒がしくなる。


「ソフィーが迎えに来たことだし、行こうか!」


 三人で仲良く食堂に向かう。学生食堂は迷宮図書館近くにある建物の中にある。ここは全校生徒が一斉に集まっても大丈夫なくらい広い空間になっており、メニューも豊富にそろっている。


「今日はパンケーキにする!」

「一人で大丈夫? 一緒に取りに行こうか?」

「大丈夫! メイも好きな物ちゃんと食べてね」


 ソフィーがお目当てのパンケーキの列に並んでいると、すぐに後ろから声をかけられる。


「ソフィーちゃんもパンケーキなの?」

「あ、リーゼさんと言乃花さん! お二人もパンケーキですか?」

「私は他のでも良かったんだけどね、リー……」


 慌てて言乃花の口を押えるリーゼ。その様子を不思議そうに眺めるソフィー。そうしているうちにパンケーキが焼き上がる。目をキラキラさせながら受け取る様子に、周囲が優しい笑顔になっていった。


 リーゼ達も一緒に昼食をとり、午後の授業のため教室に向かう。この後、泣きながらリーゼが言乃花に引きずられて去っていったのは、いつもの光景である。


 みんなを見送ったソフィーは中庭に出てきた。そして噴水近くにある東屋の椅子にちょこんと腰掛ける。ここは異世界の友達と初めて話した思い出の場所だ。そこでメイが作ってくれたいちごのショルダーバッグからタブレットを取り出し、慣れた手つきで操作していく。「異世界通話」アプリを開いて、


「もしもし、しーちゃんですか? ソフィーです!」

「あ、ソフィーちゃん? 待ってたよ!」


 タブレットを通じて知り合うことができた大切な友達『しーちゃん』こと『詩雛(しいな)ちゃん』と今日もアプリを通して楽しいおしゃべりの時間がスタートする。


「あのね、しーちゃんにも見せたいな」

「えー!? なになに? すっごく気になるっ!」

「うふふ。ねえ、しーちゃんの世界のことたくさん教えて。今日は何をして遊んだの?」


 大切な友人との会話を楽しんでいくソフィー。午後のひと時はこうして過ぎていくのであった。

 彼女たちが学園で数々の騒動を起こしていくのはまた別のお話。

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