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絶望の箱庭~鳥籠の姫君~  作者: 神崎 ライ
第六章 封印された魔科学

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第5話 雪江の謎かけと新たな来訪者

「じいちゃん、レアさんに何を頼んでいたんだ?」


 紫雲のもとに駆け寄ってきた冬夜が声をかける。


「たいしたものではないんじゃよ。なんでも発売直後から売り切れ続出の新商品の飲み物とお菓子があると聞いての。せっかく冬夜たちがくるならと思って、楽しみにしていたんじゃがな?」

「も、もうすぐ佐々木もこちらに合流しますから……」

「もうすぐとは?」

「えっと、すぐに佐々木に確認しますので少しお待ちください!」


 紫雲の鋭い眼光に慌てたレア。取り出そうとして手が滑ってしまい、ジャグリングしているようにスマホが宙を舞っていた。


「おじいさん、ちょっとやりすぎですよ!」


 メイと一緒に歩いてきた雪江が紫雲をたしなめた。


「すまんすまん、楽しみにしていたもんでな」

「まったくおじいさんは……」

「し、しかたないじゃろ、こんな時でもないと甘いものをいっぱい食べる機会なんてそうそうないのじゃから」

「そんなことを言ってますけど、ご飯が食べられないほどおやつを食べまくる人が何を言っているのでしょうか? この前も少しだけって言いながら……」

「ちょっとばあさん、冬夜たちがいるんじゃぞ! その話はもういいじゃろうが!」


 ため息をつきながら暴露を始めた雪江を慌てて止めようとする紫雲。


「冬夜くんのおじいちゃんとおばあちゃんってすごく仲がいいんだね」

「ああ、昔から仲がいいんだ。ほとんどじいちゃんが怒られてることが多いけどな」


 紫雲と雪江のやり取りを見ながら笑顔で話す冬夜とメイ。


「ほんと平和な光景ね。でも……」


 四人の様子を一歩引いた位置で見ていた言乃花はある違和感を拭えないでいた。


(レアさんと戦っていた時に感じた()()()()()()()()()()()を感じないのはなぜ? 雪江さんに至っては不気味なぐらい……冬夜くん、メイちゃん、レアさんからは微力ながらでも魔力を感じられるのに……人間が完璧に隠蔽できるなんて聞いたことがないわ)

「言乃花、どうしたんだ? また考え事か?」


 左手を顎にあてながら俯き、難しい顔をしていた言乃花に気付いた冬夜が声をかけた。


「何でもないわ。ちょっと違和感を感じただけだから……」

「違和感? なんか変な事でもあったか?」

「説明するのが難しいわね、気のせいかもしれないけれど……」

「どうされましたか? 言乃花さん」


 言乃花が説明を始めようとした時、いつの間にか冬夜の隣に優しい笑みを浮かべた雪江が立っていた。


「うわっ! ビックリした! ばあちゃんいつの間に隣にいたんだよ?」

「少し前からいましたよ。レアさんがこちらに戻ってきたので、そろそろ移動しませんか?」

「そうだな! いつまでもここで話していても仕方ないし……あれ? そういえばメイは?」

「メイさんならおじいさんたちと一緒ですよ」


 雪江が視線を向けた先には紫雲たちと談笑しているメイ。


「冬夜くん! レアさんも戻ってきたし、家のほうへ行かないかって紫雲さんが言っているよ」

「わかった、今からそっちに行くよ」


 笑顔で手を振りながら呼ぶメイの姿を見て、小走りで駆け戻っていく冬夜。その姿をわざと見送り、雪江に声をかける言乃花。


「雪江さん、質問してもよろしいでしょうか?」

「私で答えられる範囲でしたらなんでもお答えしますよ」

「ありがとうございます。では……単刀直入にお聞きします。先ほどから()()()()()()()()()()()()()のですが、何か秘密でもあるのでしょうか?」

「さすが健太郎さんと弥乃さんの娘さんですね、よく気が付かれました。言乃花さん、逆にお聞きしてもよろしいですか?」


 一瞬驚いたように目を大きくした雪江だったが、すぐに穏やかな笑顔になると逆に質問をしてきた。


「もちろんです。私で答えられるとは思いませんが……」

「そんなに謙遜しなくても大丈夫ですよ。正解を求めているわけではなく、あなたの考えを教えて頂きたいのです」

「わかりました。謹んでお受けいたします」


 頷くと真っすぐ雪江を見つめる言乃花。


「改めてお聞きします。魔法が使える人とそうでない人がいますが、その違いは何だと考えますか?」

「それは純粋に魔力の有無ではないのでしょうか? 魔力がなければ魔法を使うことは不可能ですし……」

「なるほど、半分正解ですね。魔法を使うには()()()()()()()()()()()()()()のですよ」

「え? いったいどういう事でしょうか? 魔力の有無は関係がない?」


 返ってきた答えの意味が分からず、眉を寄せる言乃花と笑みを浮かべたままの雪江。


「焦らなくても大丈夫ですよ。きっと近い将来、納得のいく答えにたどり着く日が来ますから」

「それはどういう事でしょうか……?」

「そうですね、一つだけ助言をしておきましょうか。私から見てとても博識な方だと思いますが、もう少し角度を変えて物事を見てみませんか? あなたが思っているよりも近くに答えがありますよ」

「えっ?」


 更なる謎かけのような返答に言葉を詰まらせていると、二人を呼ぶ声が聞こえてきた。


「おーい、言乃花、ばあちゃん! 早く来ないと置いてくぞ」

「はいはい、すぐ行きますからね。言乃花さん、行きましょうか?」

「え? あ、はい……」


 未だに混乱を隠せない言乃花に優しく声をかける雪江。六人がヘリポート出入口の扉を開けようとした時、前方の空に一台のヘリが姿を現す。


「あれ? レイスさんを乗せたヘリが戻ってきた?」

「そんなはずはないわよ。飛んでいった方向が真逆だし……」


 冬夜と言乃花が不思議そうに話す中、目を見開いて声をあげるレア。


「あの機体って……まさか?」


 ヘリを見たレアが驚きの声をあげた理由とは?

 誰が乗っているのだろうか……?

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