表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶望の箱庭~鳥籠の姫君~  作者: 神崎 ライ
第五章 虚空記録層(アカシックレコード)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/219

第26話 再会と新たな戦いの幕開け

「なぜ私が傷ついている……」


 自らの頬を指先でなぞると、こわばった顔でノルンの張った結界に目を動かすクロノス。


「そうですか……まさか()()()()()()がいたとは思いませんでしたね」


 その時、再びノルンが張った結界の方角から光の帯を纏った矢がクロノスの数メートル上空に向かって放たれた。矢は空中で何かに突き当たり、ガラスの砕けるような音とともに閃光を放つと霧散する。次の瞬間、大きな爆発音が響くと辺り一帯が煙に包まれた。


「いったい何が起こったんすか?」

「わからないわ……さっきの魔力、()()()()()()じゃない?」


 煙によって視界が奪われたレイスと言乃花が背後を警戒しつつ様子を伺っていると、一歩前に出たレアが虹色のオーラを纏った右手を前に突き出した。すると一直線に突風が駆け抜け、立ち込めていた煙が二つに割れて道が現れる。


「ただの煙のようね……今のうちに冬夜くんたちの所へ行くわよ!」

「「はい!」」


 レアを先頭に言乃花、レイスと続いて結界のあった場所に向けて走り出す。やがて結界の場所が近づいてくると煙の中から勢いよく向かってくる人影が見え、三人は立ち止まった。


「まさか……アビー? レアさん、下がって下さい、私が迎え撃ちます」


 言乃花が二人の前に出ると右手の魔力が緑色に輝き始める。


「言乃花ちゃん、ちょっと待って! あの人影はアビーじゃなくて……」


 レアが何かを感じ取り、言乃花を制止しようとした時だった。


「言乃花ちゃーん! あなたの……」

「貫け! 荒れ狂う風の咆哮(エリアル・ドライブ)


 振り抜いた右手から緑色に輝く光が風の渦を纏い、辺りの煙をかき消すように一直線に駆け抜けていく。


「む、これは今までの魔法とは違う……だけど正面から受け止める!」


 光を放ちながら襲いかかる魔力を正面から受け止めようと構えた一布の姿が煙の中から現れた。


「一布さん、その魔法はまずいっすよ! 早く避けてください!」

「レイスくん、心配ありがとう! 大丈夫だ、()()()を見せてあげるよ! 言乃花ちゃんの愛を受け止められるのはこの僕……」


 レイスが慌てて叫ぶが全く聞く耳を持たない一布。轟音とともに迫りくる魔法に対し、両手を大の字に広げると真正面から直撃を受けた。しかし受け止められるわけもなく、体をくの字に曲げながらはるか後方に吹き飛ばされていった。


「どうやら僕はここまでのようだ。あとは任せたよ、冬夜くん、メイちゃん。でも大丈夫、愛の力は……」

「バカなことを言っていないで頭を少し冷やしてきなさい!」


 一布が遺言に似た言葉を叫びながら吹き飛ばされる最中、続けて左手を振り抜いた言乃花の追撃が入った。一布はサムズアップした残像だけを残して消えていき、はるか後方で金属製のフェンスが壊れるような音が響く。


「言乃花さん、さすがにやりすぎっすよ……」

「いいのよ。少しくらい痛い目にあった方が」

「まったくあなたたちは……少しは仲良くできないのかしら?」


 レイスとレアが呆れた顔をして視線を送る中、無表情のまま前を見据えている言乃花。


「ほんと一布さんは相変わらずだな」

「でも一布さんのおかげでみんなのところに来られたね」

「冬夜くん、メイちゃん、無事だったのね!」


 煙の中から姿を現した冬夜とメイの姿に安堵の表情を浮かべるレア。目に涙を浮かべながら二人に駆け寄り、力いっぱい抱きしめる。


「わっ! ビックリした! レアさん、ご心配おかけしました」

「レアさんもご無事だったのですね。ほんとによかったです!」

「二人が無事で本当によかったわ……」


 二人のもとにレイスと言乃花も駆け寄ってきた。


「冬夜くん、メイちゃん、本当に心配したのよ!」

「二人とも元気そうでよかったっすよ」


 再会に安堵する五人だったが、空中から響いた声によって現実に引き戻される。


「感動の再会は終わりましたか? ()()()()()()()()が再び現れるとは……面白い、実に面白いぞ!」


 立ち込めていた煙が空中で渦を巻くように吸い上げられ、驚愕の光景が目に入る。


「な……クロノスが二人?」


 あり得ない光景に目を大きく見開くレイス。空中に浮かんでいたのは青白いオーラに身を包んだクロノスが二人。


「そういう事か……空中に魔法を打てといったのは」


 空を見上げ、何かを悟ったかのように険しい表情の冬夜。

 なぜクロノスが二人いるのか?

 いったい誰が冬夜に指示を出したのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ