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絶望の箱庭~鳥籠の姫君~  作者: 神崎 ライ
第四章 現実世界

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第19話 ソフィーが見せた一面と望まぬ襲来

「言乃花、まさか……美桜のことを皆様に話していなかったのですか?」


 驚いている冬夜の様子に気がついた弥乃が問いかけた。


「鍛錬開始前に顔合わせをしますし、その時に紹介すればよいと思っておりました」

「まったく……あなたらしいというのか……私のほうからご紹介させて頂きますね」


 小さくため息を吐くと笑顔で話し始める弥乃。


「冬夜さん、メイさん、ソフィーさん。突然のことで驚かれたようですね。次女の美桜が皆様のお手伝いをするために鍛練へ参加します。美桜は小学生ですが、一布さんと日々稽古に励んでおりますから十分お役に立てると思いますよ」

「美桜さんですね、仲良くできたら嬉しいな」


 弥乃の話をじっと聞いていたソフィーが思わず声を漏らす。


「ソフィーさん、ぜひ美桜と仲良くしてあげてください。こんなにかわいいお友達ができると知ったら、とても喜ぶと思いますよ」

「ほんとですか? 私もお友達になりたいです!」


 弥乃の言葉を聞いたソフィーが思わず立ち上がり、喜びのあまりその場で飛び跳ねる。


「喜んでいただけて私も嬉しいです。ソフィーさん、もう少しだけお話させて頂きたいので座りましょうか?」

「ごめんなさい、すごくうれしくて……」


 弥乃の言葉を聞いて恥ずかしそうに座るソフィー。いつもはピンと伸びている耳が少し前に垂れ下がり、申し訳なさそうな表情になる。


「そこまで落ち込まなくても大丈夫ですよ。誰でも嬉しいことがあると感情を抑えることは難しいもの。鍛錬の中で気持ちをコントロールする方法も少しずつ学んでいきましょう。ですよね、()()()()?」


 話を振られ、大きく体をビクつかせる一布。先ほどとは比べ物にならないほど体の震えが大きくなっているが、気に留めることなく冬夜たちに話を続ける弥乃。


「先ほどお話した三グループに分かれて鍛錬を行いますが、玲士くんとレイスくんには、着替えたら別室に設置してある()()()()()()()()()をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「かまいません。先ほど試運転はされたと伺いましたが特に()()()はでませんでしたか?」

「そうですね、私たちも試させていただきましたが、特に問題はありませんでした。一布さんが試された時はかなり動きが怪しかったと聞いておりますが……」


 口元に左手を当て少し困ったような表情になる弥乃。あごに左手を当て、考え込む様子を見せる芹澤。


「ふむ、考えられるのは魔力量が関係している可能性がありそうですね。大した問題ではないので調整させていただければと思います」

「大した問題だと思うんだけど……」


 小声で文句を言う一布だが、健斗の一声でかき消される。


「トレーニングマシンの感触は素晴らしかったぞ。久しぶりに学生時代を思い出した。さて、話はこのくらいにしよう。更衣室に各自の道着を用意させていただいた。着替えが済み次第、鍛錬場に案内しよう。案内は言乃花、一布、弥乃に任せる、頼んだぞ」

「「はい、承知しました」」


 言乃花と一布がハキハキと答える。


「玲士くん、レイスくん、すまぬがトレーニングマシンの調整を頼む。終わり次第、鍛錬に合流してくれ」

「承知しました。早急に終わらせて使用できるようにいたしましょう」

「うむ、頼んだぞ。これより鍛練を開始する!」

「「「はい」」」


 冬夜たちは次々に立ち上がり、広間を出て更衣室に向かう。


「私もメイさん、ソフィーさんを案内するために向かいますね」

「頼んだぞ。俺には彼らが戻る前にやることがある」

「くれぐれも用心してください。何か起こりそうな予感がしますから……」

「大丈夫だ。任せておけ」


 健斗の言葉を聞くと軽く頷き、広間を出ていく弥乃。襖の閉まる音が聞こえると、誰もいなくなった広間の奥をジッと見据え、怒気を含んだ声を発する健斗。


「そこにいるのはわかっているぞ。俺を欺こうなど百年早いわ!」

「……さすが健斗だ、うまく気配を消したはずだったのにな」


 何もないはずの奥の景色が歪み、目深くフードを被った人物が現れる。


「お前の魔力は独特すぎる。気配は消せても魔力までは隠せるはずがない、()()

「洞察力の高さは相変わらずか……健斗には敵わないな」

「先々でわざとらしく足跡を残しおって……気が付かぬわけがないだろう。俺の前に姿を現すと言うことは覚悟ができているんだろうな?」


 正体不明のフードの人物は、行方を眩ましているはずの冬夜の父「響」であった。

 健斗の前に姿を現した響は何を語るのか……

 学園で苦楽を共にした友人との戦いの幕が上がろうとしていた。

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