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何もいらない

 「うぅおぉぉぉぉ !! 」

  Pleiades の目が深紅に染まる。そして、装甲が光に包まれた。

 「貴方、最終形態になれるのね」

 言葉が耳に入らない。

  Pleiades は両掌を母身に向けた。肩口に放熱フィンが開き、

 「はぁぁぁぁぁ !! 」

 渦巻く巨大な光弾を放った。

 「……くっ」

 両手をかざして光弾を止めた母身も、さすがにその威力に押し込まれた。

 更に、

 「ぅえぁぁぁぁぁ !! 」

 蒼流剣を構え、スラスターで母身の懐へ。

 「ぉおぉぉおぉぉぉ !! 」

 激しい連撃を加え、辛うじて剣を受ける母身に膝をつかせた。

 ……とどめ!

 頭蓋の真ん中に定め、渾身の力で剣を振り下ろした。

 しかし……金属の弾ける音。

 母身のかざした腕を半ばまで斬り込み、剣は二つに折れていた。

 「惜しかったですね」

 愕然とする涼介を、母身は美しい笑みで見上げた。そう、背筋を凍らせる程に美しく。

 一瞬の隙。

  Pleiades は腕を捕られ、動きを封じられた。

 「でも、強い」

 母身は優しく指で Pleiades の顎に触れた。

 ……母さん。

 優しいその仕草に、涼介は心乱された。

 「さすがです。私の子は、強くなくては……」

 『涼介、惑わされるな!』

 しかし、涼介には母身、いや、母さんの言葉しか耳に入らない。

 ……兄さんと同じ、記憶が戻ったんだ!

 「そうだよ、母さん……」

 母身は頷いた。

 「愛しい子…… Pleiades 。そなたの本当の名は?」

 ……え?

 「特別です、本当の名を訊いてあげましょう」

 夢から覚めた涼介は奥歯を噛み締めた。

 「覚えて……いて下さい。昴涼介。 Pavor を滅ぼす地球人の名前」

 「なんですって!」

  Pleiades は母身に頭突きを喰らわせ、腕より抜け出した。

 「父さん、母さん、そして兄さん!俺が甘かった!もう、 Pavor を滅ぼす以外、何もいらない!」

 「ならば貴様が滅びるがいい!」

 母身の口が開き、エネルギーが放出された。

 ……まずい!

 直撃だ。

 『リュオス、出るぞ!』

  Pleiades の胸より七つの光が円を描いて現れた。それは、 Pleiades の楯のように回転した。その後ろで足を踏ん張り、両手を前に突き出し集中。

 「くぅあぁぁぁぁぁ!」

 ウォルフ達に直撃した巨大な光弾は彼等を呑み込み、その余波で月面まで駆け抜けた。

 『イィリエ!』

 ウォルフの魂一つが消滅した。

 「小癪な!」

 母身の間は、今の攻撃で壊滅した。 Pleiades は……肩周りの装甲が溶けて原型を留めていない。そう、まだ軽傷だ。

 『リュオス、オルディア、涼介を頼むぞ』

 光の一つが母身へ向かう。

 「ゼブリア!」

 『待て、お前達……』

 『そうだ涼介、 Pavor を滅ぼす以外、何もいらない!』

 また一つ……。

 「ガイアス!」

 「何をする!」

 ソンフォ、クレシダ……光は次々に母身に取り付き、動きを封じ込めた。

 「邪魔をするな、滅びた者共!」

 『涼介、早く!』

 母身が僅かづつ自由を取り戻す。

 「これで最後だ……。リュオス、オルディア、行こう!」

 『あぁ、やるぞ!』

 リュオスとオルディアが一際眩しく輝いた。

 オルディアが先導するように先行し、リュオスが再び Pleiades の中へ。

 「ぅおぉぉぉぉぉぉぉ !! 」

 蒼い光が炎のように Pleiades を包み込む。

 「 Pavor 、覚悟!」

 スラスターを全開にして加速。まるで、 Pleiades が光弾である。

 「く、来るな、化け物!」

 腕に付いたゼブリアとソンフォが消滅した。

 「滅びなさい!」

 母身は自由になった両手より光弾を連続して放射。 Pleiades の装甲が弾け飛ぶ。

 「ぉおぉぉぉぉぉ !! 」

 しかし、怯まない。

 「ぅえぁぁぁぁ !! 」

 右拳を母身に叩き込む。

 「がぁぁぁ!」

 母身より獣のような悲鳴が上がる。

 「まだだぁ!」

 深々とめり込んだ右拳……それは母身の体内で開いた。

 その先には心臓、いや、全ての元凶 Pavor が。

 「や、やめなさい、貴方もただでは済みませんよ!」

 「そのつもりだよ……」

 「お、おのれぇぇぇ!」

 母身が逃れようと必死にもがく。それを、涼介は捕まえた。

 「母さん、さようなら」

 右掌に最大の力が集光。

 「はぁぁぁぁぁ !! 」

 色も、音さえも消え失せた。

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