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行こう
……ありがとう。
涼介は目をつむり、糸をたぐるように思い出した。
怒った香織、喜んだ香織、笑った香織、悲しんだ香織……泣いた香織。
「ごめん……ごめん」
涼介の顏から笑みが消え、エアロックに拳をあてながら膝をつく。
香織がいてくれたから……香織がいなかったら、駄目だったよ、俺。
『私こそ、すまない』
胸が淡く光る。
リュオスだ。
「……知ってた?」
『知り得ぬ情報だが、予想はしていた』
刹那の間、息を詰めた。
「分かってたんだ」
『しかし不確定であり、本来ありもしないことで不安に……』
「いいよ……分かってる」
そして、涼介は足に力を入れた。
……今は進む。そう決めたんだ。
「行こう、みんな」
虚空に語り掛けるが、胸に響いていた。
「また、俺達だけだね」
『不安か?』
「冗談言わない所が不満。でも、あと少し、よろしく!」
『承知!』
光に包まれた涼介を装甲が覆ってゆく。
白に赤ライン、青い目を仮面の奥に光らせる、 Pleiades 。
「そこか、 Pavor 母身親衛隊!」
地下基地の更に地下。胸の Pavor の反応に合わせ、右掌を差し向けた。
「はぁぁぁぁぁぁぁ !! 」




