轟沈
-Warwolf ブリッジ -
ディスプレイの右舷方向に眩い光の花が咲いた。次いで衝撃波が襲う。
「敵艦D轟沈確認!」
更に左舷からも閃光が。
「続いて敵艦A轟沈!」
赤城は激しく揺れる中笑みを見せた。
「さすが遊撃隊、いい仕事をしてくれる」
残るは敵巡洋艦C一隻のみ。
しかし、手元のデータには左舷を大破した艦の現状が伺えた。
敵艦Bの轟沈による誘爆だ。
「相良さん、もはやこれまで、ですかね」
敵艦の至近弾に装甲が弾け飛ぶ。
「艦長、諦めるには……」
応戦するも、主砲2機ではたかが知れた。
「最後の賭、ってやつですよ」
相良を振り返る赤城は笑っていた。しかし、目だけは笑っていない。
「大林くん、艦内放送だ!」
「……どうぞ!」
赤城は一つ頷いた。
「 Warwolf 全乗組員、艦長の赤城だ!これより5分以内に後部デッキに集合、艦載輸送機に分乗せよ。これは、総員退艦命令である !! 」
ブリッジのスタッフが思わず振り向いた。
「本艦は敵艦Cへ衝角 ( ラム ) 戦を仕掛け、後、敵艦を道連れに自爆する !! 」
赤城の宣言の後、僅かな沈黙が流れた。
しかし、腹が据わったか、
「了解!」
スタッフ全員の力強い声がブリッジを満たした。
「操艦に関わらないスタッフは先にデッキへ」
そして白木へ視線を送る。
「いいえ……」
彼女は首を横に。
「貴方の補佐が私の仕事ですよ」
「まったく、頑固だな」
白木葉澄、会心の笑みを浮かべた。
「それも仕事のうちです」
「いいだろう。方位測定急げ!必要なエネルギーを貯めて、縮退炉投棄!」
月軌道付近でブラックホールを解放してしまっては、本末転倒、それだけで地球が崩壊してしまう。
「進路敵艦Cへ固定!」
直後閃光と激震に襲われた。
「直撃!主砲大破 !! 」
コンソールが弾け飛び、赤城のこめかみより血が滴り落ちた。
「被害報告はもういらん!」
「縮退炉投棄!」
「よし。艦首シールド展開、機関全速!」
激しく応射する巡洋艦へ、見る間に接近。
Warwolf は目標違うことなく敵艦船腹に深々と突っ込んだ。
そして再加速、月の重力圏へ。
9分と 32 秒後、自爆。月面に新たなクレーターが刻まれた。




