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月面

     2

 背後より鋭い閃光が駆け抜けた。

 「まさか!」

 トマスは最悪の事態を連想した。

 後方レーダーで確認。敵艦Bの爆発轟沈だ。

 しかし、至近での轟沈に、 Warwolf も誘爆で被害を受けていた。

 「……くそ」

 トマスに迷いが生じた。

 ……戻って加勢すべきか。

 と、格納庫より内線。

 『行ってください!』

 既に Guardian を装着した香織からだ。

 『止まらず、月面へ……』

 トマスの口がにやりと笑う。

 「いい覚悟だ。すぐ届けてやるぜ」

 トマスは後方の全センサーをカットした。



     - 格納庫 -

  Wolf Guardian のValkyrie を装着した香織、そして機甲体の Pleiades となった涼介は刻々と近付く月面に目を凝らしていた。

 ……見えた!

 ツェルコフスキー基地だ。

 銀の楔、セルの突き立つ廃墟に顏を曇らせた。

 「トマスさん、ここから北西です」

 『間違いねぇな!』

 涼介は頷いた。

 「……間違いない」

 北西方向より心臓に突き刺さる、共鳴。

 「 Syleus はあそこだ」

 機体が傾き、眼下の岩石群が勢いよく後方へ流れていった。


   -Pavor 前線基地 -

 ……来るぞ、もうすぐそこだ!

  Syleus の心臓も Pleiades に反応していた。

 「隊長、親衛艦隊残存3隻です。プロキオン、アルデバランに敵侵入、白兵戦を開始!」

 ほぉ、と洋介は感心に声を出す。が、その表情は冷淡だった。

 「放っておけ」

 「……え?」

 「艦隊など無用。私の戦いに無駄な虫が付かぬように網を巡らせたまで」

 そして踵を返す。

 「ど、どちらへ?」

 「お前たちも来い。迎え撃つ」

 直後レーダーが小型機の存在を確認した。



     -Wyvern-

 金属反応あり。

 「へ……涼介よ、クリティカル・ヒットだぜ」

 トマスは緊張に震える舌で呟いた。

 前方 18Km 。マッハ 15 の超低空飛行なら一瞬の距離だ。

 トマスの神経は極限まで削られた。

 『トマスさん、ありがとう。降ります』

 「あぁ?」

 生返事を返したトマス。その目の端に、赤の警告灯が写る。

 ……格納庫開放。

 「おい待ちやがれ、ガキ共!」

 機体が振れた。

 「……くぉっ!」

 立て直した瞬間、 Wyvern は軌道まて弾き飛ばされた。



     - 月面 -

 漆黒のそらへ身を翻すと同時、 Valkyrie の背より翼が展開。スラスターの口径が拡大し、先行する Pleiades を追って加速した。

 蒼い流星が二筋、荒涼とした月面に降下。重力 1/6 の世界に砂塵が舞い上がる。

 「偉大な第一歩ね。 rabbit が月に着地なんて、洒落が効いてると思わない?」

 初の月面着陸に、香織は余裕のコメント。

 「ウサギは壊して、今は戦争の女神だろ」

 「……でした」

 涼介の突っ込みに香織はくすくす笑う。

 「さて、準備いいな?」

 右掌を地面に向ける Pleiades に、 Valkyrie は頷いた。

 「いつでも」

 足下の金属反応に向け、掌が光を集め始めた。

 「はぁぁぁぁ!」

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