突貫
-Warwolf ブリッジ -
敵艦Cの直撃弾を受け、右舷1番副砲が蒸発した。
「右舷大破!」
激震に幾つかのパネルが破裂。ガラスが飛び散った。
「構うな!主砲、左右に撃ち分けつつ全速前進!」
もはや戦術などはない、ただの突貫だ。
「艦長、このままでは船体が保ちませんよ……」
しかし、赤城は不敵に笑みを見せた。
「俺がそんなことを気にしていると思うか?」
オペレーターの浜崎が思わず振り返る。
「涼介くんと香織を月面に届けられれば艦はいらん!脱出艇さえ無事ならそれでいい!」
「呆れましたよ」
そう呟く浜崎。しかし笑っていた。
「艦長らしい。了解です、前方の2艦の間隙、意地でも抜けます!」
敵艦BとCは互いに Warwolf の進路を塞ぎにかかる。
「衝突します!」
「望む所だ。 全速前進、総員対衝撃体勢!」
数秒後、敵両艦に挟まれるように衝突。艦内の照明が弾け飛ぶ。
「主砲、撃ぇ !! 」
0距離射撃だ。左右に反中間子砲が吠吼。その衝撃で挟撃する敵艦の間が開いた。
「今だ、抜けろ!」
Warwolf が最終防衛線を突破した。
-Wyvern コクピット -
「待ち兼ねたぜ!」
トマスが拳を打ち鳴らす。
格納庫の肥やしとなっていた Wyvern が、遂にカタパルトへ移動した。
『いいか、トマス。艦は気にするな。何があっても二人を月へ……。そして、必ず連れ帰れ!』
「了解だ。しかしな、赤城のとっつぁん。あんたらも必ず戻れよ」
『戻るとは……』
直後、 Wyvern は宇宙へ弾き飛ばされた。
加速のGに耐えつつ、正面大写しになる月を見据えた。
……戻るったら、地球しかねぇだろ。
今は、背後に光る青い星は見えなかった。




