亡霊
- 格納庫 -
「せぁぁぁぁ !! 」
Eagle のナイフが2本、左右より微妙な時差を以って Phantom を斬りつけた。
しかし、 Phantom は正確にその刃を両手で躱す。
……読まれてる!
Eagle は半歩退き、左手のナイフを投擲。
「……くっ!」
予想外の攻撃。咄嗟に避けるも、ナイフが腕に突き立った。
『 caution 』
伝導系損傷、右中指作動不良。
……ち。
しかしまだ浅い。
と、 Eagle の姿が消えた。
……それが狙いか!
Phantom はディスプレイの熱源情報に目を走らせる。
「そこか!」
腰を回して蹴りを放つ。
「がはっ!」
右斜め後方、 Eagle の鳩尾に踵がめり込んだ。吸収しきれぬ衝撃が直接イェンの体内を襲う。
「ぅえぁぁぁ !! 」
連撃。右腕を取り、掌底を顎、そのまま抱えて膝を腹、肘を背中に叩き込む。
「終りだ、イェン」
過負荷の電磁フィールドがスパークして沈黙。各関節部より白煙を上げ、 Eagle は崩れ落ちた。
「命までは取らん。しかし、私の前に二度と現れるな」
フィンを展開、飛翔しよう……としたその時、空間が鳴動した。
「これは !? 」
Phantom は一瞬バランスを崩し、飛翔の機を逸した。
『 Wyvern だ。Phantom の旦那、時間だぜ。船が揚がった、収容急げ!』
……なるほど。
合点がいった。地下の遺跡が動いたのだ。
「了解、こちらも片付いた。今すぐ……」
「うわぁぁぁぁ !! 」
衝撃を感じると同時、ディスプレイが赤く変色。
「イェンか !? 」
Eagle が僅かに残った力を使い、 Phantom に組みついていた。しかも……。
『 DANGER !』
EagleのナイフがPhantomの背部のバッテリーに深く突き刺さっていた。
「この……放せ!」
腕が動かない。
「これでも、私も戦士です。負けたままではいられないんですよ !! 」
カウントが入った。
「まさか貴様、そのカウント……自爆か !! 」
「隊長、死なばもろとも !! 」
カウントが 0:00 に到達。
大地が揺れた。
2機のAMを中心に発生した火球は格納庫を飲み込み、衝撃波で GDS 丹沢本部地上施設 30% を損壊させた。
東郷の、 Phantom の反応はこの時点を以って消失した。
- 丹沢上空 -
黒色の要塞。 GDS 本部地下より浮上したその黒い船体は、その内包する力よりも美しさを感じさせた。
異星人の船、全環境型巡洋艦 Warwolf( ワーウルフ ) 。 GDS 最大の隠し玉である。
その後部ハッチが開き、 Wyvern を収容した。
- 艦内格納庫 -
「 Shit!! 」
Wyvern の搭乗口で扉を殴り付けたシンは、床に転がる4機のAMに目を止めた。
「この……お前らのせいで隊長まで!」
勢い飛びかかろうとするシンの肩を、相良が止めた。
「気持は分かる。しかし止めておけ。虚しくなるだけだ」
「分かる !? もう十分虚しいさ!なぜ地球人同士で戦わなゃいけない!なんで仲間同士で殺し合うんですか !! 」
割り切れない。それでも、歯を食いしばってかぶりを振るしかなかった。
そこに、ブリッジより呼び出しが掛った。
『赤城だ。全員至急ブリッジに集合。これより朝霞駐屯地に乗り込む!』
「なんなんだよこれは!」
シンは相良の手を払い除け、ブリッジに向かった。
……渡瀬ぇぇ !!




