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隠し球

     3

 光学迷彩の揺らめきが4。

 香織たち6人を囲む4機のAMが姿を現した。

 「はい、抵抗よしてくれよ。元同僚を殺すのは忍びない」

 神宮外苑の出動に参加出来なかった4機、 Tiger( タイガー ) 、 Sharck( シャーク ) 、 Hornet( ホーネット ) 、 Goose( グース ) だ。

 「遊撃隊……何故ここに」

 赤城は思わず MP-5 に手を掛けた。

 「元長官、やめましょう。この銃は当たらなくても至近距離で生身じゃ死にますよ」

  Tiger の構える銃。初速マッハ7の弾丸は、その衝撃波だけで十分殺傷兵器である。

 「訊くまでもないが……」

 呑気な口調の藤岡が赤城の銃を下げさせた。

 「何しに来たのかね?」

 「見りゃ分かるだろ。遺跡を貰いにね。渡瀬長官代理殿の命令だ」

 香織が不快に眉を寄せた。

 「無知な犬の使いっ走りですか」

 「なめた口きくなよ、ウサギちゃん」

  Tiger の声に殺気が籠る。

 「仲間同士で、意味ないじゃないですか!」

 「お嬢様の御託はいらないんだよ」

 そして Tiger は赤城に詰め寄った。

 「開けて、もらいましょうか」



     - 格納庫 -

 空間に揺らぎが生まれ、そこに直立する物体が現れた。

 「無駄です、参謀」

 AMが1機、銃を待機室に向けていた。

 この機体は……。

 「 Eagle ……イェンか」

 AMは僅かに頷き肯定した。

 「殺したくはない。抵抗しないでください」

 「それが出来る現状と思うか!」

 「本気ですよ。そこの二人もね」

 空間より舌打ちが聞こえた。

  Eagle の背後より、ステルス モード を解除したAM、 Tomcat と Phantom が現れた。

 「いい勘してるぜ、イェン」

 不意打ちを狙ったシンは溜め息を吐く。

 「まさか。 IMF が反応してますよ」

 敵味方識別信号。

 「……げ」

  Tomcat と Phantom は顏を見合わせた。

 「シンだけならまだしも、私まで……」

 「えらい言いぐさ」

 「AMを停止し、こちらに来てください」

 「やなこった」

 無造作に返るシンの返答。

 「で、いいですよね、参謀、隊長」

 相良と東郷は苦笑し、同時に頷いた。

 「あぁ、そのつもりだ」

 「分かっているのか?ここでAM戦をやれば、生身は死ぬぞ」

 イェンに相良は冷徹な視線を向けた。

 「お前こそ分かっているのか?」

 「分かっている。統制を欠いた組織を改変し、自衛隊をも含めた勢力で Pavor の脅威を駆逐するつもりだ!」

 「どうでもいい!そんなお題目なんか知ったこっちゃない‼︎」

 整然としたイェンの言葉を相良の一喝がねじ伏せた。

 「同じ地球人が内部分裂など!恐怖に負け、力のみ欲して……真の統制を見失ったのはどちらか !! 」

 「もとより GDS が勝手すぎたんです !! 」

 ……もとより?

 東郷は眉を顰めた。

 神宮でこいつは寝返った訳じゃ……。

 「イェン貴様、もとから渡瀬の……」

 「彼に雇われた傭兵だ」

 「だからそうしていられるのか!近江が、レイが、北条が……仲間が死んでも関係ないのか !! 」

  Phantom が銃を振り上げた。

 「動くな隊長!銃声一発で他は死ぬぞ!それこそ私には知ったことのない、あなたの仲間がね」

  Eagle の銃口も Phantom を睨めつけた。

 「貴様ぁ !! 」

 2機のAM、 Phantom と Eagle の引き金が互いに引き絞られた。


     - 船内 -

 赤城の生体データをキーに、外界を隔てるエア・ロックが解放された。

 「で、どこへ行く?」

 挑むように訊く赤城。しかし香織や遊撃隊員は一瞬言葉を失っていた。

 初めて踏み込んだ、異星の領域。

 「もったい付けるな。 Guardian だ」

 「ほぉ、渡瀬にゃ黙ってたが……どこから漏れたやら」

 言いつつ不安がよぎる。

 ……涼介くんか。

 AM装着のまま歩行可能な通路。 15 年間、一切沈黙したままの船内だが、褪せることのない機器類は今にも全力稼働しそうである。

 東山が銃を構える Tiger に声をかけた。

 「あんたらに動かせる物じゃないぞ」

 「動かすさ」

 「ふん……渡瀬にどうやって言われたかは知らんがな」

 「AMを遥かに凌駕し、 Pavor の機甲体に唯一対抗出来る兵器」

 自信を以って語る Tiger の姿は、技術屋の東山には不快である。

 「稼働原理が不明な物など……」

 巨大な扉が道を塞いだ。

 後部格納庫。

 ここを開ければ……赤城が右端のパネルにカードを通す。

 「ついに使う時が来たか……」

 左右にスライドすると、気圧差で格納庫内の冷えた空気が吹き出した。

 「あれが……」

 整頓されたスペースに、純白の人型が起立していた。

 形はそう……AMそのもの。しかし、僅かにスリムな印象を受ける。

 AMの祖、ブラック・テクノロジー…… WolfGuardian(ウォルフ・ガーディアン ) 。

 「では長官、もうあんたたちは……」

 「香織、セッティングは大まかに済ませてある」

 「はい?」

 固まる遊撃隊員と香織。赤城と東山は悪戯を楽しむように笑っていた。

 「乗れ。音声及び思考制御だ。東山さんに頼んでデータはお前に合わせてある」

 東山は肩をすくめた。

 「香織ちゃん以外にゃ使えんのさ」

 「貴様ら!」

 4機のAMは一斉に銃を構えた。

 「撃つか?撃てばいいさ。香織ちゃん、起動は アーム セット 。気にするな、行け!」

 「はい!」

 「待て !! 」

 引き金を引いた……直後、AMが4機とも膝から崩れて停止した。

 「……な、なんだこれ!」

 「すまんな、ウィルスだ。銃を使うとシステムが落ちるようセットした。技術屋敵に回すとこんなもんよ」

 「この……!」

 「 アーム セット!! 」

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