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謀反

  Now,at present (現在)

   -GDS 集中発令所 -

 「 ECM 消失、通信回復します!」

 不鮮明だった Pixy の映像が回復、ディスプレイにブースターで永田町へ向かう2機のAM、 Minx と Rabbit を捉えた。

 「おいおい……こちら king 、何処へ行くつもりだ!」

 赤城の当惑した通信に、間髪入れず恵美が応えた。

 『クレーターよ。神宮は鎮静化。 pleiades が暴走して永田町に先行。面倒だから後は Wyvern に訊いて。以上!』

 呆気に取られるまま通信終了。

 「……あんのじゃじゃ馬が!」

 恵美にかかると長官もへったくれもありゃしない。

 「 Wyvern は !? 」

 通信オペレーターが眉を顰めて振り返る。

 「応答がありません」

 「 ECM は消失したんだろ!」

  オペレーターがかぶりを振った。

 「応答が……ないんです」

  オペレーターのコンソールには Green( 通話可能 ) が灯っていた。

 「おいおい……まさかトマスや東郷は……」

 と、不意に Wyvern の通信にノイズが走る。

 「……割り込みです!」

 「流せ!」

 回線変更。

 『……の準備は完了。そっちは?』

 ……この声は。

 『こちら eagle 。制圧完了。呆気なさすぎだ。帰投する』

 ……制圧、だと?

  赤城と相良、そして藤岡が互いに顏を見合わせた。

 「長官、あの声は渡瀬くんに間違いありませんね」

 双眸眇めて声を潜める相良へ、赤城は頷いた。

 「……準備がどうのと。しかもイェンが」

 「長官、格納庫からです!」

  OP の声に三人が振り返る。

 『長官、謀反だ!』

 東山技術部長の声が飛び込んだ。

 『渡瀬だ、奴が……』

 突如沈黙。

 「白木くん、発令所閉鎖 !! 」

 背後に控える長官補佐の白木が、壁の赤ボタンを殴り付けた。

 システムを介さぬ緊急閉塞ボタン。入り口が厚い防護壁に覆われた。

 しかし、その直後ドアが吹き飛んだ。

 「ここは自衛隊の管轄下に置く。どうか皆さん、抵抗しないでいただこう」

 白塵の向こうより、3機のAMを引き連れ現れた……

 「渡瀬、貴様!」

 内閣より派遣された犬。それが……。

 「赤城くん、あまり吠えないことだ。戦えない遊撃隊諸君も私の意見に賛同してくれてね」

 「な……貴様この現状が解っているのか !? 」

 「勿論、君の無能振りは十分に理解したつもりだ。そうそう、この行動は幕僚長も承知だ」

 「この……」

 殴りかかろうとする赤城の拳を、白木の手がすかさず制止した。


   - 永田町上空 -

 兄さんが呼んでる。

 クレーターに岐立する銀の楔を見下ろし、 Pleiades ……涼介の胸には複雑な想いが去来していた。

  Eridanus が封を解き、 Vega との戦いによって記憶の奔流が溢れ出し、 Syleus の呼び声が心に火を点けた。

 ……いいだろう、そんなに殺し合いがしたいなら付き合ってやる。

 「兄弟だもんな」

 その Pleiades に何者かが急接近。

 ……早速。

 「誰だ!」

 スラスターで向きを変えた瞬間、その2機は左右へ展開。 Pleiades を挟むようにホバリングした。

 「涼ちゃん、保護者置いてくって、どーゆーことよ!」

 純白のAM、 Rabbit だ。

 「香織!……どうして」

 もう1機は Minx 、恵美だ。

 「困んのよね、素人に先行されちゃ」

 きついようでいて、恵美の言葉はどこか温かい。

 「何しに来た!これは俺と兄さんの問題だ!」

 「バカ!地球が侵略されてるのに、放っとけないでしょ!兄弟喧嘩で済ませないでよ!」

 「違う!そんな問題じゃない。俺の記憶、戻ってきたんだよ !! 」

 一瞬、沈黙が流れた。

 「……だから?」

 「だ……もう前の俺には戻れないんだ!それに、意識が Pavor に乗っ取られるかもしれないんだぞ!」

 「でも、そんなの分かんないじゃない!」

 「もう嫌なんだよ、大切な人が死ぬのは。少なくとも、俺に香織を殺させないでくれ!」

 香織は息を詰めた。

 「だから、だから俺に近寄るな !! 」

 「そう、なんだ……そういうことか」

 空中で Rabbit が Pleiades に接近したかと思うと、いきなり拳で殴り飛ばした。

 「自惚れないでよ!涼ちゃんにあたしが殺される訳ないでしよ!それに、涼ちゃんなんだよ……その性格だもん、どうせ全て終わったら、なぁんにもなかったように、いつもの涼ちゃんに戻ってるよ……」

 声が、震えていた。

 「もし……もし戻れなかったらさぁ、またあたしが頭殴って記憶喪失にしてあげるから !! 」

 AMの下に隠れる表情は読み取れない。しかし、震える香織の声が、より多くを伝えていた。

 「だから、あたしを置いてくな。何があっても、ぜったいあたしの所に戻って……きて」

 言葉を詰まらせる香織を前に、涼介は抵抗の術をなくし、もう従うしかなかった。

 「な……泣くなよな」

 「ばか……難しく考えるなよな」

 「ありがとう。無事戻れたら……」

 「まず、さっき手を払ったこと謝んのよ。あたし、傷付いたんだから!」

 「了解。その後、全て話すよ、全て……」

 「ん」

  Rabbit と Minx のセンサーに反応。涼介も下からの気配を感じた。

 「ほ~ら、おいでなすったよ」

 恵美が拳を打ち鳴らす。

 「露払いはあたしらに任せな。あんたはやることあんだろ」

 「恵美さんも、ありがとう。あの楔は Pavor の移植工場、トランスプラント・セルです。あれを内部から破壊してください。俺は、 Syleus を……倒します」

 「そのシリウスってのにこだわるね」

 涼介が自嘲気味に笑った。

 「彼は兄……洋介兄さんです」

 「はん、そういうことかい」

 恵美はわざと軽く受けた。本人以外、解決出来る問題ではないのだ。

 「オッケ。なら尚更任せな。いいかい、行くよ!」

 恵美に応え、香織が親指を立てた。

 「 It's show time!! 」

 ブースター排除。スラスターを閃かせ、2機のAMが地表に降下した。

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