蛹体
- 神宮外苑 -
光芒一閃、駅前が爆音と共に業火に呑まれた。
「脆いなぁ、地球の兵器は」
倒壊寸前のビルより惨状を見下ろす緑の機甲体、 Vega 。
昨夜の Eridanus や涼介の Pleiades よりも大柄な、いかにも装甲の厚そうな機体だ。
「 10式なんて戦車、いつまでも使ってやがるからだ」
仮面の奥より漏れる小さな嘲笑。 15 体のうち3体やられた程度でその自信は揺らがない。
「まだ蛹体だしなぁ」
下で残存兵力を掃討する機甲体は、一様にグレーの単色で、装甲に厚みが感じられなかった。
「ま、慣らしもいいとこだ。そろそろ宿主 ( しゅくしゅ ) 奪いに……」
Vega の呼吸が止まる。
直後、機甲体の中心で蒼い光の柱が……そして爆発した。
「 Pleiades ……来てたかよ」
「照準甘いわよ!」
砲身長 0.7m 。超伝導コイルによる加速で弾丸を撃ち出すレールキャノンだ。
「ったく、降下中に撃つ奴あるかよ……」
「そこうるさい!」
4機のAMがスラスターのフィンを展開し、戦場に降下していた。
「 サーチ 。残りは何体?」
恵美のコマンドに Minx のセンサーが反応。網膜転写式ディスプレイにサポート AI が返答した。
『 nine 』
白煙に視界を奪われる中、正面に動きを見せる影を認めた。
「兄さんたち、用意はいい?」
「姉さんの一人舞台じゃないんだぜ」
Tomcat がフィンを格納して並ぶ。
「異星人ってのがどんな物か、見せてもらおうかい」
Elephant 、 Eagle も着地。
「各個撃破、いい?」
「そのつもりだ」
Minx がレールキャノンを腰溜めに構え、
「 Fire!! 」
蒼い閃光を放って弾丸が機甲体を貫いた。
それを合図に散開。
「 Tool set 、 Gun !」
Tomcat が銃を構えて連射。衝撃波を残して殺到した弾丸は機甲体の頭部に集中。糸を切られた人形のように動きを止めた。
「 Tool set 、 Knife !」
Eagle の姿が消えた。迫る機甲体の懐へ入り込み、胸部装甲へ一突き。超振動ナイフは確実に心臓を貫いた。
……いける!
恵美とシンは、改装されたAMの戦力を実感した。




