首都防衛
第 3 章 強襲
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- 神宮外苑 -
午前 9 時 43 分。陸上自衛隊第一師団(練馬)が誇る戦車大隊の10(ヒトマル)式戦車。その主砲計15門がずらりと並ぶ。
應義塾大学病院前より一斉射。腹に響く轟音と共に射出された徹甲弾及び成型炸薬弾は、正面に展開する機甲体を3体吹き飛ばした。
「着弾確認!直撃です !! 」
監視要員が甲高く報告。
目の前に広がる惨憺たる情景……信濃町駅全壊、第一普通科連隊全滅。
医療の最先端を誇る信濃町駅前は、瓦礫と硝煙とそして、犠牲者に満ちていた。
17体中、やっと3体……。しかも、首都防衛及び攻城戦兵器の戦車15両を以ってこれだ。
「くそ!奴らは化け物か !! 」
首都高外苑インターチェンジ付近に指揮所を張る山形一佐は、机に拳を強打した。
「我々の範疇ではありませんよ……」
参謀の大石二尉は地図を睨み付けた。
「民間人の避難だけでも」
首都防衛の花形。山形はそう信じてきた。しかし……。
「 GDS の遊撃隊はまだか !! 」
自尊心は致命傷を負っていた。
- 世田谷区上空 -
20 人収容可能な Wyvern の人員輸送スペースに、7人は余裕を以って待機した。
東郷を始め、恵美、シン、香織。その横で物珍しそうに視線を巡らせる涼介。その涼介に、二人の職業軍人然とした男が無遠慮に視線を向けていた。
elephant ことレイ・チェンバーズと、 eagle ことイェン・クンミンだ。
「よぉ兄ちゃん」
髭面のレイが涼介に声をかけた。
「はい?」
「挨拶だよ。俺はレイ。そっちはイェンだ。俺たちの前に出るなよ。誤射はしたくねぇ」
下品な笑い声と共に差し出されたごつい手を、涼介は握り返した。
「お願いします。戦争なんて初めてなもんで」
レイとイェンは再び笑う。
昨夜の出来事は小耳に挟んでいた。真偽の程は別として。
ただ、涼介から緊張や恐怖といった感情は読み取れない。鈍いのか、落ち着いているのか……。
「俺も、昨夜のようなのはごめんだ」
腕をまくるシン。注射器を腕に押し当てていた。
「あんた、それ何よ。ドラッグ?」
問い質す恵美にシンは片目をつむる。
「まさか。ビタミン剤」
機内僅かに差し込む陽光が傾いた。機体が旋回運動に入った証拠だ。
「お客さん、神宮上空に到着したぜ」
トマスの声に、張り詰めた緊張が走る。
「トマス、旋回しつつ待機頼む」
東郷は壁面のヘッドセットを掴んだ。
「客待ちかよ。メーターどうすんだい?」
トマスの返答に、シンがくっくと笑いながら応えた。
「悪いがメーター戻しといてくれよ。請求は赤城のとーちゃんによろしく」
『 tomcat 、お前の親父になった覚えはないぞ』
シンは肩をすくめた。
「聞こえてたよ」
『冗談は終りだ。 phantom は上空より指揮統括。 minx 、 tomcat 、 eagle 、 elephant は降下、機甲体と交戦。 rabbit 、 pleiades は上空待機』
「了解。直ちに状況を開始する」
足下より、砲撃の衝撃が伝播した。ここはもう、戦場なのだ。
「香織、あんたはあんたの任務、キッチリ果たしなよ」
恵美は荒くれを連れ、カーゴスペースに消えた




