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懇願

   -GDS 作戦会議室 -

  35 人……。

 円卓に集まる、特に機甲体と実際に交戦した遊撃隊の3人には絶望的な数字に思えた。

 恐らく、その 35 人には心臓が移植されるのだろ。そして、 Pavor の先兵たる機甲体に。

 「こうなると、尚のこと……長官」

 作戦参謀の相良が赤城に決断を求め、そして赤城は頷いた。

 「止む得まい。残念ながら、我々は脆弱だ。成り振り構ってなどいられん」

 すると赤城は意を決したように、伏せていた目を涼介に真っ直ぐ向けた。

 「すまん、涼介くん。我々に力を貸してくれ」

 言うや起立した赤城が深々と低頭。

 「え……そんな、おじさん」

  GDS 長官たる赤城をおじさん呼ばわりした涼介も、反射的に席を立っていた。

 「貸してくれだなんて……。俺にも関わりのあることなんです、頭下げないでください」

 「本当は、こんな形で君を巻き込みたくなかった。すまん、涼介くん。すまん、藤岡先生」

 「私には構わんでいい。涼介だ。涼介次第なのだから」

 しかし、業務管理官は構うようだった。

 「問題だよ、赤城長官。地球人の戦いを、敵と通じているかもしれない奴に頼むなど……しかも、AMが無力などと、話にもならん」

 渡瀬の皮肉……恵美と香織、そして東郷は悔恨と激昂に襲われた。いや、赤城と相良もだ。

 しかしただ一人、漂漢と笑みを見せていた。

 「悪かったな。しかし、もう心配いらんぞ」

 ツナギ倣髪の東山技術部長だ。

 「新開発の装甲や武装が既に出来ておる」

 え、とばかりに恵美は顏を上げた。

 「ちょっと、いくら何でも早くない?」

 「だから、出来ておったのさ」

 東山は片目をつむる。

 「実験もまだでな、しかも今回あそこまでの武装が必要とは思わんかった」

 「で、どうなのよ」

 「任せろ。装甲は電磁フィールドを追加。関節部の補強も再設計。電力の向上でモーターの出力も3割増。武装の刀身も単分子結晶を進化させ、超振動ブレード。銃身の素材も改良し、マッハ7の射出速度にも完全対応。そして、お前さん好みの超伝導レールキャノンも完成だ」

 恵美は掌に拳を打ち合わせた。

 「おっちゃんナイス!」

 「おっちゃん呼ぶな!改修と換装は進行中。感謝せいよ、徹夜でやっとる」

 恵美もウィンクを送った。

 「かんしゃ感謝!これで奴らに借りを返せるよ」

 そこで東山が釘を刺す。

 「モーターの出力、上がっとるから注意せいよ」

 「誰に言ってんだよ」

 全員の目が恵美に集中した。そう、特に恵美!

 すると、室内で緊急報が耳を震わせた。集中発令所からだ。

 「何事だ!」

 赤城は大型ディスプレィと繋ぐ。

 『緊急です。永田町で動きあり! 16 体の集団が渋谷方面へ移動しました !! 民間人に被害が及ぶ可能性大です‼︎』

 胃を大きな手に掴まれるような不安が襲う。

 「避難している筈だろう!」

 『無理ですよ!避難地区だって、同区内なんですから !! 』

 くそ!赤城は拳を強く机に当てた。

 「東郷くん、遊撃隊を連れて待機室へ!」

 東郷、北条、赤城が直立。

 「東山さん、出撃準備願います」

 「うむ」

 「相良くん、藤岡先生、私と発令所へ!」

 二人は無言で頷いた。

 そして、赤城の視線は事態に狼狽える涼介へ。

 「涼介くん、すまないが、頼む。遊撃隊と行動を共にしてくれ。君の生命は保証する」

懇願ではある。しかし赤城の背後からは、逆らい得ぬ迫力があった。

「香織!」

 「はい!」

 「引き続き涼介くんの護衛だ。何があっても守りぬけ!」

 香織は親指を立てた。

 「りょーかい、父さん」

 赤城は頬を染めて一喝。

 「ここでは長官と呼べ!」

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