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One chance

     5

 見上げても、屋上を照らす光芒と夜空のみ。噴射音は聞こえども、姿が見えなかった。

 「遅いですよ!早くAM降ろしてください !! 」

 『ちょい待ち、急かすなよ』

 天が揺らいだ。するとそこに、翼を広げた大型の V-TOL( 垂直離着陸機 ) の姿が現れた。

  ステルス モード( 光学迷彩 ) を解除した輸送機、 Wyvern( ワイバーン ) だ。

 そのカーゴが開くと、人型の機械が ワイヤで釣られて降下開始した。

 細身純白のAM、香織専用機 Rabbit( ラビット ) だ。



     - 校庭 -

 「こっのぉぉぉ!」

  Tomcat の超伝導モーターが焦げた臭いをさせる。しかしナイフは Eridanus の装甲の前に無力だった。

 その、シンの目は屋上に降下する Wyvern の姿を捉えていた。

 ……せめて香織が乗り込むまで。

 「なるほど」

  Eridanus が Tomcat の腕を掴む。

 「屋上でこそこそしてやがるのは pleiades と小娘か」

 ……気付かれた!

 「邪魔させねぇ !! 」

 しかし、

 「……ふん」

  Eridanus が鼻で笑うと、掴まれた腕が押し戻され……

 「ぐぁっ」

 肘のモーターが爆発した。

 『 DANGER!! 』

 機体監視システムの右肘が真っ赤に染まる。

 次いでメディカル システム 自動作動。右尺骨剥離骨折。

 「…… Shit!! 右腕作動停止、固定。局所麻酔」

 『 execution 』

 直ちに右腕の機能停止、緩衝剤が充填された。

 その隙に、 Eridanus は右掌をぴたりと屋上に据えていた。

 掌に光が集う。今までとは明らかに違うエネルギー量だ。

 「はぁぁぁぁぁ !! 」

 発射。

 「させるかよ!」

 直後、シンが足を払う。

 僅かに逸れた光弾は校舎と大地を両断。

 「野郎!」

  Eridanus は左掌を Tomcat の胸に当てた。すると、 Eridanus の肘より衝撃が疾り、

 「がはっ!」

  Tomcat の装甲を貫いた。

  Tomcat 青い両目の光が点滅、その場に崩れ落ちた。

 「く……まだだ」

 シンの口端を血が伝う。

 『 Life save system ready ……』

 「ひ……必要ない!動け !! 」

 しかし、倒れゆく視界の中で、フィンを展開して飛び立つ Eridanus がノイズ混じりに確認されるだけだった。



     - 屋上 -

 一瞬目の前がホワイトアウトした。

 次いで轟音と激しい揺れが襲う。

 「今度はなによ!」

 目が暗順応し、暗い風景が像を結び始めた。

 「……うそ」

 言葉を失った。

 向こうに続いていた校舎西側が崩壊し、粉塵を巻き上げていた。

 「これもあいつが……?」

 「香織クン、急げ!」

 藤岡の声に振り返る。

  Eridanus がスラスターの蒼炎を曳いて飛翔していた。

  Rabbit は……今の砲撃でバランスを崩し、未だ宙空だ。

 「早く!」

 すると傍らに、感じ慣れた排気が。背後の景色が揺らぐ。

 「あんたはさっさとAMに乗りな!」

 胸部装甲を大きく破損させた、真っ赤なAM、 Minx 。

 「恵ねぇ!」

 「 Wyvern 、 105mm 迫撃砲落として。あいつには借りを返さなきゃならないんだ……早ぁく !! 」

 砲身長 1.8m。戦車の主砲の如き迫撃砲が Wyvern より放り出された。

 『テストで3発しか撃ってないんだ、どうなっても知らんぞ!』

 「上等 !! 」

 恵美は総重量 500kg の迫撃砲を受け取った。衝撃で屋上のコンクリに足がめりこんだ。

 「 キャノン セット!」

  Minx のツールボックスより同調ケーブルが伸び、迫撃砲と接続。ディスプレイにレティクルが走り、 Eridanus を捉えた。

 「燃料なし、時間もなし。 One chance ってやつね」

 恵美は腰を据え……

 「 Fire!! 」

 大気を振動させて 105mm 迫撃砲発射。

 衝撃で Minx はフェンスにまで押し戻された。

 爆音が響く。徹甲弾が Eridanus に直撃。白煙を曳いて校庭に墜落した。

 「うっしゃ!」

 ガッツポーズを入れると、 Minx が膝から崩れ落ちた。

 「香織、あたしのは燃料切れ。後は任せたよ」

 香織はブイサインを返す。

 「任された!セット AM !! 」

 屋上に起立するAM、 Rabbit が香織の声に反応して背面を解放、慣れた動作で搭乗した。

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