そして・・・
閉鎖されたごみ処理場で男の指示を受けつつ少女を迎え撃つ準備を続ける保志と春川。といってもある程度事前に男が見越して準備していたのか、爆弾やらトラップらしきものの仕掛けのチェック位で殆ど二人のやることは無く、最終的に二人は最上階の事務所らしきところで身を潜めて待機していろとのことだった。
「まさかサングラスかけろとか・・・」
「あの人が言うには、あの人形は直視した人間の神経や精神を制御できるそうよ。聞いたときは半信半疑だったけど、実際藤井君が助けられた後、あの人形から逃げる最中に手渡されたサングラスをかけたら、あの人形の動きは全く別物だったわ」
「つまり、俺たちに幻覚を見せるみたいな感じに動きを鈍くして、その隙に殺戮しまくってたって事かよ。」
「あの男の人の話だと、特殊な粒子を発して、眼球から人間の神経を支配する力があるそうよ。その力でお兄さんや、藤井君をのめりこませたみたい。粒子を遮れる特殊なサングラスか、モニター越し、相当な距離からの狙撃であれば彼女を倒せるって・・・。」
「なら狙撃が一番確実じゃ・・・」
「あの男の人凄く狙撃下手なんだって」
「・・・・・・。」
ここにきてしょうもない理由になんとも言えない気持ちになる保志。そして暫くして静寂になる事務所。元々、使われていないゴミ処理場まで来ているのだから当然だろう。
「そういや、なんで春川ついてきたんだ?」
「何でって?あの時倒れた藤井君をそのままにしとく訳にはいかなかったからよ」
「アレは俺を主軸に殺戮を繰り返してるんだぞ。だったら俺から離れてるのが一番だろ。それに俺ならあのおっさんがどの道連れてった気もするし。何より事の発端全て俺じゃん。殺されて当然だ」
「私もそう思う。」
春川は保志に同意した。予想外の回答にやや唖然とする保志。思う節はあるがここまで安直に返されるとは思ってもいなかったからだ。
「あの兵器の手で沢山の人が死んだわ。それを私たちはそれを間近で目の当たりにしてきたわ」
「だからその人たちの分まで生きろって事か?」
「何甘えた事言ってるの?そんな綺麗事じゃ許されないわ。あなたは。あなたは苦しまなきゃいけないの」
「は?」
「一抹の感情で安易な死はもう藤井君には許されない。こんな現実離れした事だから裁かれる事は無いにしても、少しでも良心があるならきっとその呵責に苦しむわ。そしてそれと死ぬ寸前まで向き合っていかないといけない訳よ」
「こんな騒動引き起こした奴が反省するとでも?」
「・・・・お兄さん」
「何だよ。いきなり」
「藤井君のお母さんが電話越しに泣き叫んでたじゃない。あの人形に襲われたのよ。きっと無事ではないはずよ」
「嫌いな奴じゃないが、最低なクソ兄貴だ。どうでもいい」
「そう言い切れるかしら?」
「どういうことだよ」
「殺戮でも被害者が赤の他人だけだったら、きっと藤井君は罪悪感はあってもいつかその感情は消えて、いずれ風化したと思うわ。でも家族にそういった被害者がいたら別。貴方が例えお兄さんがどうでもよくても、家族がずっとその出来事を忘れる事無くいたら、嫌でも貴方はその記憶を蒸し返されることになる。」
「家を出りゃいいさ。」
「学校での貴方を見てる限り、そこまでの気概があるとは思えないわね。仮に家を出れたところで変わらないかもだけど。そう、いつまでも終わった過去を引きづって、卑屈で後ろしか見てない藤井保志君には」
「・・・何だと・・・」
最後の最後での春川の挑発に怒る保志。その時だった。静かだった焼却所で轟音が響き始める。男とあの人形の戦闘が始まったのだった・・・。
出来は兎も角何としても完結まではさせるんDA・・・。次か次に終わらせる予定。




