表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新世紀の殉教者

新しい少年が生まれる

作者: keisei1

 ドラッグボーイ ハイになって 官能 悦楽 肉感的な海に溺れる


 騒音一歩手前の 疾走する音楽に 僕らは身を委ねてやまない


 僕らは 街の至るところにある商業物に唾を吐きかけて 


 自分達が月に突き立てた旗が一番だと雄叫びをあげた


 だけど僕らは立ち止まって考える


 そう言えば 僕らは衝動の赴くままに走り過ぎたと 

 

 僕らは行き過ぎた やり過ぎた 急ぎ過ぎた


 カッコをつけて高速の列車に飛び乗ったはいいけれど


 その終着駅は死の誘惑が立ち込める、死神の墓場だった

 

 そう たしかに誰かが言った通りだ


 大海原に漕ぎ出す 帆船に飛び乗った 一張羅いっちょうらの冒険者達に誰かが贈った言葉


 「待て! 行くな! その先には黄金も 香料も 何もないんだ


 君が時間を費やす価値のある 知恵の果実でさえも」


 夢とパーティーが過ぎたあと 僕らは知る 本当に 本当にその通りだったと



 脳に電極 送る電気信号 ハイになって 分泌される快楽物質


 踊り狂って 獣のように叫び声をあげる音楽に 僕らは体を預ける


 僕らは 街の至るところに散らばる宣伝文句の 全てを疑って


 自分達が 月に描いた ピカソ顔負けの絵が 一番だと咆哮ほうこうした


 だけど僕らは振り返って考える


 言うまでもなく 僕らは衝動と欲望と情欲だけがエンジンだったと


 僕らは 叫び過ぎた 騒ぎ過ぎた 喉も枯れ果てた


 カッコをつけて光速の宇宙船に飛び乗ったはいいけれど


 その行き着く果ては 死臭と死の香り漂う 宇宙の深淵だった


 そう 誰かが言った通りだ 


 刃の突き立てられた山の頂を目指す 一張羅の冒険者達に誰かが贈った言葉


 「待て! 行くんじゃない! その先にはダイヤも 媚薬も 何もないんだ


 君が労力を費やす価値のある 不老不死の妙薬でさえも」


 幻覚と幻視から目覚めたあと 僕らは知る 本当だ 本当にその通りだったと



 僕らが敗北感に打ちひしがれて


 アルコールと煙草にだけに一興を見出すようになった今


 新しい命が芽吹き始めている 


 彼らは僕達よりも派手な服装と 奇抜な言葉でやってくる

 

 それは大げさな身振りで 自分達の新しさをアピールする青年達だ


 僕らは年老いた 全てが間違いだったと知っているけれど


 全てが徒労に終わったと知っているけれど


 人生を悲観せずにはいられないけれど 


 あの青年達を見ると こう思わずにはいられない


 新しく生まれた少年達 あいつらなら上手くやるかもな と

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ