新しい少年が生まれる
ドラッグボーイ ハイになって 官能 悦楽 肉感的な海に溺れる
騒音一歩手前の 疾走する音楽に 僕らは身を委ねてやまない
僕らは 街の至るところにある商業物に唾を吐きかけて
自分達が月に突き立てた旗が一番だと雄叫びをあげた
だけど僕らは立ち止まって考える
そう言えば 僕らは衝動の赴くままに走り過ぎたと
僕らは行き過ぎた やり過ぎた 急ぎ過ぎた
カッコをつけて高速の列車に飛び乗ったはいいけれど
その終着駅は死の誘惑が立ち込める、死神の墓場だった
そう たしかに誰かが言った通りだ
大海原に漕ぎ出す 帆船に飛び乗った 一張羅の冒険者達に誰かが贈った言葉
「待て! 行くな! その先には黄金も 香料も 何もないんだ
君が時間を費やす価値のある 知恵の果実でさえも」
夢とパーティーが過ぎたあと 僕らは知る 本当に 本当にその通りだったと
脳に電極 送る電気信号 ハイになって 分泌される快楽物質
踊り狂って 獣のように叫び声をあげる音楽に 僕らは体を預ける
僕らは 街の至るところに散らばる宣伝文句の 全てを疑って
自分達が 月に描いた ピカソ顔負けの絵が 一番だと咆哮した
だけど僕らは振り返って考える
言うまでもなく 僕らは衝動と欲望と情欲だけがエンジンだったと
僕らは 叫び過ぎた 騒ぎ過ぎた 喉も枯れ果てた
カッコをつけて光速の宇宙船に飛び乗ったはいいけれど
その行き着く果ては 死臭と死の香り漂う 宇宙の深淵だった
そう 誰かが言った通りだ
刃の突き立てられた山の頂を目指す 一張羅の冒険者達に誰かが贈った言葉
「待て! 行くんじゃない! その先にはダイヤも 媚薬も 何もないんだ
君が労力を費やす価値のある 不老不死の妙薬でさえも」
幻覚と幻視から目覚めたあと 僕らは知る 本当だ 本当にその通りだったと
僕らが敗北感に打ちひしがれて
アルコールと煙草にだけに一興を見出すようになった今
新しい命が芽吹き始めている
彼らは僕達よりも派手な服装と 奇抜な言葉でやってくる
それは大げさな身振りで 自分達の新しさをアピールする青年達だ
僕らは年老いた 全てが間違いだったと知っているけれど
全てが徒労に終わったと知っているけれど
人生を悲観せずにはいられないけれど
あの青年達を見ると こう思わずにはいられない
新しく生まれた少年達 あいつらなら上手くやるかもな と