情報屋・ノエル・アンアーリング
「ノエル。それじゃあ、ノックの意味がないだろ。」
「細かいことは気にしないの!それよりも、昨日まで仕事だったみたいだね。クロ。」
「まあな。大したことじゃない。」
「ふーん。」
ノエルは、クロの正面の椅子に座った。クローリドは、端末を操作して一通のメールを見せた。
「これって・・・」
「依頼だ。政府、いや防衛軍からのな。」
ノエルは、まだメールを凝視している。その顔には信じられないとでも書かれてそうだ。
「・・・もう、いいか?」
「あ、うん。じゃあ、まずは情報収集だね。ちょっと、待ってて。」
ノエルは、そう言うと部屋を出て行った。
そう、ノエルはクローリドと同じ秘密特別部隊裏社会管理責任者―――通称<処刑人>のNO.3 情報屋、ノエル・アンアーリングだ。
ノエルは、広い人脈から常人より多くの情報を集めることができる。普段は、自営の喫茶店で働いている。
今度は、ノックもせずに部屋に入ってきた。クローリドは、呆れ顔をしている。
「えっと、今回のターゲットは・・・」
「リーエン。最近、変な行動が目立っている男だ。」
「えっ!?リーエンって、あの暴力団のボスでしょ?防衛軍の依頼内容は・・・」
「リーエン・ティタニア率いる暴力団の殲滅だ。」
「・・・分かった。調べる。」
ノエルの顔が一気に引き締まった。端末をものすごい速さで操作し、情報を収集する。
クローリドは、それをただ見ていた。
すると、ドアがノックされた。
「・・・誰?」
「ユラです。クローリドさん。」
「・・どうぞ。」
カチャッとドアが開いた。そこには、ノエルと同じピンク色のワンピースを着た藍色のセミロングの女の子が立っていた。
「こんにちは。クローリドさん。」
「うん。」