喫茶・ノワール
クローリドは、黒いブーツを鳴らしながら桜の並木道を歩く。周りの雑音は、クローリドの耳には届かない。
白いイヤホンから流れる音楽が、全ての雑音を消してくれる。
クローリドは、音楽が好きだ。音楽を聴いてるときが、クローリドにとっての癒しの時間だ。
この並木道には、いくつかお店があり、ちょっとした人気になっている。
クローリドは、ピタッと一軒のお店に止まると、看板を見た。
お店の名前は、「喫茶・ノワール」
白で統一されている外見は、見栄えがとてもいい。
クローリドは、そのお店の中へと入っていった。
「いらっしゃいませ。」
一人のウェイトレスがクローリドを出迎えた。
「個室番号1373」
「パスのご呈示をお願いします。」
クローリドは、携帯端末のディスプレイをウェイトレスに見せた。
そこにはお店の名前と、使用許可個室の番号、クローリドの名前が書かれていた。
「確認しました。使用許可個室番号1373へ案内します。どうぞ。」
ウェイトレスは、奥にある個室へとクローリドを案内した。個室1373の前で、ウェイトレスはクローリドの方を向いた。
「こちらが、個室番号1373です。他に御用がありましたら、個室にある端末でお知らせください。」
と言い、去ろうとするウェイトレスをクローリドは呼び止めた。
「ちょっと待って。呼んで来てほしい人がいるんだけど、いい?」
「はい。誰でしょうか?」
「店長。部屋に入っていいからって伝えて。」
「かしこまりました。」
ウェイトレスは、クローリドの言葉を聴くとオープンテラスの方へ行った。
部屋に入るなり、クローリドはソファに座った。
しばらくして、コンコンっとノックされる。クローリドが、答える前に扉が開いた。
「おそよー!クロ!喫茶・ノワール店長のノエル・アンアーリングでーす!」
ピンク色のワンピースに白いレースのカチューシャをつけた金髪の女の子が入ってきた。