噂
『彼氏以外とラブホ行ったんだって?彼氏いるのに』
『リア充以下だな』
『このビッチが!』
そんなメッセージがガンズグロウに届くようになった。
なにこれ……
って言うか、誰がせせらぎとのことをバラしたんだろう。
タツキと付き合ってるのもわざわざ言ったことはないし、見たことない人物からもメッセージが届く。
『タヒね、かす』
『くたばれ、ビッチ』
仲間でもなんでもないのに、こんな中傷って…
みなもに相談すると、
「タツキさん、めちゃくちゃ怒ってましたよ。さやかちゃんが悪いんじゃないの?」
と、困ったように返事がきた。
ゆらぎに相談すると、
『バカが言うことにいちいち付き合わなくていい』
と返事。
そりゃそうなんだけど……
まず、誰がいいふらしているのか、真相を確かめないと。
レナに相談すると、
『ちょっと調べてみる』
と返事がきた。
憂鬱……
メッセージは日に日に増えていった。
『女のくず』
『失せろ、かす』
ガンズグロウを開かなければ見ないで済むのに、私はついつい確認してしまう。
もう、プレイどころの話じゃない。
相談したくないけど、せせらぎにも相談した。
『そりゃーさやかちゃんが悪いんじゃないの?』
と、けんもほろろ。
私は毎日毎日、中傷を見るためだけにガンズグロウにログインした。
チャットもやる気が起きなくて、みんなの会話を見てるだけ。
タツキはログインすらしていないようだ。
憂鬱……
レナから返事が来た。
『せせらぎがいいふらしてるみたいだけど、何かあったの、あなたたち』
『せせらぎとラブホ行った……』
『なんでそんなことに?とにかく今からそっち行くから。家にいるんでしょう?』
『うん……』
『すぐ行くから待ってて』
レナが来てくれる……
私は少しだけホッとする。
レナは原付を少々乱暴に停めると家にやって来た。
「話が見えないんですけど?!」
レナはちょっと怒っていた。
私は、居酒屋からホテルへ行った経緯を思い出せる範囲で説明した。
それから、それをタツキに言ってしまって、完全に無視されていることも。
「でも、それだけじゃせせらぎも言いふらしたりしないでしょ?!」
「あー、そういえばこないだ告白されて……」
「されて?」
「断ったの」
「あちゃー、それでか」
レナは頭を抱えた。
「それでって、どういう意味?」
レナは私に向き直ると、言った。
「あんたが振った腹いせに言いふらしてるってことよ」
「え……」
「もっと早くせせらぎがチームにいることを聞いておくべきだったわね。」
「どうして?」
「せせらぎは前にうちのチームにもいたんだけど、女性関係のトラブルがあって追い出したのよ」
「そうなの?」
私は両手をあげて喜べなかったことをふと思い出す。
「どうやら、前のチームも、その前のチームも同じように女性関係のトラブルで追い出されてるの。先日までいたチームも、同様」
「そんな風には見えなかったけど……」
「人は見た目で判断しちゃだめよ」
「うん……」
「で、肝心の中傷についてだけど、あっという間に広がったみたいで、私では対処不能な感じなのよね」
「うん……」
「一度やめて、アカウントとりなおすっていう手もあるけど」
「いや、いい…ゆらぎたちと離れたくないから」
「じゃあ、せせらぎを追い出す?」
「それはリーダーであるタツキの権限だもん」
「上坂くんとは、話してないの?」
「うん、取り合ってくれなくて」
私は思い切り空元気な笑顔を作った。
「私から上坂くんに話してみる」
「いや、聞く気もないだろうから、いいよ」
「だって、さやか、こんなにやつれちゃって……」
私はふと泣きたくなった。
でも、我慢した。




