第3話.洋館の恐怖
険しい崖の上にそびえ建つ洋館。
「‥何か不気味だね」
少年は、私の袖をつかみながら小声で話す。
「邪魔!」
私は、少年の手を振り払い洋館の入り口に向かってすたすた歩き出した。
そもそも何でこんな所に建てる必要性があるのか?
持ち主が人付き合いが嫌でこんな所に建てたのか、はたまた絶壁マニアか?
どっちでもいいけど‥
今回私達がこんな所に居るのには理由がある。
数時間前‥‥
近くの宿
「へーそうなんですか」
「でも、なかなか素人には見つけられないわよ」
宿の女将さんと私の会話。なんでもこの近くの山ではあの【なじ茸】が採れるらしい♪
なじ茸ってのは、世界五大珍味で有名なあれである。焼いてもよし、煮てもよし、どんなに下手くそな料理人でも美味しく作れる魔法のような食材。
それだけじゃなく、このなじ茸は非常に高級品。これ一本で私の愛用の鉄アレイが数ダース単位で買える。
「女将さんありがとね♪」
「‥あんまり無理しちゃ駄目よ」
女将さんは私達の姿を心配そうに見送った。
「‥‥見つからん」
さっきから山の中を徘徊しているが、なじ茸のなの字も見つからない。
「‥ちょっとレニー疲れたよ‥それに‥これって普通は動物とか使ってやるんじゃないかな」
「いいじゃん、アンタも似た様なもんだし♪」
「‥‥‥。」
少年は首に紐を付けられよつんばになっている。
なじ茸は香りが強い。よく嗅覚が鋭い動物を使って採取するって聞いたことがある。
早速、実戦♪実戦♪
先程の少年マカロ(下僕)を使って捜してたというわけだ。けど‥全くもって見つからない。辺りも暗くなってきたので、泣く泣く諦める事にしたのだが‥
「‥‥えーと」
「どうしたの?」
「‥ま‥迷っちゃった、テヘ♪」
「えーーーーー!」
そんな感じで何とかこの洋館を見つけたってわけ。
「ほら、早く」
私はマカロに向かって叫んだ。
‥‥トラブルのもとはいつもレニーなんだよな
少年はボソッと私に聞こえないように呟きこちらに向かって来た
まぁ私の地獄イヤーには確実に聞こえたけど‥
マカロ鉄アレイ+1
私は忘れないようにメモに書き記した。
私達は洋館の中へと入っていった。