一回逝っとく?2
前回半端に終わった続きです
「…うわぁっ♪」
「凄い!」
執事に通された部屋には既に料理が用意されていた。
テーブルの上には、これでもか!と料理の山がところ狭しと並んでいる。
…しかも!料理は和、洋、中、ゲテモノ?と各ブロックに別れていてまるで、競い合っているかの様だ。
「お初に御目にかかるのぉ、私がこの屋敷の主で貿易商をやっておるカシムと申す」
「う…うっ、じゅる♪飯!」
私達は餌を目の前におあずけを食らった犬の如く料理に目を奪われている。
ぐるぐるー!
「まぁ…話しは食事をしながらと言うことで、どうぞ召し上がって下さい!」
その言葉を待っていた私達は一斉に料理に飛びかかった。
「あーっ!それ私の海老ちゃん!」
「それ僕が食べてたんだよ」
「ふっふっふ…貴様!どうやら死にたいらしいな!」
「くっ…逃げちゃダメだ!」
「もう、あなた方…食事くらい静かにしなさいよ!」
リリスが呆れた顔で此方を見ているが、彼女の前には既に空のお皿が数枚重なっている。
「まぁ…まだまだ料理は有りますから…多分」
カシムさんは私達の食べっぷりに圧倒されている。
「くぅー美味い!」
「本当!最高♪」
私達の前には皿の山♪どーんとコイ!おかわりカモン♪
「ふう…お腹一杯♪」
「ホントよく食べたね♪」
「あなた達は食べ過ぎよ!」
リリスの冷たい視線。
…ふっ、そういうアンタもお腹ちょっと出てるよ♪あえて言わないけど。
…さてお腹も膨れたし
「それで依頼なんですが」
私がカシムさんに話しかけると待ってたかの様にカシムは口を開いた…って実際待ってたんだよね。
「実は、取り返して欲しい物があるんですよ」
カシムの依頼内容は…先日この屋敷であるものが盗まれたらしい。なんでも先祖代々から伝わる品で黄昏の宝玉という物で盗んだ犯人達は既に特定しているが強者揃いで手を焼いているとの事。
「…わかったわ♪」
「引き受けてくれるんですね!」
「もちろん」
「では、詳しい話しは執事に聞いて下さい…報酬は品物と引き換えと言うことで私は用事があるのでこれで」
カシムはそれだけ言うと急いで部屋から出ていった。
金持ちって忙しいんだねぇ…まぁ貰える物を貰えば、こっちは関係無いけどね♪
「よし…デザート食べたら行くよ♪」
「まだ…食べるの?」
「凄いですわね、レニーさん!」
二人の視線を無視してデザートに手をつけ始めた私♪
…だって残したら勿体無いじゃん♪
「コックさん!じゃんじゃんもって来て♪」
「ちーす!」
ずらっと並んだコック団が料理に取り掛かった。
そして私とデザート達の壮絶な戦いが今、幕を開けた…。
…そして閉じた。
「ふぅ…すっかり暗くなっちゃったね♪」
「誰のせいで?」
「うっ」
私は、結局アレからずっと食べ続けて最後はコックが…
「食料が尽きたんでもう許して下さい!」
って泣いて頼んだので仕方無くやめた。
最後にあの悶絶プリンのおかわりが欲しかったな♪
「ねぇ…レニー、執事さんの言ってた場所ってアレじゃない?」
マカロの指差した方には一軒のボロ屋がある。
平垣には草が密集していて窓ガラスは所々割れている。
どうみても人が住んでい無い感じなのに家には明かりがついている。
「どうするのレニー?」
「うーん強行突破♪」
「…やっぱり」
「その必要は無いみたいですわ!」
「…お前達あの男の差し金か?」
リリスの言葉を待っていたかの様に私達の周りを何者か取り囲んだ。
皆、頭から全身黒い布状の物をスッポリ被りっていて表情が判らないが、殺気がひしひしと伝わってくる。
その数7、8人。
黒装束軍団は警戒しながら少しずつ私達との距離を縮めて来る。
「どうするのレニー?」
「立ち塞がる者は全てぶっ飛ばすのみ♪」
「でも数が多すぎますわ!」
「そうだよ!」
私達が話している間にも黒装束達はジリジリと近付いてくる。
「ねぇ…何とか逃げようよ!」
…ジリジリ(黒装束達が近付いてくる音)
「完全に囲まれてるわ!」
…ジリジリ
マカロ頭を抱えながら…
「あぁー、レニーと一緒にいるとトラブルばかりだよ!」
…ジリジリ
「しょうがないでしょ!」
…ジリジリ
「二人共言い争っている場合では無いわ!」
…ジリジリ
「ジリジリうっさい!」
近付いて来た黒装束Aに足元の石を拾って投げつけた。
「うっ!」
不意をつかれた黒装束の男は避ける間も無く額に石をぶつけて違う世界に旅立っていった。
仲間が殺られた事によって黒装束達が一斉に動き出した。
「マカロ援護!リリは…何か適当にやって!」
「わかった待ってて」
マカロは術の詠唱にはいった。
「…ちょっと待ってよ!何で私は適当なの?」
リリスが膨れっ面が此方を見ているがとりあえず無視。
黒装束達は私に狙いをつけて一斉に斬りかかって来た。
「待って!いっぺんに無理!」
斬りかかって来る数本の刀を必死で避けながら切実に訴えるが、向こうは聞いてくれない。
…マカロはまだなの?コイツら何気に強い!一人ずつなら何とかなるけど…
その時、一人の黒装束が私の足を薙ぎ払った
「…しまった!」
バランスを崩して倒れ込む私。
そこになだれ込む黒装束達20名。
…増えてるし!
刀が目の前に降り下ろされる瞬間、もう駄目だと目を閉じたその時、
「ほっほっほ!お嬢ちゃん、諦めたらそこで終わりだよ!」
…その声は!
レニー、絶体絶命のピンチ(…たぶん)その前に現れた人物とは敵か味方か?はたまた悶絶プリンか?
…次週に続く