アイシクルクナイ
「アイシクルクナイ!!」
氷の刃が飛び、シュンへめがけて振り下ろされた剣にぶつかる。
「うぉっ!」
金髪男はバランスを崩し、そこへ青い閃光が飛び、剣を弾き飛ばす。
シュンが見上げると、そこにはユキミが立っていた。
「ユキミさん!?」
「クソっ!!」
金髪男達は何かをしようとしていたが、ユキミが強く地面を踏むと、足元が凍り、身動きが取れない。
剣の切っ先を金髪男に向けてユキミは言う。
(イラスト:龍尾先生)
「お前か、私の仲間を傷つけようとしたのは」
「あ、あわっ」
青い戦化粧が塗られた瞼。その目から放たれるのは、冷たく、鋭い視線だった。
「ユキミさん! 俺は大丈夫だ! それ以上やったらダメだ!」
シュンに言われ、ユキミは男達から視線を外し。倒れるシュンに手を伸ばす。
「だ、大丈夫か!? 酷い怪我だぞ!!」
「あぁ、これぐらいなんともないですぜ」
強がってはみたものの、シュンは全身あちこちが痛んでいた。
「シュン……。死ぬな、死ぬなぁ……」
ユキミは泣きそうになりながら言う。
「いや、流石にそこまでは……」
ユキミの手を取り立ち上がるシュン。
やがて、騒ぎを聞きつけた治安維持部隊がやって来て、男たちの身柄を拘束した。
目撃者がいたのと、ボロボロのシュンのおかげで、ユキミはお咎め無しだ。
ほとぼりが覚めたころ、シュンは宿屋でユキミの手当てを受けていた。
傷口を水で洗い、痛む所を氷で冷やしてくれる。
「しっかし、なんでユキミさんはあそこに居たんですかい?」
「宿屋でシュンの部屋に行ったんだ。そしたら居なくて……、心配で……」
「ははっ、ユキミさんは心配症だな。まぁ、今回はそのおかげで命拾いしたんだがな」
だいぶ痛みも落ち着いたのでシュンは椅子から立ち上がる。
「俺はもう大丈夫! 明日もあるんだし寝ましょうや!」
そう言った瞬間、シュンの腹が鳴った。
「……。と言いたい所ですが、腹が減ったんで、飲みに行きましょう!」
「わ、私は酒があまり飲めない……」
「大丈夫、飯だけでも飲み屋は良いもんですぜー」
夜の薄暗い中をシュンとユキミは歩く。
魔法の照明が明るく光る飲み屋街までやって来た。
「それじゃ、この店で良いか。行きましょうやー」
「うん」
二人飲み屋で飯と酒を堪能して、一息ついた頃だ。
「やっぱり、冒険者と言ったら酒なのだろうか」
ふと、ユキミが言う。
「まぁ、飲む奴は多いでしょうな」
美人と美味い料理に酒、シュンは先ほどの事も忘れ、上機嫌だった。
「わ、私も、飲む」
「おっ、無理しなくてもいいんですぜ?」
シュンはユキミを心配したが、本人は首を横に振る。
「大丈夫、何かオススメを……」
「それじゃ、甘いお酒にしましょうかい」
そう言って、甘い酒を注文する。
しばらくして、水色の酒がユキミの前に置かれた。
まじまじとそれを見るユキミにシュンは話しかけた。
「色は珍しいけど、甘くて飲みやすいですぜ。それに水色ってユキミさんに似合うからさ」
「なっ、え、えと」
ユキミは少しあたふたとした後にはにかんで言う。
「ありがとう」




