そうだ、海へ行こう
居間へ戻ると、朝食の準備が整っていた。
ちゃっかりとサキタマも椅子に座っている。
シュンは声を掛けながら歩く。
「よう、サキタマ」
「なんじゃシュンとやら」
食い意地の張ったサキタマは準備されている朝食に目が行っていた。
シュンは味噌汁を分けているチフリに言う。
「チフリさん。ユキミさんは完全に二日酔いだ」
「そうですか」
心配しているのかしていないのか、分からない声のトーンでチフリは言った。
「先に食べて待っていましょうか」
「いやー、悪いねチフリさん。美味そうなメシだ!」
シュンは「いただきます」と言って目の前の味噌汁から手を付けた。
酒を飲んだ翌日の体に染み渡る一杯だ。
「くぁー、染みるねぇー」
「シュン先輩、おっさん臭いです」
朝食を食べ終えて、シュンとチフリはユキミの様子を見に行く。
「ユキミさーん。どうですかー?」
シュンがドアを開けると、ベッドに腰かけるユキミが居た。
「あ、あぁ、大丈夫だ……」
とても大丈夫そうに見えないが、そんな事を言う。
「ちょっと部屋を出る」
ユキミはフラフラと歩き始め、チフリがそれを支える。
「チフリさん、ユキミさんは頼んだわ。俺は冒険者ギルドに行ってくる」
冒険者ギルドに着いたシュンは、クエストの貼り紙を眺めていた。
「なんかこう、イイ感じのねーかなー?」
ひとり言を言いながらシュンは吟味する。
「海までの護衛……。お、結構報酬良いな」
そのクエストの紙を外して、馴染みの受付嬢『レモン』に尋ねた。
「このクエスト、受けるか保留にしておきたいんだけど、できる?」
「あぁ、シュンさん! えーっと……。これでしたら今日のお昼まででしたら大丈夫ですよ!」
「悪いね、それじゃ持ち帰ってみんなで相談してみるよ」
シュンはクエストの紙を家にまで持ち帰る事にする。
「帰りましたよー」
シュンは玄関のドアを開けて言う。
「おかえりなさいシュン先輩」
相変わらずの無表情でチフリが出迎えてくれる。
「良い感じのクエストを見つけてきたからな、皆にもどうかなーって」
今ではぐったりしたユキミと、何を考えているのか分からないアホ面のサキタマ。そしてチフリが椅子に座っていた。
「みんな、海まで護衛をするクエストを見つけてきた」
海と聞いて、ユキミが突如目を輝かせる。
「うみ? 海か!?」
「あぁ、ユキミさん海に行きたいって言っていたし、どうかなーって」
「お、覚えていてくれたのか!? よし、受けよう、今すぐ受けよう!!!」
いつもの引っ込み思案のユキミとは違う食いつきっぷりにシュンは驚いていた。
「まぁ、ユキミさんがそう言うなら……。皆も良いな?」
チフリも頷いて答える。
「私は大丈夫です」
サキタマも身を乗り出していた。
「海と言えば新鮮な魚が食えるんじゃろ!? 行くしかないぞ!!」
「よし、決まりだな!」
シュンは思う。海、海と言えば水着……。
脳裏に金ビキニを着たユキミが映る。
(イラスト:遠州しょんないウォーカー先生)




