妖怪
シュンは息を切らしながら急いで冒険者ギルドへ向かった。
扉を開けると、受付まで一直線だ。
シュンを見て受付スタッフのレモンが言う。
「あら、シュンさん! おかえりなさい!」
「レモンさん。大変だ! 結界が破られて妖狐が出てきた!」
その言葉に、近くにいた冒険者がざわつく。
「本当ですか!? まだまだ半年以上は封印がもつ計算だったのですが」
「いやその、複雑な事情がありましてね……」
シュンはサキタマの事と妖狐の事を順番に説明した。
「そうでしたか……。まずはご無事で何よりでした! そのサキタマという子は上の指示を仰ぎます」
そう言ってパタパタと奥に消えていくレモン。
10分ほど経ち戻って来る。
「えーっと、まずは私が様子を見てくるよう言われまして。ご一緒させていただいて良いでしょうか?」
「もちろんですよ、よろしくお願いしますわ」
レモンを連れて、また街を出るシュン。
妖狐について更に詳しく話しながら目的地を目指す。
遠くにやっと人を見つけてシュンは言う。
「お、見えてきた」
ユキミ達が座って待っているのを見てシュンは手を振る。
レモンも安否を心配して、声を張った。
「ユキミさーん。チフリさーん! お怪我はありませんかー?」
駆け寄ると、チフリが答えてくれる。
「えぇ、私もユキミ先輩も問題ありません」
レモンはホッと胸を撫でおろした。
「良かった……。」
そこでサキタマが地団太を踏む。
「遅いのじゃ! 待ちくたびれたのじゃ!」
サキタマを見てレモンは驚く。
「本当に狐の神様……?」
するとサキタマは胸を張る。
「そうじゃとも! ひれ伏すのじゃ!」
「サーチトゥルー!」
レモンは問答無用でサキタマに、能力値が分かる魔法を掛けた。
「な、何をするのじゃ!」
うーんと苦笑いしながらレモンは告げる。
「その子は神様じゃなくて妖怪ですね」
魔物は知性を持たない。知性を持つ者が魔族であり、更に東の国出身だと妖怪と呼ばれる。
「のじゃー!! 違うのじゃ!!」
自認神であるサキタマは喚き散らかす。
だが、冷淡にレモンは真実を言った。
「神は妖怪より上位の存在です」
「わ、ワシだってこういうの使えるぞ!」
サキタマは自身の周りに火の球を浮かべた。
だが、レモンは笑顔で言う。
「それだけですと、ちょっと厳しいですね」
「のじゃー!!」
その辺でシュンが割って入り話始めた。
「それで、コイツはどうします?」
レモンはうーんと言った。
「危害は無さそうなので、ギルドへ向かいましょう」
道中は他愛もない話をしつつ、街へ到着する。
サキタマは街を見て目を丸くしていた。
「おぉー。栄えておるのう!」
シュンはそんなサキタマに言う。
「そういやお前、300年は封印されていたもんな」




