帰還
シュン達は寝ている場合でもなくなったので、身支度を済ませ、森を後にした。
「サキタマ。お前も来るんだ」
シュンに言われたが、サキタマは拒否する。
「ワシは嫌じゃ! 街へ行ったらどうなることか……」
チフリは冷たい目をしてサキタマに告げる。
「あなたに拒否権はありません。というか、付いてこないとあの妖狐にやられるかもしれませんよ」
その言葉に、サキタマは顔を青くした。
「わ、わかったのじゃ!!」
道中ふと、シュンはユキミに声を掛ける。
「しっかし、ユキミさんは強いな。どんだけ強いんだ?」
「そんなに、大したことない……。父上のがずっと強い……」
空色の唇をぼそぼそ動かしてユキミは言った。
シュンはたいしたこと無いと謙遜するユキミを見て笑う。
「ユキミさんが大したことなかったら、俺はどうなっちまうんだよ」
チフリが代わりに答えた。
「ユキミ先輩がクワガタムシだとしたら、シュン先輩はイモムシですね」
シュンは思わずツッコミを入れる。
「なにその分かりづらい例え!? ってか俺はイモムシか!?」
皆、そんなに寝ていないというのにわりかし元気だ。
空には三日月が上り、星も瞬いている。
しばらく歩くと、夜明けの空が迎えてくれた。
空は段々と赤みを帯びて、太陽が顔を覗かせる。
シュンは思わずうーんと伸びをした。
「俺、日の出って結構好きなんだよねー」
その言葉にユキミも同調した。
「シュン。私も好きだ」
「え? 俺の事が?」
冗談を返したつもりが、ユキミは慌てまくる。
「い、いや、違う! 違うって嫌いって意味じゃなくて! その、私も日の出が好きって意味で……」
「わかってるよユキミさん。冗談だ冗談」
ハハハと笑っていると、ユキミの後ろでチフリが剣に手を掛けていた。
「いや、悪かったって……」
そんな会話をしていると、サキタマがぐずり始める。
「ワシは腹が減ったのじゃ……」
「昨日の夜、たらふく食ったろ!? もうすぐ街だ。我慢しろ」
「嫌じゃ嫌じゃ!!」
面倒くさくなったシュンは仕方ないなと皆にも言う。
「はぁー。それじゃ飯にすっか。皆もお腹は空いたろうし」
サキタマは喜んで手を上にあげた。
「やったー!」
乾燥豆を煮込んで簡単な豆スープを作ってやる。
パンを配り、食器が足らないのでシュンは先にサキタマに食わせてやった。
食事が終わると、一行はまた歩き始める。
遠くに街が見え、シュンはやっと安堵した。
「はぁー。着いた! 終わった!」
シュン達は肩の力が抜けた思いだ。
サキタマは興味深そうに街を見つめていたが。
「シュンとやら、あそこが街か!? 随分と栄えておるのう」
「あぁそうだ。そしてお前はここでお留守番だ」
シュンの言葉にサキタマはぷんすか怒る。
「何故じゃあ!?」
「一応、ギルドに事情を話して許可貰っとかないと。街に入れるわけにはいかんだろ……」
「ワシは悪い神ではない!」
はいはいと話を聞き流し、ユキミとチフリにシュンは言う。
「というわけで、俺が説明してくるから。二人はこいつを見張っていてくれませんかね」
チフリは抑揚のない声で返事した。
「そういう事でしたら」
ユキミも頷く。
「あぁ、任せてくれ」




