義妹と距離感ができて寂しい件
『にい、今日は一緒に帰ろ!』
春休みの終わり頃、会話アプリにメッセージが来た。
断る理由も無いのですぐに『OK』を返した。
『私は掃除あるからちょっと待ってて』
『分かった。暇だったら待つ』
『にい、常に予定なんて無いじゃん』
故意に投げられた言葉のナイフと一緒にギロリと睨みつているアニメキャラクターのスタンプを返される。
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「にい、お待たせ。待った?」
掃除の邪魔にならないように廊下に立って欠伸をしていると玲衣が満面の笑みで近づいて来た。
「めちゃくちゃ待った」
テンプレの質問。もし男女の関係ならば「全然待ってない」が正解パターンだ。それは俺にも分かる。
だがここは敢えて素直に言おう。不満を溜めるのは良く無いしね。
「あっそ、早く行こ」
玲衣はさっさと階段へ向かった。
あれ?今日の玲衣変だぞ。
普段なら頬を膨らませて上目遣いの義妹モードで訴えるのに………。ついに反抗期が来ちゃった?
寂しい。
これから「にい、学校で話しかけないで」とか言われるのかな?それとも「おい、」とかって呼ばれるようになっちゃうのかな?
ブラコン過ぎるのも心配だけどこんな関係になるのは悲しいな。
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*
夜、寝る準備万端の状態でベッドにダイブして大きな溜息を吐く。
「むぅー、なんでにいにあんな態度取っちゃったんだろ?」
思っている事を叫びたい気分だが、隣の部屋に居るにいに聞かれると今度こそ顔を合わせられなくなる為音量を抑える。
そもそも何故こうなったか。
ボーッと天井を見ながら考えていると携帯の通知が鳴り響く。
有美からメッセージが来ていた。
『あの後良泰とどんな?」
どんなって言われても…
にいは普段通りだと思うけど…
返信に悩んでいたら電話が掛かって来た。
「もしもし?」
『義妹ちゃん、私だよわたし』
「詐欺の電話なら切るよ」
『冗談だから!有美だよ!分かってるでしょ!』
「それはそれでなんで電話して来たの?」
今はもう21:30を過ぎている。
有美がこの時間に掛けてくることは初めてだ。
『今頃良泰との事で悩んでいると思って』
さすが10年近くの親友と感じる。
この際に今日の悩みを全て話した。
『ふむふむ、良泰に冷たい態度を取っちゃったと。それ、告白を「気にして無い」って言われたからじゃ無い?』
心臓が跳ね上がる。
そんな訳は無い。にいは義兄として好きで家族だ。そんな筈は………無いと思う。
『もしもーし、玲衣?大丈夫?』
「あっ、なんでそう思うの!?教えてよ!」
『もうこんな時間だ!おやすみ!』
必死の引き止めも空しく、通話終了の音が聞こえる。
ちょっと提出物の期限がまずいので明日は投稿しないかもしれません。




