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告白した義兄と気まずい件

〜遡る事数日前〜


 昼休み中の雑談、小学校からの友人の内村(うちむら)有美(ゆみ)の何気ない一言からだった。


玲衣(れい)ちゃんって義兄(にい)さんのことどう思ってるの?」


「えっ、好きだよ。兄妹として」


 いきなりの質問に若干言葉が詰まったが素直に答えて昼食の続きを食べる。


「ほんと〜?ああなりたいこうしたいとかないの?」


 自分自身何も無い上、冗談だと分かっていても心がドキッと飛び上がる。


「無い無い!にいはにいだから!」


 持っていた箸を落としたのに気付かずに身振り手振りで否定する。


「そんな否定の仕方だとマジに聞こえるよ」


 ニヤニヤしながら返す有美に元々熱かった顔が更に熱が帯びるのを感じる。


「そんなの無いから!」


「ごめんごめん」


 強く否定すると有美が謝罪をする。

 基本的に有美は良い人だが恋バナが好きなのがたまに困る。

 男子が少ない為他校に比べて圧倒的にカップルや恋愛沙汰が他校に少なくこういう話に飢えているのだろう。


 有美は深呼吸をするとキリッとした目つきに変えて話を続ける。


「真面目な話さ、義兄(にい)さんはどう思ってるか分からなくない?彼女とか居ないし」


 何重にも隔てた壁をぶち抜く言葉の弾丸が良泰(よしやす)にクリーンヒットする。


「それはそうだけど…」


 有美が再びニヤニヤとした目に変わり、身を乗り出しように話しかける。


「玲衣ちゃん、試してみてよ?」


「えっ!!!」


 頭が真っ白になる。

 にいはにいだ。

 ただ、もし、万が一、億が一、にいがそう思っているのなら悪く無いと思ってしまった。






―――――――――――――――――――――






「玲衣ちゃん、どうだった?」


 告白の翌日の月曜日、教室に入ると駆け寄る有美が見える。

 暖房の暖かさを感じる前に目を輝かせて聞かれる。




「なるほどなるほど、それで少し距離ができちゃったと。本当にごめん」


 申し訳なさを感じてすごく暗い謝罪をしてくる。


「いやいや、にいもびっくりしているだけだから!今日にいに話すから!」


 実行したのは私だし友人を悲しませたい訳では無いから必死にフォローする。


義兄(にい)さんに一緒に伝えたい」


「いやいや!私だけで大丈夫!有美は気にしないで!」


 有美の顔が少し明るくなる。


「分かった!2人の仲を邪魔しちゃいけないし。本当にごめんね」


「普通の兄妹だから!」


 思春期真っ只中の年齢の兄妹にしては仲が良すぎると思った有美であった。






 昼休み、普段はあまり通らない6組の教室の前に来ていた。


「どうしたの?」


 教室に入ろうとした女子生徒に声を掛けられる。


「に、雪蔵良泰(ゆきくらよしやす)君居る?」


 初めて会話する相手に緊張しつつ要件を伝える。

 いつもの呼び方が出てしまいそうだったがなんとか堪える事が出来た(と思う)。


「ちょっと待っててね」


 女子生徒は快諾して男子グループの見慣れた姿に声をかける。

 入り口を見たにいと目が合うと弁当を置いてやって来た。

 設定のコーナー

 内村(うちむら)有美(ゆみ)

 小中高と玲衣(れい)と同じ。則ち良泰(よしやす)とも同じ小中高。良泰と普通に話せる。

 玲衣が良泰の事を「にい」と呼ぶのを可愛いと思っている。

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