朝はギリギリまで家に居たい件
夕食後、インフルエンザが完治して明日から登校する予定の玲衣が俺の部屋に入ってきた。
「ねえにい、明日は一緒に登校しよ」
「やだ。だって玲衣家出るの早いじゃん」
俺は朝、ギリギリまでダラダラしていたいタイプだ。特に冬の朝はギリギリまで布団に入っていたい。
あしらうと玲衣はハリセンボンの様に頬を膨らましながら身体をポカポカしてくる。
くすぐったいだけでダメージは皆無。
しかし気になるものは気になってしまう。
「ごめん、やめてそれ」
気が済んだのか俺から離れた玲衣はウロウロと部屋を歩いた後、俺のベッドへダイブしてわざとらしく声を上げ始めた。
「あー、久しぶりだから学校までの道忘れちゃったなー。誰か一緒に来て欲しいけど親に頼む訳にはいかないよー。優しい優しいおにいちゃんが案内してくれないかなー?」
うつ伏せのままチラチラとこちらを伺ってくる。
「そんなに不安なら内村と一緒に行けば?」
たいてい玲衣と一緒に登校している玲衣の親友の内村有美の名前を出す。
「あー、有美は明日1人で行きたい気分らしー。困っちゃうなー」
玲衣はわざとらしい棒読みを続ける。
こちらの断る為の手札がなくなってしまった。
仕方ない、一緒に行くしか無いか。
朝は音楽聴きながらのんびり1人で登校したいけど。
「一つ条件がある」
「なに?」
玲衣は病み上がりとは思えない速さで起き上がってこっちをじっと見つめる。
「俺の時間に合わせてもらう。それで良いなら一緒に登校しよう」
これなら最低限のんびりできる。
ここら辺がお互いにとって妥協点かな?
「にい優しい。大好き!」
勢い良く飛びついてきた玲衣をよろけながら受け止めた。
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「にい、早く!学校遅れちゃうよ!」
散歩に行きたい犬みたいに興奮している玲衣。特殊な眼鏡を掛ければブンブン動く尻尾が見えてきそうなほどだ。
朝から玲衣は元気だな。俺はめちゃくちゃ眠たいのに。午前の授業寝れるのあったっけ?
ぼんやりと考えている俺は玲衣に腕を引っ張られながら家を出た。
「にいと一緒に行くの久しぶりだね」
「ウン、ソーダネ」
玲衣に対してテキトウに返事をしているといつの間にか腕を組まれていた。
俺の手がジャンパーのポケットから少し引きずり出されて寒い。
上機嫌の玲衣は急に心配そうに話しかけてくる。
「にい、友達いる?大丈夫?にい、コミュ障気味でしょ?」
某モンスターゲームのカコ”のみを食べされられたが如く目が覚める。
「友達は普通に居るから!ちょっと人見知りなだけだから」
「ごめん。でもにい、やっと起きたね」
小悪魔的な笑みを浮かべる玲衣を見て無性に悔しくなった。
「もう教室だね…」
玲衣は少し惜しい表情をする。
その表情を見ると少し心が痛くなってくる。
「放課後、家で一緒に居られるよ」
優しく言葉を掛けると玲衣の表情は少し晴れた。
*
「玲衣ちゃん、今日義兄さんとなんかあった?」
久しぶりの開口一番、私は親友にぶつかるほど踏み込んだ話題をぶっ込んだ。
「えっ?いやいやいや!特に無いけど!なんで?」
玲衣は顔を真っ赤にしながら激しい手振りで否定をする。
勘で言ったの当たってたの?分かりやす!でもそこが凄い可愛いんだよね。
暫くはそっと見守って楽しもうと決意した有美であった。
某モンスターゲームのカコ”のみの効果:眠り状態を回復




