告白してきた義妹と少し気まずい件
今日、最近買ったスシをやろうとしたら3DSのカセットケースが足りなくなっていた。
「与泰、もう7時半よ〜!起きてきて〜!」
「眠い」
昨日の玲衣の告白でなかなか寝付けずに眠たくなるまでゲームをやっていたら5時になっていた。
しつこく起こしてくる義母の声で漸く布団を出る。
暖房が無いとめちゃくちゃ寒い。
そのため、早足でストーブを効かせているリビングへ向かう。
「にい、おはよう」
「玲衣、おはよう」
いつも通りの挨拶を交わすも少し違う。
いつも抱きつく勢いで挨拶するのに今日は顔をしっかり合わせずに挨拶を交わした。
「あれ、今日は大人し目だね」
「今日はこういう気分なの!」
母の指摘に顔を真っ赤にして焦りながら言い訳をする。
玲衣、どんな気持ちなんだよ。教えてくれ!
―――――――――――――――――――――
眠気と寒さを感じながら学校の敷地へ入る。
俺と玲衣が通っている家から徒歩15分程度の場所にある『新潟県立中央新潟高等学校』。通称『中央』や『中央高校』。
中央高校には3つの大きな特徴がある。
1つ目、敷地に入るとすぐに登る事になる急な坂『乙女の坂』。ここで転ぶと結婚出来ないジンクスが現在進行形で存在する。
2つ目、下駄箱が無い。体育館等の一部教室を除き、土足で歩ける。めっちゃ楽。
3つ目にして最大の特徴。それは男子が少ない。
男子生徒が全校生徒の約5%である。30年程前まで女子校だった影響か、めちゃくちゃ少ない。
「良泰、おはよう!」
坂を歩いていると後ろから声が聞こえる。
登校時間ギリギリに来る上にこの声は俺の中では1人しかいない。
「遥翔おはよう」
塚田遥翔、数少ない同性のクラスメイト。毎日ギリギリ間に合う電車で来ている。
「良泰、何かあった?」
「いや別に」
サッと目を逸らす。中々鋭い。俺が分かりやすいだけかも知れないが。
「良泰のその反応は何かある時だろ。驚かないから教えてよ〜」
擦り寄るに聞いてくる。玲衣にこうやられるのは悪くわ無いが同性のクラスメイトにやられると少しいや、大分キモい。
「分かったよ!言うよ!」
「おう!」
真面目さとゆるさが混じった面持ちになる。
「俺って義妹いるじゃん」
「1組の玲衣さんだろ」
「そう、玲衣に異性として好きって言われた」
遥翔が鳩が豆鉄砲喰らった顔になり足が止まる。
「えっ、まじ?夢じゃ無いよな」
信じられない顔をしながら俺の頬をつねってくる。
「なんで俺のをつねるんだよ。お前の頬つねらないと意味ないだろ」
遥翔の手を振り解き、やり返さす。
「ごめんごめん、ゆめじゃなかったわ。それマジなんだよな」
俺と遥翔の偶にあるじゃれあいよため、笑いながら謝罪してきた後、真剣な眼差しに変わる。
「マジもマジ」
「その後は?」
中央高校では男子の数が少ない為、カップルが殆ど居ないからか興味津々に聞いてくる。
「一旦頭を整理させてくれって」
「なんだよ」
つまんねと言った表情で再び歩き出すと活動開始のチャイムが鳴る。
「やべ!早く行くぞ」
急いで教室に向かう。




