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第4話:旅人と情報屋


第4話:旅人と情報屋


乾いた風が吹き抜ける街道沿いの宿場町。

リディアとヴァルグは、辺境の村エルダンを後にし、次なる目的地へ向かっていた。


「次は……契約者の記録が残る遺跡。〈アステリオの石碑〉って呼ばれていたわね」

リディアは地図を広げながらつぶやく。


「そこに、タロット〈月〉が眠っている可能性が高い。だが、封印されて久しい。普通の手段では入れぬ」

ヴァルグの声は低く、威厳に満ちていた。


そのとき、ふたりの前に現れたのは、旅人風の青年だった。

銀髪に片眼鏡、軽やかな身のこなし。名をリュカという。


「やあ、珍しい組み合わせだね。令嬢と魔獣の旅人なんて、なかなか見ないよ」

彼はにこやかに微笑みながら言った。


「君たち、〈アステリオの石碑〉を目指してるんだろう? 僕なら、封印を解く方法を知ってるよ」

「……何が目的なの?」

リディアは警戒しながら尋ねる。


「僕は“記録”を集めてるんだ。契約者の歴史、魔獣との関係、そして――タロットカードの真実をね」


リュカは、古代契約者の記録を持っていた。

そこには、リディアと同じように魔獣と契約した者たちの運命が記されていた。


「君の契約は、ただの力の共有じゃない。世界の均衡を保つ“鍵”なんだ」

「……鍵?」

「そう。カードはただの魔具じゃない。契約者と魔獣が揃ったとき、真の力を発揮する。〈月〉のカードは、記憶と幻影を司る。君が触れれば、過去の真実が見えるかもしれない」


リディアは迷った。

王都で「呪われた令嬢」と呼ばれ、家族にも見捨てられた自分が、世界の鍵だなんて――信じられなかった。


だが、ヴァルグは静かに言った。

「行こう。汝が選んだ道だ。我は、どこまでも付き合おう」


リュカはふたりに「封印解除の呪文」を教える。

それは古代語による詠唱――


「《開門の詠・エル=ノヴァ》」


遺跡への道は険しい。

だが、リディアの中には確かな決意が芽生えていた。


「私は、ただの令嬢じゃない。契約者として、世界の真実を知るために――進むわ」


夜が更け、星が瞬く空の下。

三人は、〈アステリオの石碑〉へと向かう。


その先に待つのは、過去の記憶か、それとも未来の運命か。


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