第9話 【ゴブリンたちのはじめての休日!社畜式ホワイト革命】
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都市での営業成功から数日後、、
ミサトはゴブ次郎たちゴブリン部隊を呼び集めた。
「は〜い、みんな集合!今日は“お休み”です!」
「お休み……?」
「お休みって…仕事じゃないのか?」
ゴブリンたちはポカンとした顔で顔を見合わせる。
「あれ〜?もっと狂喜乱舞して喜ぶと思ってたんだけど……もしかして、ゴブたち、“休む”って概念が無いのかい??」
「えっ?そりゃあ……今まで“働かなくてもいい時間”なんて、考えたこともなかったからなぁ…休んでたら飯食えなかったし…」
「……やっぱり、どぎついブラック職場出身か……」
ミサトは頭を抱えた。
この異世界でも“労働者が休む”という意識はまだまだ低いらしい。
「いいかい、ゴブたち、休むのも仕事のうちなんだよ」
「「「ふぁっ!?」」」
「働き詰めでボロボロになっても、良い仕事はできない。むしろ怪我に繋がるんだ。
“休息”を取って、リフレッシュして、また元気に働く、、それが“ホワイト職場”ってやつだよ!」
「ボス、、……なんかそれ、すっげー贅沢な響きがするよ!!」
「贅沢でいいんだよ!あとでちゃんと有給もあげるから、ブラックに魂売っちゃダメよ!」
◇◇◇
こうして、ゴブリンたちにとって“人生初の休日”が始まった。
村の広場では、ゴブリンたちが思い思いに時間を使っている。
「おぉぉい、見ろよ、これが“昼寝”ってやつか?
うっひゃー!なんてお日様が気持ちいいんだぁ〜!」
「エルナちゃん、オレにも“編み物”教えてくれよ!」
「ゴブ次郎君、パン作りじゃなく“釣り”ってのも楽しいぞ!」
ミサトはその様子をベンチに座って眺めていた。
「うん!いいねぇ〜……これだよ、これこれっ!
本来、働くってのは“ちゃんと休める”から頑張れるんだよ。休みに贅沢したいから働く。これでいいんだよ!」
『はい。ミサトの労働理念、着実に浸透しています』
「これをさ、都市でも広めたいよね〜。
働き詰めで潰れる職人や、搾取される労働者を一人でも減らすために」
ふと、ゴブ次郎が麦茶のジョッキを手にやってきた。
「ボス。オレたち……“休む”ってのがこんなに幸せなことだとは思わなかった。
こりゃ、働くのも楽しくなるわけだ」
「そうでしょ〜?休みの日は“好きに過ごす”んだよ」
「じゃあさ……次の休み、オレたちで“ゴブリン料理大会”とかやっちゃってもいいかい?」
「うん!もちろん大歓迎!経費から材料費出すよ!」
ゴブリンたちは満面の笑みを浮かべた。
◇◇◇
昼下がり、、
村の広場ではゴブリンたちが“人間の村人たち”と一緒に遊んでいた。
「おい!じいさん、これが“編み棒”か。オレにも貸してくれよ!」
「おう、ゴブ次郎君、お前さんは力加減が難しそうだが、まぁやってみんさい!」
「よーし、見てろよ、オレの手仕事!」
隣では、エルナが子供たちと“石投げ遊び”をしている。
「エルナちゃん、ゴブ蔵たち、石投げ上手くなったよ!」
「えへへ、そう。ミサトさんに“遊びも全力”って教わってたからね!」
ミサトはその光景を見て、心の中でガッツポーズ。
「よ〜しよし、労働だけじゃなく、“地域交流”も大事。現場と地域の信頼はセットで築くのが鉄則だからね!」
その瞬間、耳元に“リリィの声”が聞こえた。
『はい。ミサト。さすが“社畜式地域振興プロジェクト”担当。村民アンケートでも好感度は急上昇です』
「リリィ、それ“社畜”に何でも冠つければいいってもんじゃないからね?」
『はい。では、“社畜式お昼寝タイム”でも推進しますか?』
「むしろゴブ次郎が今、全力でお昼寝をしようとしてるんだけど……あれはホワイト職場の鑑だよ」
『はい。人類史に残る“働かせ方改革”ですね。ゴブリン版』
ミサトが肩で笑っていると、村の老婆が話しかけてきた。
「ミサトさんよ、ゴブリンたちが変わったのはアンタのおかげだねぇ」
「いえいえ、彼らが頑張ったからなんですよ。
私はちょっと“お節介なマネージャー”しただけです」
「へぇ……立派な若者だこと。
この村じゃ“休む”なんて贅沢なこと、誰も考えたことがなかったよ」
「これからは“しっかり働いて、しっかり休む”。
それが“うまく回る村”の秘訣ですよ」
老婆は目を細めた。
「いいねぇ。アンタに次の村長の座、譲りたくなるよ」
「いやいや…それは勘弁してください!」
『ミサト。村長候補リストに追加登録しました』
「ふぁっ?!登録するなぁぁ!!」
◇◇◇
その日の夕暮れ、、
ミサトはゴブ次郎たちと並んでベンチに座っていた。
「オレたちってさ、今まで“生きるために働く”だけだったけどさ、“楽しく生きるために働く”のもアリだなって、今日初めて思ったよ」
「あははっ!それが本当の働き方なんだって、ゴブ次郎」
『ミサト。ホワイト職場伝説、異世界でも展開中』
「はは、……なんか私、“とんでもない異世界改革”しちゃってる?」
『はい。次は“異世界労基署”を作りますか?』
「あははっ!リリィ、それ、真面目に考えてたんだよね……」
ミサトとゴブ次郎、そしてリリィの掛け合いは、夕焼けの空に溶けていった。
その日の夜、、
ゴブリンたちは“休んだ分だけ、明日はしっかり働こう”と誓っていた。
『ミサト、ホワイト労働革命ミッション進行中です』
「異世界でもブラック企業をぶっ壊す……
私の“異世界社畜リベンジ”はまだまだこれからだね!」
ミサトの瞳には、次なる目標、、
“都市のブラック商会打倒”への炎が宿っていた。
続