第8話 【納品トラブル!現場主任ゴブ次郎、緊急対応】
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トーレル商会との初受注、、
50個の“ふわもち蜂蜜パン”納品日。
朝早くからミサトはゴブ次郎たちと共に準備を進めていた。
「今日の納品は絶対失敗できない、、
私の前の世界でも、“最初の仕事”で信頼を得るか失うかが分かれるんだよ」
『はい。ミサト。時間通り、安全に、品質を保って届ける。それが本日のKPI•(重要業績評価指標)です』
「へへっ!オレたちゃ、もう現場でしっかり鍛え上げられたからな!やるぞ!」
ゴブ次郎率いる“配送チーム”は、荷台にパンを積み込み、慎重に都市へ向かう。
だが、その道中、、、
トラブルは突然やってきた。
順調に都市へ向かっていたミサトたちの前に、妙に態度のでかい若者たちが現れた。
「なんだ〜!おいおい、こんな道でゴブリンがノコノコ歩いてるとは、平和なもんだなぁ」
「お兄さんたち、ちょっと道を譲ってくれませんか?こっちは商売中なんで」
ミサトが冷静に返すが、若者たちはニヤニヤしながらよろけたふりをして、荷台の車輪を蹴った。
「おっとっと!これは失礼〜。つまづいちまった。
あぁ〜あ!車輪の軸、ちょっと歪んじまったみたいだなぁ?」
動かすと、ゴリリ、と嫌な音が響く。
「おいおい……!いきなり車輪アタックとか、DQNすぎんだろ!」
「ボス!やべぇ。右後輪がグラグラし始めてる」
『ミサト。彼らの所属、検索中……判明しました。“カンザ商会”の下っ端構成員です。
トーレル商会とはライバル関係にあるギルドです』
「ふ〜ん!なるほどね。うちが新規でトーレル商会と取引始めたのが気に食わないってわけね」
ゴブ次郎が一歩前に出た。
その顔には怒り……ではなく、ニヤリと余裕の笑み。
「お兄さんたち、仕事中に道具を壊されると困るんだけどなぁ。でも、こっちは“現場でなんとかする”のが得意なんでね!」
「ボス!ちょっと離れるけど“現場主任”を信じてくれ」
コクリと頷くミサト。
ゴブ次郎は周囲の木を見渡し、まっすぐに歩き出した。
数分後、大きな“枝分かれのない太い木の枝”を抱えて戻ってきた。
「この枝を使って、軸に補強を入れる。昔、山の盗賊やってた頃に、こういう応急修理は得意だったんだ」
「さっすが!現場主任!」
ゴブ次郎たちは素早く枝を削り、車軸にピッタリはまるよう加工。
他のゴブリンたちが手際よく車輪を押さえ、あっという間に“臨時修理”が完了した。
「こんなことで仕事が止まると思ったら大間違いだぞ?
“現場は止めない”、、それが俺たちの流儀だ!!」
そしてゴブチームが一斉に動き出し、、
荷台の完璧な車輪修理が始まった。
「お、おい……壊されてんのに動じねぇのかよ、こいつら……」
「ヘッ、邪魔してもムダだぞ……
言っとくけど、、俺たちは“喧嘩も強ぇ”からな…!ゴブリンと“殴り合い”してみるかい??次は本当によろけて帰る事になると思うけどな!」
若者たちは歯ぎしりしながらその場を去った。
「んー……やっぱり、こういう“嫌がらせ”はどこにでもあるんだね」
『はい。ミサト。でも対応としては完璧でした。彼らの妨害行為は“現場主任”の冷静な判断力で無力化されました』
「うん。ゴブ次郎ありがとね!次は“リスク管理用のスペア部品”を考えとかないとね」
◇◇◇
その後、、時間ギリギリだったが、ミサトたちは無事に納品に間に合う。
カイルが荷物を受け取りながら一言。
「さっき、うちの若いのから聞いたんだけど…
カンザ商会の連中が邪魔してきたんだって?
お前ら、初回から“因縁”つけられて、よく動じなかったな」
「えぇ、“現場は止めない”。それがウチの“社訓”ですから!」
カイルの口元がほころぶ。
ゴブ次郎たちが荷下ろし作業を開始。
その動きはキビキビしていて、一切無駄がない。
「あはは!……ゴブリンとは思えんな。
むしろ、下手な人間より優秀だな!」
カイルがそう呟いた時、、
別の商会員が駆け寄ってきた。
「カイルさん!市場のパン屋、今朝荷物の一部が遅れたそうです!急ぎ追加納品が必要かと!」
「ちっ……間に合わなければ商機を逃すな……」
ミサトは、すぐに声を上げた。
「盗み聞き失礼!カイルさん、うちのチームで急ぎ追加納品します!“現場対応”はお任せください!」
「んっ?……やれるのか?」
「あははっ!急な追加は日常茶飯事ですよ!社畜なめたらいけません!いけるよね☆ゴブ次郎!」
ミサトの合図でゴブ次郎たちが一斉に動き出す。
「おうっ!ゴブチーム!緊急納品ミッションだっ!
現場担当チームの名にかけて、絶対間に合わせるぞ!」
「「「おうよっっ!!」」」
◇◇◇
結果、、
ミサトたちは予定外の追加納品にも対応し、無事に“納品トラブルを乗り越えた”のだった。
「……お前ら、ただの村人だと思ってたが、
ゴブリン使いとしては世界一かもしれんな」
「ゴブリン使い??違いますって。
私はと〜っても“ホワイトな労働環境を作っていく女”です」
カイルは吹き出した。
「ぶっ!あははっ!よし、次からは100個の発注を出そう」
ミサトは拳を軽く握り、、
「ありがとうございます!」と頭を下げた。
『ミサト。納品ミッション完了ですね』
“リピート確保”。
ミサトの目標が、また一つ現実となった瞬間だった。
続