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第7話 【都市営業!ミサト式プレゼンバトル in トーレル商会】

見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。


 ミサトたちが住む村から東へ半日。

 ようやく“都市トーレル”の城門が見えてきた。


「おおお……すごいね、、ちゃんと城壁ある!」


『はい。ミサト。都市部には“商業ギルド”と“貴族商会”がひしめき合っています。

 我々の狙いは“トーレル商会”中堅層への売り込みです』


「よしっ!気合入れていくよ!ゴブ次郎!」

「おう!オレたち、新人研修バッチリだからな!」


 ゴブリンたちはピシッと整列し、手には“ふわもち蜂蜜パン”のサンプル箱。

 服装も村人の作業着から、少し綺麗な“作業制服”に揃えられている。


 ……とはいえ、門番に止められるのはお約束だった。

「おい、そこのお嬢さん!その後ろのゴブリンたちはどういう……」

「ウチの社員ですけど!(キリッ)」

「しゃ、社員!?ゴブリンが!?」


 門番たちは目を丸くしたが、、

 ゴブ次郎が完璧な挨拶でフォローする。


「お初にお目にかかります。本日は都市営業に参りました、ゴブ次郎と申します」

「むっ!な、なんだコイツ……ちゃんとしてやがる……!」


「ふふふ、異世界にも“ギャップ萌え”ってあるんだねぇ〜」

 ミサトがそんなことを考えて呟くと、周りから、、


「おいおい……なんだ、ゴブリン連れた村人が来やがったぞ」

「商人のフリしてるけど、どうせゴブリンを使った盗賊だろ?」


 城門近くにいた通行人たちが、あからさまに嫌悪の視線を向けてきた。


 エルナが心配そうにミサトの袖を引く。


「ミサトさん、あの人たち、ゴブたちに酷いこと言ってるよ……」

「うん……めんどいから無視しよう。

 ゴブ次郎たちは、ちゃんと働いてる“ウチの社員”だから」


 だが、通行人の一人がゴブ次郎に声をかけた。


「おいっ!ゴブリン、どうせお前ら、また畑でも荒らしに来たんだろ?早く帰れっ!」


 普通ならキレてもおかしくない場面、、

 だが、ゴブ次郎は“にこり”と笑った。


「ははは!オレたちゃ、今は“蜂蜜パンの営業”に来ただけさ。もし、オレたちが荒らすなら畑じゃなく、、

 “市場売上価格”だけにしとくぜ?」


 ジョーク混じりに返すゴブ次郎に、通行人たちは一瞬呆気に取られた。


「……な、なんだコイツ……」


 ミサトは、そんなゴブ次郎の背中を見て、ふっと笑った。


「さっすがウチの現場主任だね〜☆メンタルが鉄筋コンクリート並みだねっ!」

『はい。ミサト。差別的な発言を“余裕のジョーク”で受け流す対応、100点満点です』

「でも、ああいうのはムカつくよね!我慢してくれてありがとうね☆ゴブ次郎!」


「へへ……ボス。心配ありがとうよ。けどさ、オレたちが“現場で認められる”のが、あぁ言う奴らには一番の仕返しだろ?こっから頼むぜ!ボス!」


 ゴブ次郎のその一言に、ミサトは確信した。


「うん、絶対に売ってやろう、このパン」

 ミサトたちは堂々と城門をくぐり抜けた。


◇◇◇


 都市の中でも有名な“トーレル商会”本店。

 案内されたのは、少し偉そうな若手商人、、

 カイルという男だった。


「んー?、まぁ、話は聞いたが……ゴブリン連れて営業に来るなんて、お嬢さん、何かの冗談か?」


「いいえ、うちの“戦力”として連れてきました。うちのゴブ次郎たちは、パン作りから配送、護衛までこなします」

「ゴブリンが戦力ねぇ…? ふ〜ん、で、売りたいのは何だ?」


 ミサトはサンプルの“ふわもち蜂蜜パン”を差し出す。


「村で開発した新商品です。柔らかさ、甘さ、日持ち、どれを取っても従来の村パンとは別物です。一口いかがですか?」


 カイルは一口かじり、、眉をぴくりと動かした。


「ほぉ……これは……悪くないな」


『ミサト。営業交渉、第一関門突破です。ここから“卸価格”と“供給体制”を具体的に提示しましょう』

「オッケ!リリィ」


「ちなみに、この品質で週に100個までは即納可能。

初回取引価格は1個10ゴールド(既存村パンの2倍)ただし品質保証付きです」


「あぁっ!10ゴールドだと……ずいぶんと強気だな?」


「えぇ!味で勝負してますから。御社が利益を出せるよう、配送は自社便でやります。護衛もウチの社員で対応します」


「……ゴブリンの社員が護衛……?」

「はははっ!うちのゴブリンは強い上に、ちゃんと“報・連・相”もできますよ?」


 カイルの表情が引きつった。

 ゴブ次郎が一歩前へ出て、完璧な営業スマイルを決める。

「ご安心ください。報告・連絡・相談、徹底しております」


「うぉぉ……なんだこの異世界感は……ゴブリンが仕事…?」

 カイルは完全に面食らっていたが、サンプルパンの味と、ゴブリンたちの“教育された動き”を見て、しぶしぶ頷いた。


「……よし、わかった!試験的に50個、仕入れてやるよ!」

「ありがとうございます。次回納品は、責任を持ってお届けします」


 “初受注”。

 ミサトの目がキラリと光った。


◇◇◇


 帰り道、、

 トーレルの街並みを眺めながら、ミサトは思わずガッツポーズした。


「やったぁぁぁ!!異世界でも営業成績、叩き出してやったぜぇぇぇぇ!!」


『はい。ミサト。初受注ミッション達成、おめでとうございます。次は“リピート獲得”が課題ですね』


「あははっ!わかってるって!納品対応”と“品質維持”で信頼を掴む!でしょ☆」


 隣でゴブ次郎が誇らしげに胸を張る。

「オレたち、ついに“異世界正社員”だな!」

「うん。ありがとうね!でも“次が本番”だから!ブラック企業みたいに“最初だけ褒めて後で地獄”みたいな真似はしないから!」


 こうしてミサトたちは、異世界ビジネスの第一歩を踏み出したのだった。



            続


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