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第3話 【住む所?収入?異世界OL、無職無宿からのサバイバル!】

見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。


「ん〜、、でさ……私、住む所も、お金も無いんだけど」


 朝礼改革を終えたその日の昼下がり、、

 ミサトは村長の家の縁側で麦茶をすすりながら、しみじみと現実に向き合っていた。


「むむっ!確かに……お主、無職で家無しじゃな」

 村長が困ったように頭をかく。


『現状、ミサトは“ホームレス”かつ“無収入”です。

 このままでは生活基盤が成立しません』


「あはは、私どこでも寝れるんだけど、さすがに異世界でずっと野宿生活はきついですなぁ〜。リリィ、何か案は?」


『はい。ミサト。この村の空き家率はなんと驚異の60%。掃除すれば居住可能な物件が複数存在します』


「ほう、……つまり“タダで住める不動産”がゴロゴロしてるってことね」


『はい。その通りです。問題は修繕費ですが、交渉次第で村から補助家を引き出せる可能性があります』


 ミサトはニヤリと笑った。

 社畜根性が火を噴く時間である。


「村長、住む場所探してるんですけど、空き家って貸してもらえません?」


「ふむ、古い家ならいくらでもあるが……修繕するにも金がかかるぞ?」


「ええ!!まさにそこなんですよ!」


 ミサトは急に大きい声で村長を圧倒すると、ズズイと村長に身を乗り出した。


「村長!私はこの村を“会社”にしようと思います。

 朝礼を続けて、働き方を改革し、収益を上げます。

 その第一歩として、私が“拠点”を持つことで、村も“外部との窓口”ができるんです!」


「おぉ、お……ふむ。確かに今のままでは、外から来た商人ともまともに話せん」


『ミサト。村長ぐらついてます。チャンスです。今こそ、“投資”というワードを使って納得させましょう』


「つまりこれは“先行投資”なんですよ。

 私に空き家を一軒ください。その代わり、この村を必ず黒字にします!」


 村長はしばらく考えた後、、、

「あいっ!わかった!では村の北の方にある空き家を使ってみい!」


「えっ?本当!?ありがとうございます!」

 交渉成立である。


◇◇◇


 午後、、

 リリィのナビに導かれながら、ミサトは指定された空き家へと向かった。


「……うわぁぁ、想像以上にボロいなコレ…」


 そこは完全に“ゴーストハウス”だった。

 壁はひび割れ、屋根には穴が開き、ドアは半分取れている。

 だが、家具は意外と揃っている。埃まみれだが、使えそうな机と椅子もあった。


『ミサト。修繕に必要な資材リストを表示します。現地調達で対応可能です』


「いや〜、、私、DIYスキルゼロだけど大丈夫そう?

 元の世界の頃は、DIYの番組はちょいちょい見てたけど…」


『はい。ミサトの社畜魂があれば乗り越えられます』


「いやっ!技術面はっ?!結局……根性論なのかよ!」


 とはいえ、住む場所を手に入れるためにはやるしかない。

 

 リリィに聞きながら、まずは近くの森から木の枝を拾い、ドアの修繕。

 泥だらけになりながら、ひび割れた壁を土で埋め、屋根には藁を敷き詰める。


「うーん、……ボロいのは変わらないけど、雨風は凌げそうだね」


 社畜仕込みの段取り力で、なんとか“最低限”の生活空間を確保する。


『ミサト。今回の修繕見積り評価•社畜根性Aランクの成果です』


「ん〜…評価基準が、な〜んかブラックなんだよなぁ……」


◇◇◇


 夕方。

 エルナが様子を見に来てくれた。


「お姉さん、お家できたんですね。

 あの〜、お姉さん、お腹空いてませんか?

 よかったらうちの家でご飯食べていきませんか?」


「え、助かるぅぅ……!“OLの異世界野宿飯”とかいうサバイバルストーリーを回避できるなら、喜んで!」


 案内されたのはエルナの小さな家。

 質素ながらも温かみがあるその家で、出てきたのは、、


「……え、これ、パン??」


「うん!村で採れた麦で焼いたんだよ!」


 目の前に出されたのは、直径30センチくらいの“岩のように硬いパン”だった。

 箸で叩くと「コンコン」といい音がする。


『ミサト。この村のパンは、水分量が不足しており、焼きすぎによる石化が常態化しています』


「……いや、石化って、、」


 渋々かじってみると、、歯が折れそうだった。

 味は……うん、ほぼ小麦粉の直球勝負。


「エルナちゃん、これ、焼く時に水とかバターとか使わないの?」


「水は貴重だし、バターは高いからねぇ……」


(そうか、この世界は“贅沢なパン文化”が無いのか)


『ミサト。ここも改革対象ですね。村で“美味しいパン”を作れるようになれば、商品価値が格段に跳ね上がります』


「そうだね。まずは自分の命を守るためにも、食の改革は急務だわ……異世界でも美味しい物が食べたい…でも“腹が減っては戦は出来ぬっ”!!いただきますっ!」


 胃袋を押さえながら、ミサトはカチカチのパンを頬張ると心の底からそう思った。


◇◇◇


 食事を終え、ボロ家へ戻る道すがら。


「リリィ、この村の問題って“食”と“売り方”が核心なんだね」


『はい。その通りです。村人の労働意欲、食文化、販路。全て繋がっています』


「よし、まずは住む場所も確保したし、次は“お金稼ぐルート”を作ろう。……社畜OL、営業活動始動しますっ!!シャキンッ!!」


『社畜ファイト』「うるせ〜!」

 

 桜井ミサト、異世界での転職活動、、

 正式始動である。




            続

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