第15話 【温泉開発大作戦!ゴブリン騒動と新事業プラン】
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朝の村は、いつも以上の活気に満ちていた。
ミサトの掛け声で、村人もゴブリンも一丸となり村の温泉施設の建設に取りかかっている。
「お嬢ちゃん!木材と石材はあっちにまとめて置いとくぜ!」と村の大工が声を上げる。
「あっ、は〜い!まずは土台の補強からお願いします。 雨が降る前に屋根まで完成出来るといいですね」
ゴブ次郎は丸太を軽々と担ぎながら、、
「ボス〜!俺たちゴブリンも負けてられないぜ!!」と元気いっぱいだ。
「おっ!ゴブたち〜!その意気よ。みんなで力を合わせればきっと早く完成する」
『はい。ミサト。ゴブリンの作業効率は村人の約1.5倍です。 ですが、注意散漫でミスも多いです』
「ふふっ、わかってるよ。そこは私のフォローでカバーしないとね☆」
しかし、順調に進んでいた工事現場で突然の騒ぎが起きた。
「キャッ!」
エルナの叫び声にみんなが振り向くと、温泉を守る湯守スライムたちが基礎の周りを飛び跳ねている。
『ミサト。また湯守スライムたちが暴れ出したようです』
「えっ!?ちょっと待ってよ! 工事の邪魔はやめてほしいって!」
ゴブ次郎がスライムを追いかけると、足を滑らせて尻もちをついた。
「うわっ、やべえ!いってぇ〜!」と慌てる。
「みんな、落ち着いて! スライムは温泉を守っているだけだから、優しく誘導してあげて。暴力しちゃダメだよ!」
ミサトがみんなに冷静に指示を出す。
村人もゴブリンも手を伸ばし、スライムに話しかけたり水をかけたりして落ち着かせる。
リリィが分析を続ける。
『はい。ミサト。スライムは工事の振動と騒音にストレスを感じている模様です』
「オッケ。じゃあ作業時間を調整してスライムが穏やかな時間にやろう」
『はい。ミサト。それが1番効率の良い作業プランですね』
スライムたちは徐々に落ち着きを取り戻し、工事は再開された。
◇◇◇
夕方、工事は一段落し、みんな汗を拭いながら浴槽の前に集まった。
「ボス〜、温泉ってどんな感じなんだ?」
とゴブ次郎が興味津々に訊ねる。
「にひひ!さあ、これからみんなに体験してもらうわ☆まだ足湯だけですけどね!」
浴槽へ持ってきた温泉を溜めると、村人たちとゴブリンたちは初めての湯に戸惑いつつも歓声をあげた。
「わあ、こいつは気持ちいい!」
「こいつは、疲れも吹き飛ぶな!」
リリィがツッコミを入れる。
『ミサト。ゴブリンたちが入浴マナーを全く守っていません。足も洗わずに入っています』
「なぬっ!こらこら、ゴブ次郎! まずは足を洗いなさい!そして、ちゃんと足にお湯を流してから入るのがマナーだよっ!」
村人とゴブリンの温泉初体験は笑いを呼び、村に和やかな時間をもたらした。
「今回は足湯だけだったけど、次はちゃんと、男湯、女湯で分けてしっかり肩まで浸かりたいねぇ〜☆」
◇◇◇
夜、ミサトは机に向かい、新たな事業プランを練っていた。
「ん〜?温泉だけじゃなくて、村の特産品を生かした観光プランも作らなきゃね」
『はい。ミサト。具体的にはどんな案ですか?』
「プランとしては、温泉宿を作り、そこに農場の野菜やハーブを使った料理を提供。さらにゴブリンの手作り工芸品も売るの」
資料を広げながら続ける。
「村全体を巻き込んだ経済循環を生み出せば、村も商会も両方ハッピーよ」
『はい。ミサト。そのエネルギーがこの村を動かして行くことになりそうですね』
「そうそう!みんなで一緒に成長するって最高じゃない?」
「よし、温泉施設だけじゃなく、農場や工芸品、食事もセットにして“この村の観光プラン”を作ろう」
『はい。ミサト。それは壮大な計画ですね』
「村の資源を全部使って、村も商会も活気づかせるんだ。これが成功すれば、村は本当に変わるし、村人たちの生活ももっと豊かになる!」
近くでゴブ次郎が腕組みして言った。
「へへっ!ボス。俺たちゴブリンも、温泉の掃除とか接客とか、色々手伝わせてもらうよ。初めてのことだけど、がんばるぜ」
「うんっ!ありがとう。頼りにしてるよ。ゴブ次郎たちが明るく楽しんでくれたら、きっとお客さんも喜ぶよ」
ミサトは微笑みながら、ゴブリンたちの目の輝きを見つめた。
『はい。ミサト。商売は楽観だけでは成り立ちません。データ分析とリスク管理も忘れずに』
「あははっ!そうよね〜、そこは大変だからリリィに全部任せるわ☆」
『はい。ミサト。責任の押し付けはやめてください』
「あははっ!だって、あんたが一番しっかりしてるんだもん」
◇◇◇
翌朝、村の広場で朝礼を行い、ミサトは全員を前に立ち上がった。
「みんな、これからは蜂蜜パンだけじゃなく、温泉や村の特産品、食事も組み合わせた観光プランも始めようと思います」
村人たちやゴブリンたちから歓声があがる。
「おおぉぉぉっ!」
「それにはみんなの協力が必要です。
畑の整備、宿の準備、接客の勉強もしていくよ〜!」
村人たちやゴブリンたちは大きく頷いた。
「よっしゃっ!任せろ! 俺たちが村の顔になるぜ!」
「なんだかどんどんと話しが大きくなって、楽しくなってくるね〜」
みんなのやる気に満ちた笑顔を見て、ミサトは笑顔で言った。
「よしっ!みんな〜!この調子でどんどん盛り上げていこう!」
『ミサト。私も新プランのマーケティングミッションを本格始動します』
「うんっ!頼りにしてるよ!リリィ」
二人の軽口と村人とゴブリンよ笑い声が村に響き、未来への希望を強く照らしていた。
続