第12話 【本丸突入!都市本店ブラック幹部との理詰めバトル】
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「ボスっ!?ほんとに行くのか?都市本店って、トーレル商会の心臓部だぞ」
ゴブ次郎が少し緊張した面持ちで聞く。
「えぇ!行くわよ。こないだの話し、冗談だと思った?
南支店を改革できたんだから、本店の“ブラック幹部”を放っておくわけにはいかないでしょ!」
『はい。ミサトの敵は“本社のぬくぬく幹部”ですからね』
「ぷっ。ぬくぬく幹部…!まぁ☆ひどい言い方ですこと…笑」
ミサトは大通りを進みながら、都市の中心部にそびえる巨大な石造りのビル、、トーレル商会本店を見上げた。
高い尖塔と威圧感ある門構え。入口前には鎧姿の衛兵たちが立ち並ぶ。
「ふふっ!……やるなら一気にねって!」
『はい。ミサト。その通りですね』
◇◇◇
本店ロビー
中は磨き上げられた大理石の床、シャンデリア、そして高級そうな応接セット。
だが、受付嬢の表情は固く、奥では書類の山を抱えて右往左往する使用人たちの姿が見える。
「南支店の立て直しの件で、本店幹部と面談をお願いしたいんですが」
受付嬢は困惑した顔で答える。
「申し訳ありませんが……幹部の方々は予定が、、」
「おっ?ミサトか?」
ミサトが受付嬢と話してると、背後から低く響く声。
振り返ると、南支店で会ったカイルが立っていた。
「ははは、お前がここに来るのを、あいつらは嫌がってるだろうが……
面白そうだから俺が通してやる!なんか楽しそうだしな!」
「あははっ!ありがとう!」
◇◇◇
幹部会議室、、
長いテーブルの奥に座る五人の幹部たち。
金や宝石で飾られた服、贅肉の乗った顔、そして威圧的な視線。
「あー?南支店の件は聞いた。だが、あれは例外だ。
現場に干渉しすぎれば、全体の統制が乱れる」
ミサトは深く息を吸い、言葉を切り出す。
「統制?違いますね。あなた方がやっているのは、“現場の搾取”です」
幹部の一人が鼻で笑う。
「ふんっ!労働者風情が何を知っている。
利益を上げるには多少の犠牲は、、」
「だからっ!!その“多少”が、何百人の命と生活を潰すんですよ!相手は生きている人間ですよっっ!」
会議室の空気が一瞬凍りつく。
『熱量検知。ミサト。声のボリューム上昇中』
「うるさいリリィ!……いいですか、本店が現場を無視した数字だけの計画を立て続ければ、南支店のような崩壊は連鎖します。
利益どころかブランドも信用も失いますよ!」
幹部たちの顔色が変わった。数字の話は彼らに効く。
「それで、君の考えとは…?具体的には?」と一人が渋々問う。
「お話し聞いて頂き感謝します。
まず、現場改善のための教育プラン、シフト管理システム、報連相の徹底。
これを全支店に展開します。費用対効果は半年で黒字化可能」
『はい。ミサト。加えて、労働者満足度の向上は離職率低下に直結します』
「……ふむ」
別の幹部が唇を歪めた。
「だが、それを誰がやる?お前か?」
「ええ。任せて頂けるなら!ただし条件がありますけど!」
ミサトはニヤリと笑みを浮かべた。
「ふん!条件を言ってみろ…」
「はい。まず、私の管理下で“試験農場”と“製造工房”を設立します。
現場の改善モデルを作り、それを全商会に広げる。
それとあなた方には現場を体験していただく!」
幹部たちはざわめく。
「お前さん……南支店の立て直しで調子に乗ってないか?」
「? 調子?違いますよ。これ、あなた方にとっても保険です。
私が失敗すれば責任は全部私に行く。
あなた方は痛くも痒くもない。
でも成功すれば、あなた方の功績にもなる。
そして私が離れた後も現場を知ってればあなた方で回せます!」
沈黙、、、
そして、、カイルが笑った。
「あははっ!いいんじゃねぇすっか?少なくとも口だけの奴じゃねぇ。
南支店の立て直しで結果を出したんだ。試さない理由はないですよね?」
幹部の一人がしぶしぶ頷く。
「ちっ、……いいだろう。ただし半年だ。それで成果を出してみろ!」
ミサトはにっこりと笑った。
「半年もあれば十分です。現場の底力を、舐めないでください」
◇◇◇
本店前•帰り道、、
「ボス!あの偉そうな奴らを黙らせるの、スカッとしたな!オレ痺れちゃったよ〜!!」
『ミサト。途中少しだけ声量が上がってしまいましたが、最後まで一定でした。説得力ポイント加算です』
「なんか、、うるさいなぁ……でも、これで本店を巻き込んだホワイト化計画が始まるわね」
「それで、ボス、次は何すんだ?」
ミサトは都市の賑わいを見つめながら、少し悪い顔をした。
「ひっひっひ!まずは“試験農場”の立ち上げ。
そして、ブラック上層部を現場研修に放り込む」
『ミサト。社畜地獄を、逆に体験させるんですね』
「そう。“やられる痛み”を知らないから、、“相手の辛さ”を分かれないから、平気で人を潰すのよ。
……なら、知ってもらうまでよ!あ〜はっはっ!」
こうして、ミサトの“本丸改革”は静かに動き出した。
、、一週間後。
炎天下の畑で、額から汗を滴らせながらクワを振るう男たち。
絹の服は泥にまみれ、白魚のような手はマメだらけ。
その顔ぶれは、、トーレル商会の幹部たちだった。
「ひ、日差しが……目が……」
「ひぃ〜、腰が……立たん……」
「なぜ、、我々がこんな目に…」
畑の端で、腕を組んだミサトがにっこり笑う。
「あーはっはっ!みなさん!まだ午前中ですよ!午後は製造工房で納期三日分の作業を研修してもらいますからね〜☆」
『はい。ミサト。笑顔が怖すぎます』
こうして“現場を知らぬ上層部”への教育は、容赦なく始まった、、。
続




