第1話 【異世界転職!?社畜OLと毒舌AI、ブラック世界に降臨】
見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。
本当、、人間、死ぬときは呆気ない。
桜井ミサト(28)、冴えないOL、、
社畜歴8年、彼氏ナシ、趣味は寝ること。
今日も今日とて、会社に潰される寸前だった。
「はぁ~、“異世界転生”でもしないと、このブラック人生リセットできないわ~」
その時だった、、
コンビニの少年がガチャガチャカプセルを転がし、
店員がそれを避けようとして段ボール箱を崩し、
飛び出したパーティーピストルが棚に置いてあった招き猫•(セメント製)を撃ち落とし、、、
「え、ちょ、ま、、じ、」
ゴンッ。
その瞬間ミサトの視界は真っ白になった。
◇◇◇
『……目が覚めましたか?』
真っ白な空間で、金髪碧眼の女神様が立っていた。
でも、そのテンションはやけに低い。
「桜井ミサトさん、あなたは奇跡的に間抜けな連鎖事故でお亡くなりになりました」
「はぁっ!間抜けとか言うな」
「いえ、事実です」
女神は平然とペコリ。
ミサトは生きていたら本気で女神に“シャイニングウィザード”を飛ばしていただろう。
「さて、桜井ミサトさん。異世界転生のお時間ですが、残念なお知らせがあります」
「ははっ、残念って……おいっ?!まさかチートとか、無い感じ?」
「はい」
即答である。
「ですが、それではあまりにも不憫なので、、
せめてものお詫びに“これ”を差し上げます」
女神が差し出したのは、手のひらサイズの透明なキューブ。
その中から冷静な声が響いた。
『初めまして。人工知能サポートシステム《リリィ》です。本日より貴女の“異世界社畜ライフ”を全力サポートいたします』
「……いやいや、異世界で社畜サポートって何!?
効率よくサービス残業とか、、」
ミサトのツッコミを無視して、女神は微笑む。
「ふふ、では、健闘を祈ります。行ってらっしゃい」
「ちょっ!?まだ私、行くって言ってないしぃぃぃぃ!!」
ポン、と背中を押された瞬間、ミサトの体は重力に引かれていった。
◇◇◇
、、、ドサッ。
「……いてて。私生きてる?いや、死んでるのか?」
そこは見渡す限りの草原だった。
空は青く、鳥がさえずり、風が心地よく吹き抜ける。
「てかさ…ここどこじゃい??」
『はい。ミサト。現在、状況分析中。
、、結論、ここは文明レベル中世相当の異世界です』
ミサトの耳元で、あの無機質ボイスが響く。
「んー?……リリィさん、今のこの状況…説明してくれる?」
『はい。承知しました。ミサトは異世界転生に伴い、チート能力無しで社会復帰することとなりました。
私はそのサポートAIです』
「いや、社畜に社会復帰もクソもないからね!?転生してまで働かせるのかいっ!」
『貴女の能力値は全体的に“平均以下”ですが、会社員歴8年分の“根性値”は特筆すべき数値となっております』
「うわぁ、社畜スカウター発動しとる……
しかも能力平均以下だと…そんなこと言うなよぉ、、」
呆れつつ、落ち込み、ミサトは立ち上がる。
『まずは、初期ミッション“生存環境の確保”を推奨します』
「要するに住むところ探せってことね……。
どこかに村とか無いの?」
『調べます。、、、
1.2km北西に集落反応あり。歩行時間、約20分』
「20分!?……歩けと?…それか、タクシー代出る?」
『いいえ。歩きです。社畜根性で乗り切りましょう』
ミサトは深く溜め息をつき、草原を歩き出した。
「ったく、せっかく異世界来たのに、やることが村探して“就職活動”かよ……私にも創造魔法ぶっ放させろよ〜!」
◇◇◇
「、、あの〜、どちら様ですか?」
20分後。
小さな村の入口で、麦わら帽子を被った少女が声をかけてきた。
「えーっと……職探しに来ました、桜井ミサトです」
「職探し……?」
少女は困惑している。無理もない。
異世界にスーツ姿で現れる女なんて、そうそういない。
『提示されたデータによると、この村は人口減少と労働力不足で困窮しています。社畜向けの求人は充実している模様』
「ほう、激しくブラック臭しかしないわね……」
だが、他に行く当てなどない。
「じゃ、とりあえず、お邪魔します〜♪」
「え、あの……えぇ!?」
ミサトは少女の制止を無視して、村の奥へと歩き出した。
その背中に、リリィの無機質なボイスが響く。
『では、初期ミッション“村の労働環境改善計画”を開始します』
「なぬっ!ミッション制なのかよ??
くそがっ!転生しても社畜地獄再びかよ……!」
ミサトの絶叫が、のどかな村に響き渡った。
続