地獄は続くよどこまでも
何度目だろう
累計借金は何千万円に達しただろう
もう覚えてない
思い出したくもない
凄惨な負けをどこからか持ってきた親の金で精算した私は、しばらく廃人のようになっていた
ギャンブルする金など当然なく、だからと言って働く気力も起きない
食事と排泄時のみ布団から出て、それ以外は一日中布団に篭る日々
私はそんな無為な日々を漠然と暮らした
気づくと一ヶ月が経っていた
カレンダーを見て、何もせずに生きると一ヶ月ってこんなにもあっという間に過ぎるのだなと妙に感心した
私は気づいたら賭博場にいた
金は無い、はずだった
何故か解約した消費者金融への借入申し込みが通ってしまったのだ
なぜか親に預けていたクレジットカードを見つけてしまったのだ
何故か軍資金ができてしまったのだ
私は当然の如くポーカーの席に着いた
100万円しかないため、慎重に低レートの1/2の卓へ座った
収支もつけることにした
楽しくて脳汁が出た
生きているという感覚を取り戻した
翌日、翌々日も僅かな睡眠と休憩で身体はどうにか持ち堪えているようだった
4日目、ふと収支表に目をやってみた
すると、確かに収支上は僅かにだが、数万円程度勝っている
しかし、レーキでマイナス20万円にまでなっていた
レーキ…
ただ、場所とディーラーを用意することがそんなにも偉いのか
私は苛立ちを覚えた
ティルト、してしまった
すぐにハイレート卓、10/20へと座っていた
そして、殆ど記憶がないのだが、数時間と経たずに私はチップを失っていた
即ち、借金100万円が手元に残ったのだ
100万円と聞くと、今までの借金合計額に比べて毛が生えた程度に感じたが、しかし、果たしてこの100万円を得るためには何百、いや、何千時間働かなければならないのだろう
100万円、その巨大さに思わずえづいてしまった
私はどうやら一生ギャンブルからは逃れられないのかもしれない
それでも、ほんの僅かでも借金が返せるように、減らせるように、ギャンブルをしなくて済むように、働くしか無いのだろう
しかし働く気力が湧いて出るのだろうか
高々時給千円ちょっとで借金は返せる日は来るのだろうか
そして、たった数時間で何十、何百万円が動く感覚を味わってしまった私に、そんな仕事が続けられるのだろうか
未来は闇しかない




