情報収集 ver.ゴルゾニーヴァ
その後私はすぐに屋敷の自室に戻りゴルゾニーヴァに通信をした。
八年ぶりだったのですぐには出ないかと思ったが私の予想を裏切りすぐに繋がった。
「ギャハハハ! やっぱりお前を転生させて正解だったぜぇ、リベル! 聖女と決闘とかお前ホント持ってるなぁ。ヒャハハハ!」
八年前と全く変わらない不愉快な笑い声をあげる。ムカつくが今は時間が無いので手短に情報を収集する。
「質問よゴルゾニーヴァ、聖女にスキルが効かなかったんだけどあなたが何かしたの」
「おい……おいおいおいおい! そんな冷める事俺様がする訳ねぇだろぉ! 俺様は滑稽な喜劇が見てぇんだよ。ピエロが転ぶのを見たくても観客で足をひっかけねぇだろ。ピエロは何もない所でてめぇで転ぶから面白れぇんだよ」
こいつの事は信用していないし、この発言も理解不能だけどこいつがやってない事は本当だろう。もしこいつが何かしていたらこんな嘘は吐かずに正直に言い、こちらが悔しがる顔を見たいはず。こいつはそう言う奴だ。
「じゃあなんで効かなかったのよ」
「お前に教えてやる義理も義務もねぇが俺様の優しさで教えてやるぜ。心して静聴しやがれ」
ツッコミどころだらけだが今は少しでも情報が欲しいので無視する。
「聖女にお前のスキルが効かなかったのはな、糞アマ……ベルシアのせいだよ。お前の力は俺様由来だからな、糞アマに近い存在には効かねぇんだよ。分かりやすく言やぁ、お前はマイナス百の力を持ってるとして聖女はプラス百以上の力を持ってて相殺されたんだよ」
「あなたよっぽど女神を恨んでるみたいだけどあなたも女神に恨まれてるのね。私の情報がどこからあの聖女に漏れたか疑問だったんだけど、女神経由で漏れたのかしら」
「ああ、両方イエスだ。あいつにとっても俺のやる事は好ましくないらしいからな。それと女神にバレたのはあの男経由だろうぜ。女神も送った奴のその後を見れるだろうからその時にお前の存在がばれて聖女に伝えたんだろうぜ」
どこから聖女に漏れたのか疑問だったが思わぬところで解決した。
正直私は別にゴルゾニーヴァの僕では無いので勘違い甚だしいが、女神にとってはどうでもいい些事なのだろう。
少し話が逸れたが今はスキルが効かなかった事だ。
理解すればする程私の世界一理想の女の子は弱体化していく。普通の転生チートスキルなら逆じゃない?
「それなら女神側の人物には効かないのかしら」
「いんや、さっきも言ったろ。お前が百だとして五十くらいの奴なら普通に効くし、九十くらいの奴にもお前流に言やぁ好感度上昇効果はあるだろうな。ま、殺し合う前に多少仲良くなれる位のもんだろうがな」
「その数値が増える事は無いの?」
「俺様は一定量の力と能力をてめぇに与えただけだ。使って能力が成長させればその内総量も増えていくわな。あとスキルについて理解して全力発動すれば一気に強くなるとかも聞くが、こっちはお前にゃ無理な話だな、げひゃひゃ」
言ってろ肉塊。こっちにも生活があるのだ、生活基盤を壊しかねないスキルのベタ踏みなんか出来る訳がないだろう。
先程の説明でなんと無くだが理解出来た。そう言えば男の転生者にも効きが悪いと思ったがまったく掛かってなかったのか。
しかしそれを考えると基本女神陣営にはスキルが効かないと思って行動するべきかしら。
「そんじゃあ、もう質問はねぇか。ねぇなら切るぞ」
「いいえあるわ。女神の……いえあなたのも含めて転生者と転移者って何人いるのかしら」
「……」
ゴルゾニーヴァはしばし沈黙する。
「教えねぇ、って言いてぇが詳しくは知らん。相手の軍隊の武力情報が割れてるってほぼほぼねぇだろ? まあ転生ってホイホイ出来るもんじゃねぇし両手で数えられるくらいの人数じゃねぇか。俺は今んところお前だけだ。あと転移者ってこの世界に生きたまま来る奴だよな? そうなるとマジで分からん。あれって俺様達神ですらよく分かって無いんだよ。感覚で言やぁある日家の中にアリが一匹居たって感覚に近い。迷い込んだのか意図的に入れたのか自ら入り込んだのか分からねぇだろ?」
ゴルゾニーヴァは最後に「ま、転移者に関しては稀だから、見れたらラッキー位の感覚で居たらいんじゃね」と言って一方的に通信が切れた。
正直かなりイラっとしたがそれ以上に得られた情報も多いのでよしとする。
ゴルゾニーヴァの言い分を信用するなら転生者は十人位か、口ぶりからしてもう少し少ないかも知れない。全ての猛攻をしのげば私が最強に……なる事は無いだろう。
私のスキルは下手に使えば自分すら切りかねない諸刃の剣、便利なカッター位の感覚で使うべきだろう。
因みに使わないと言う選択肢は毛頭無い。腐っても鯛と言う諺があるが腐っても神由来のスキルなのだ。それにこのスキルの本質は十分理解しているのでこれ以上ヤバい事になる事は無いだろう。いや今の現状を考えると十分理解出来ているとは言えないが……まあ大丈夫だろう。
とにかくまともにやり合って転移者に勝てると思う程楽観視は出来ない。なので避けられるなら避け撃破出来そうならその都度撃破すると言った感じだろうか。
今後の行動方針をざっくりと決めた所で、とりあえずは目の前に迫っているシャノン戦の対策を練るべきだろう。
今の使い方ではシャノンに私のスキルは効かないし。撃退後の影響を考えたら世界一理想の女の子の全力発動は避けるべきだ。
そうなると真正面から実力で撃破となるのだが、正直初めの時に襲われた時にも感じたがまともにやり合っての勝率はかなり低い。
私もそれなりに魔法を使う事は出来るのだが実践経験はゼロなのだ。それに対してシャノンはそれなりに戦闘経験もありそうなのでこの差を覆すのは難しいだろう。
加えてシャノンのスキルは間違いなく戦闘寄り。スキルの対決では分が悪い。……手が無い訳では無いが、いやあれは駄目だ。発動に掛かる時間も発動後の事を考えても使わない方向で行こう。
そこで私が考えたのはシャノンの弱みを握りこの決闘を流す、もしくは八百長して勝つと言う方法である。
どんな人間でも弱みや知られたくない事の一つや二つはある物だ。それをこの一週間で握ってシャノンを脅すのである。
正直今から戦闘面で鍛えるより勝率は高いと思うし、何より私の性に合っている。
女神の転生者か何か知らないが邪神の転生者の狡猾さを舐めるなよ。




