スライム
ダンジョンに入り早速スライムを探し始めると、すぐに見つけることが出来た。
前に見た時は鑑定しても種族名しか分からなかったが、今はどうだろう?
あの時は鑑定を身に付けてすぐだった。
今なら鑑定は天眼さんになって鑑定能力はカンストしている。
何処まで見れるのか楽しみだな。
【種族:スライム
性別:無し
lv: 1
スキル:酸Ⅰ 捕食Ⅰ
HP:100/100
MP:0/0 】
これがスライムのステータスか。
lv、スキル、HPまで見れるのは、予想通り今後の戦いで有利に働きそうだな。
人とモンスターで表示が違うところがあった。
年齢。モンスターは歳をとらないから必要ないのかもしれない。
職業。これは人型のモンスターでも出て来れば変わるかもしれないが、スライムには必要なさそうだった。
モンスターは種族自体が職業とも言えるかもしれない。
MP。このMPは、M (マジック) P (ポイント)か、もしくはM (モンスター) P (ポイント)で、かなり状況が変わる。
M (マジック) P (ポイント)だったなら、今後、魔法系の力を持つモンスターが現れるかもしれなく、人間側も魔法を覚える事ができる可能性がある。
スライムにMPが0でも表示されている事から、人の場合はEPを消費する事でスキルだけでなく魔法も使える様になると予測出来る。
しかしMPがM (モンスター) P (ポイント)だった場合、モンスター特有の特殊なスキル持ちが今後出て来るのかもしれない。例えば、エクストラスキルとか?
「天眼みたいなチート持ちのモンスターとは出会いたくない。フラグか」
まあ、これらはあくまで予想で、実は両方の意味を持つMPなのかもな。
それにしてもこのスライム。lvが俺よりも1も高いのか。
0と1との差がどのくらいあるのか分からないけど、勝てない相手じゃない筈だ、多分。
スキルは酸Ⅰと捕食Ⅰ。これは不用意に触っていたら危なかったかもしれない。
このスライムを観察した様子と所持スキルから見て、このスライムというモンスターの戦闘スタイルはカウンター型だ。
スライムは移動速度が遅く、見た感じウネウネとしているだけにしか見えないが、試しにスライムの上に石を落としてみる。
ジュワアア~~~~
落とした拳大の石が、スライムに触れた部分から溶けていき30秒ほどで消えてしまった。
用意していた武器のほとんどが使えなくなった。
使えそうなのはライターバーナーぐらいかな?
早速試してみる。
カチッ! ボゥーーーーー
「きゅう~~~~~!」
バーナーの火を入れるとスライムが鳴き声?のようなものを上げて、ゆっくりとだが火から逃れようとしている。
いきなり弱点を引き当てたのかもしれん。
ーーー
3分ぐらい連続で火を当て続けると、バーナー本体が熱くなったので、一旦冷ますためにバーナーを止めて、スライムのHPを調べてみた。
【種族:スライム
性別:無し
lv: 1
スキル:酸Ⅰ 捕食Ⅰ
HP:82/100
MP:0/0 】
たったの18しかダメージが与えられないのかよ。
このバーナー1300度なんだけど、スライム強すぎない?
黒いGとは比べものにならないくらい生命力が強い
これが俺とのlv差の影響なのか。それとも生き物の恐れる火が、スライムには効果が薄いのか。
このバーナーの合計使用可能時間は約20分、替えのライターが一本で、さっき3分使ったから、残り使用時間が約37分、スライムに与えるダメージが毎分6ダメージだから、合計222ダメージを与える事ができる。
これなら一先ずこのスライムを倒す事はできるな。
時間は掛かってしまうが倒してしまおう。
ーーー
休憩しながらも火を当て続けること約14分。ようやくHPを全て削る事ができた。
「……天眼が使えない?」
スライムを倒すまでは天眼さんの空間把握能力が使えていた筈が、スライムを倒した瞬間全く使えなくなってしまった。
どど、どうそよい? ごめんパニクった、どうしようだ。
いや、原因は何となく分かる。多分EP不足が原因だ。
スライムを倒す事によって俺のlvが上がりEP表示が正常に戻ったからとかそんな感じだろう。
嫌な予感はしていたんだ。
EPが無制限に使えるなんて幸運が、よく死にかける俺にある訳がないとは思っていた。
天眼は鑑定、空間把握、気配感知の大体3つの能力が備わっている。
そんなスキルが生半可なEPで扱える訳がない。
しかも空間把握と気配感知は常時発動型のパッシブスキルで常に一定のEPを消費していると思われる。
そんな事は少し考えれば分かる事なのに、ダンジョンの事やチートスキルを手に入れた事で浮かれすぎていたのかもしれない。
こうなったら、早急にlvを上げてEPを増やす。
鑑定以外のパッシブ分のEPを稼げれば再び天眼が使えるようになるはずだ。
幸い、スライムはもうステータスからカウンター型だと分かっていて、安全に倒すことが出来る。
そういえば、天眼さんの事で蚊帳の外されていたが、先程倒したスライムはHPが0になり30秒程度経過すると、空気に溶けるように消えてしまった。
その代わりスライムが消えた場所には銀色のリングが残されている。
「これがゲームで言う所のドロップアイテムか」
銀色のリングを指で摘んで拾い観察する。
この銀色のリングはただの貴金属かもしれないが、ファンタジーなダンジョンで手に入った物だ。何か特殊な効果があってもおかしくはない。
一応指に嵌めておく事にする。効果が経験値上昇とかだと良いのだけれどな。
「サイズの合う指は薬指だけだな。右手はフリーにしておきたいから左手の方がいいか」
さて、どんどんスライムを倒していこう。
スライムを見つけ、バーナーで炙っていき、途中で空になったライターを交換して、17分後スライムを倒した。
「倒せたが、この方法だと時間効率が悪いな」
今回はドロップアイテムはないのか。
「あっ」
思い出した。
確かスライムに塩を混ぜると水分が抜け固まり、レモンを混ぜると逆にドロドロに溶けてしまうと、サイエンス番組で見たことがあった。
まあ、もちろんホウ砂と洗濯のりから作るスライムの事だが。
モンスターのスライムに塩とレモンが効くのかは分からないが、今ある調味料系でも試してみる価値はありそうだ。
一旦、テントまで戻り、サブザックから武器にならなかったものを取り出しテント内に投げて入れる。
そしてバッグから醤油、塩、砂糖、レモン、バター、とこんなものかな?
あと調味料ではないけど手洗い洗剤と水なしシャンプーなんてのも効果があるかもしれない。
もう一度ダンジョンに戻りスライムを見つける。
スライムにまずは醤油をかけて5分待つ。特に変化なし。
続いて砂糖をかけ5分。
バターをかけ5分。
まるでスライムを調理しているみたいだな。
次は結構期待している塩をかけてみて5分。変化なし。
レモンをかけ5分。変化なし。
ダメだったか。今持っている調味料は全滅だな。
塩とレモンを思い付いた時には結構良いアイデアだと思ったんだけどな。
残るはついでに持ってきたシャンプーと洗剤。
まずは期待薄のシャンプーから5分。予想通り変化なし。
そして実はそこそこ期待している洗剤をかけてみる。
「ぎゅう~~~~~!!!」
「おお!」
スライムがダメージを受けている時の鳴き声だ、それにバーナーで炙った時より苦しそうに聞こえる。
今は鑑定が使えないので、どの程度スライムのHPを削っているのか分からないが、バーナーよりは確実に効率が良さそうだ。
洗剤をかけてから30秒ぐらいで、スライムが動かなくなって消えた。
これでスライムの弱点が分かったな。
流石、マナーの悪いキャンプ客が川に垂れ流して川の生き物の大量死を招いているだけはあるな。
早速ダンジョン内のスライムを倒していきlv上げをする。
30体ほど倒したところで洗剤が切れたので、ダンジョンを出てテントまで戻る。
その30体の内13体がドロップアイテムを残した。
ドロップアイテムは、9個が黒い小石、2つが銅と思われる拳大の塊、あとスクロールが1つと短剣が1つとまあまあの成果だった。
「短剣って、これ持ってたら確実に銃刀法違反で捕まる」
包丁も十分に不味かったが、短剣の方は言い訳のしようがなかった。
短剣や重い物は持って帰らず、ダンジョンの入り口近くにでも隠して置いておこうか。
スクロールは、天眼さんが戻ってきて鑑定できるまで使うのは避けないとな。また今と同じようにEP不足の状況に陥るかもしれない。
「さて、武器の調達&昼ご飯でも買いに行くか」
近所にスーパーマーケットがあるのでそこに向かう。
テントや荷物はそのままにして、服を私服に着替え、
財布とスマホ、空にしたリュックを持ち、森を出る。