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妹さん達の入学式



 良かった、遅刻しないで済んだ。


 教室に入り自分の席につくと、俺が来たことに気がついた慶が近づいてきた。


「今日は遅刻しなかったみたいだな」


「当たり前だ」


 本当はギリギリだったがな。


 通学路をショートカットして、さらにlv62の身体能力を使って時間を短縮したお陰で何とか間に合った。


「慶も遅刻はしなかったみたいだな」


「それこそ当たり前だろ」


「だよな」


 妹の入学式がある日に、態々遅刻して入学式に出れない兄なんて、かなりのレアケースだ。


「まあ、俺の遅刻話はこのぐらいにして、もっと建設的な事を話そう」


「建設的な事ね。なんかあったかな?」


 話し合わないといけない事が俺達にはあるだろう。


 昨日の未発見ダンジョンから出てきた小鬼のモンスターの話だ。


「冗談、冗談だよ光希。あまり怖い顔するなよ」


「別に怖い顔はしていない。少しムカついただけだ」


 慶が分かっている筈なのに恍けて本題に入らないからな。


「昨日の鬼の件だろ。でも光希がギリギリで来たから、今は時間がないんだよ」


「遅刻時間ギリギリで悪かったな。話は昼休みにでもゆっくりとすれば良いだろ」


「分かった。ならこの話は飯を食いながらでもしよう」


「ああ」


 昼休みに昨日の話をする約束になった。


 慶と別れて、カバンから筆記用具を机に仕舞い、先生が来るまで、席に着いて本を読みながら待った。


 ガラガラ


 暫くして教室の扉が開き、入ってきたのは副担任の高野先生だった。


 てっきり今日は担任の教師に会えると思っていたが、今日も高野先生なのか。大丈夫かな?


「全員席について下さい」


 高野先生に言われ、クラスの生徒達は自分の席に戻り座る。


「えっと、担任の先生になる筈だった古川先生が事故に遭い、学校に来れなくなりました。今日から私が臨時に担任となります。これからよろしくお願いします。」


 あの先生、事故に遭ったのか。


 代わりの担任が決まるまでは、2年目の高野先生が担任をやっていく訳か。


「それでは先生は入学式があるので、入学式参加希望の生徒以外は教室で自習をして下さい」


 慶は美月や咲良を見に行くそうなので、当然参加希望者だ。


 俺も入学式参加希望者なので、慶と一緒に教室を出て体育館に向かった。


 それにしても家から近いからとこの高校を受験したが、普通入学式の日に在校生は自宅学習で休みだよな。


 なのにこの高校では入学式の日も学校で自習。


 入学式が終わったら新入生だけが帰宅して、俺ら在校生はそのまま授業受ける事になる。


 俺は入学式を見に行く理由があったから良かったけど、来年がな。


 来年、春が此処の高校に受からなかったら、入学式の日は唯学校に自習をしに来る日になってしまうな。


 春、頑張ってくれよ。


ーーー


 体育館に行き、席に着く。


 新入生の入場がスタートし退屈な入学式が始まった。


 友達の妹が出ていても退屈なものはしょうがない。


 在校生の俺たちは入学式の間、特にする事が無い。

 新入生の美月や咲良の晴れ姿を眺めながらボーッとしている。


 通常通りに入学式が進んでいき、新入生の退場があり式は終わった。


「やっと終わったな」


「ああ、慶はこれから校門の方で写真を撮るんだろ?」


「母さんや美月、咲良の皆んなでな」


「俺が写真を撮ってやろうか?」


「頼むわ」


「分かった」


 慶と一緒に校門の方に行くと、既に新入生とその親達がお互い集まり、集合写真を撮り終わった所だった。

 あとは余った時間で家族写真を撮ったりする時間だ。


「人が多いな。どこに美月達が居るんだ?慶」


「校門を出た所で待ち合わせしているから大丈夫だ」


 先を歩く慶について行き校門を出ると、門の左側に3人が居たので、近づき声を掛ける。


「母さん達」


「兄さん、遅かったね。光希さんも一緒だったんですか」


「久し振りだね、美月、咲良。それと入学おめでとう。 皐月(さつき)さんもお久し振りです。」


「ありがとうございます、光希さん」


「ん、ありがとう」


「お久し振りね、光希君」


 最後の人は佐久間皐月(さつき)


 慶達の母親で見た目は美月や咲良がそのまま歳をとったような容姿をしており優しげな目が特徴的だ。


 俺は戦っているところを見た事が無いが、慶曰く薙刀の達人で強いらしい。


 やはりそこは佐久間家といったところだろうな。


「光希、さっさと終わらせて教室に戻ろう」


「わかった。では早速ですが写真を撮ってしまいましょうか」


「光希君が撮って下さるのですか?」


「まあ、その為に来たみたいなモノですからね」


「では、お願いします」


 皐月さんに渡されたデジカメで、学校をバックにして4人の写真を撮影する。


「はい、撮れました。では、俺は先に教室に戻りますので」


 俺は皐月さんにデジカメを返しす。


「ありがとう、光希君。またウチに遊びに来てね」


 実は昨日もお邪魔してました。


「わかりました」


「光希、俺も教室に戻るって! じゃあ母さん達、俺も教室に帰るから」


「それなら私達も帰りましょうか」


「うん」「ん」


 もう帰るのか。なら3人を見送ってから、教室に戻る事にしよう。


 車で帰るところを慶と一緒に見送った後、教室に戻った。






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― 新着の感想 ―
[気になる点] 文語で母さん達ならわかるのですが、口語では違和感があります。 ここでは大きめの声で声を掛けるのを想定してみて下さい。 名前も知らない人達に「君たち〜」となるのはおかしくはない、でも親…
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