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破壊と再生



「ギュヴヴヴゥゥゥ~~!!!!!!!!!!!!!」


 何とか洗剤をぶっかけてやる事が出来た。


 まあ、代償も重かったけどな。


 巨大スライムの学習能力は俺の想像を超えて早かった。


 残り後2m地点で纏っていた洗剤はもうかなり消費されて、肌が覗いている部分に当たらない事を祈りながら走っていた。


 すると、突然全身を攻撃していた筈の巨大スライムは、俺の左足だけに攻撃を集中させる。


 一瞬で何十もの攻撃をして瞬く間に洗剤の装甲を削り、左足を地面に叩きつける衝撃で押し潰した。


 左足は潰れて無くなったが、俺は何とか前に倒れ込んだ。


 スライムとの距離が0.5mになった。


 多分このスライムは洗剤の危険性を考慮して、もう間に合わないと思い、先に機動力を削ぎにきたんだろう。


 俺はこの距離なら後はぶっかけるだけだと思い、洗剤の入った袋を振りかぶる。


 すると、今度は袋を持っている俺の右手を執拗に攻撃し始めた。


 何とか投げる事に成功したが、それと同時に右腕も叩き落とされ潰れる。


 その結果。瀕死の重傷の状態から、左足と右腕を失う怪我をして絶賛死にそうになるものの、その代わり巨大スライムの方も洗剤をぶっかけられて消えていったので、相討ちという事になるな。


 俺もこの傷ならあと少しで死ぬ。


 折角、ボスを倒して玉座の場所に宝箱が出現したのに意味がなかったな。


 もう時間がない。







 あれ?


 なんか中々意識が遠くならないな。死なないのか?


 鑑定


【名前:佐々木光希

 性別:男

 年齢:16

 職業:学生

 lv:62

 スキル:鑑定偽装Ⅹ P 

     振動魔法Ⅱ A 9/100(10kHz、1/10EP)

 エクストラスキル:神眼 AP (1e8EP)

 ユニークスキル:固定ダメージ1

 HP: 6863233/8114000

 EP: 16002999/1.16008e8+5000 】


 鑑定してみて、やっと分かった。


 そうだよね。モンスターを倒したら経験値が入ってlvが上がるよな。


 それもlv99の超格上のモンスターだ。

 lvアップも沢山してHPも増えるよな!


 まあ、そのlvアップで体が治る訳では無いが、HPの総量はかなり増えた。

 一般人の8万人分以上のHP量だ。


 その上がったHPも俺が重傷な所為か、もの凄い勢いで減っていっている。

 しかし、こうしてHPが増えたお陰で、死ぬまでに時間ができた訳だ。


 もう特に痛みも感じないので、体を動かして出現した宝箱でも開けてみるのも良いかもしれない。


 折角、ボスを倒したんだから、その成果を確認してみたいしな。


 そう思い、リミッターを外すと、体を引きずりながら宝箱に近づく。


 宝箱を空間把握で調べて罠や錠がない事を確認してから、残った右足でバランスを取りながら、左手で宝箱の蓋を開ける。


 中を覗いてみると、武器や装飾品、鉱石類、布、瓶と様々な物が入っていた。


 あまり期待はしていなかったけど、その中に真っ赤な液体の入っている瓶がある。


 もしかしたらと思い鑑定すると。


【名前:回復ポーション

 状態:良

 効果:大  】


 効果が大か。これは助かる可能性が出てきたかもしれない。


 早速、ポーションを取り出すと、蓋に今出来る最大の振動魔法をかけて蓋をあけて、一気に全て飲み干す。


「ガアァァァァァァ!!!!」


 予想してたけど、痛いッ!


 身体中が再生していき、その反動で全身に激痛が走る。


 そして、俺はその痛みに我慢が出来ず意識を手放した。


ーーー


「ん、首が痛い」


 目が覚めた。


 地面が硬かったらしく首が痛くなった。


 固まった体を両腕を伸ばしてほぐす。


「長さが違うな」


 その時、両腕の袖の長さが左右で違う事に気が付いた。右腕の方は千切れたように短くなっている。


 よく見ると、ズボンの左足の方も千切れてはいないが、もうダメージズボンとは呼べないレベルでボロボロになっていた。



「そうだった」


 この広間の巨大スライムを片手片足を犠牲にして相討ちになったんだったな。


 それで回復ポーション(大)飲んで、直ぐに体が再生していくのと同時にあまりの激痛で気絶してしまった。


 神経も一緒に治ったので、腕や足を潰された時には麻痺していて無かった痛覚が戻り痛かったんだろう。


 そう言えば、潰された筈の右腕と左足の両方とも、普通に再生して治っている。


 回復ポーション(小)では骨や神経も完全には治せなかったのに、回復ポーション(大)なら例え欠損部位があっても綺麗に再生出来るようだ。


 瀕死のあの状態からここまで回復するのなら、死なない限りは大丈夫な万能薬だと思っていて良さそうだ。


 天眼で見てみる体のどこにも異常は無さそうだった。

 その代わり服の方はボロボロで血がべっとりついているから、さっさと着替えるか。


 マジックポーチから、ペットボトルの水、タオル、着替えを取り出す。


 今着ている服を脱いでから、タオルを水で濡らして体の血を拭いていき、ある程度拭き終わったら取り出した服を着る。


 後は服や余った洗剤をマジックポーチに入れてこの広間から出る。


 ボスを倒したから、ちゃんと扉も空いているみたいだしな。


「おっと、忘れるところだった」


 まだ、宝箱の中身を回収していなかった。


 宝箱の所に戻り、中に入っているアイテムを片っ端からマジックポーチに詰めていく。


 数が多いので、今は鑑定せず、また今度暇な時にでもゆっくりと調べる事にするか。


 広間から出たが、試練の扉が閉じる様子はなかった。


 確か、鑑定。


【名前:供物の杯

 条件: 0/10000

 効果:扉の開閉  】


 そうそう、供物の杯の効果は扉の開閉。

 開けるだけじゃなく閉じるのにも捧げものが必要だという話だったな。


 しかも今度はヒントとして黒い小石が供物の杯に入っているなんて事無い。

 

 また挑戦したいのなら地道に集めて、扉を閉じてから再度開くって面倒な事をしないといけないみたいだ。


【名前:試練の扉

 条件:供物の杯

 効果:挑戦    】


 未だ効果に挑戦があるって事は、また挑む事も出来る筈だ。


 多分、1度扉を閉じる事でリセットされて、ボスの巨大スライムがリポップするんだろうな。


 さて、ダンジョンを出て、一回ゆっくりと休む事にしようか。


 流石に今日は精神的に疲れた。


 

 

 


 

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