女子に叫ばれる
チキン南蛮弁当、普通に美味しい。
ここ2日は連続で俺はサラダサンドを食べていたから、肉メインの料理を食べるのは久しぶりだった。
主にウルフダンジョンの所為でな。
ーーー
弁当を食べ終わり、今はお茶を飲んで一息ついていた。
さて、そろそろ俺もダンジョンに入ろうか。
今日で1階層の地図を完成させてしまおう。
最初に凛とこのダンジョンに入った時にダンジョン内を結構なスピードで走り回る事が出来たので、今日はその時の機動力を活かして地図を埋めていこうと思っている。
lv62の身体能力で走った時の歩幅がどの程度なのか測る。
この歩測で地図を描けば、走りながらでも地図を作る事が出来るな。
それにしてもスライムダンジョンの時も思ったが、ダンジョンは基本通路だけで隠し部屋とかが見つからないと殺風景で詰まらないんだよな。
だから、こう言った面倒な地図制作は一気に終わらせてしまおう。
特に準備する物は無いので、着替えてからダンジョンに入った。
ーーー
俺はダンジョン内のウルフを無視して、ひたすらに走りまくる。
正確には走った場所を記憶して覚えられる限界になると、立ち止まり地図を描いてまた走るを繰り返していった。
結構な頻度でウルフを避ける事に失敗して、現在血濡れ状態なんだけどな。
風を切るならぬウルフを轢き殺して走っている。
地図も折角綺麗な白い紙に写したのに、今ではまた赤い紙に逆戻りしている。
まあ、ちゃんと地図として使えるから問題が無いんだけど。
さて、どのくらいの時間が経ったのか分からないが、1階層の地図の8割方を完成させた。
頭が疲れるな。
幾らlvを上げても身体能力は上がるが脳のスペックは変わりない。
ハイスピードで動き続ける事は出来ても、考え事や計算、暗記みたいな事をすれば普通に頭が疲れた。
休憩しようか。それともさっさと終わらせるべきだろうか。
残り2割の内1割はスライムダンジョンと同じように隠し部屋で、あとの1割は美月達が居るだろう場所付近だ。
万が一ぶつかってウルフと同じ末路にならないよう気配感知に人の気配が入ったら方向転換して避けて地図を作っていた。
だから、その人の気配があった付近だけは、まだ地図を埋める事が出来ていない。
頭は休めるだけで良いなら、歩いて残り1割の場所の地図を完成させるか。
ーーー
残り1割の場所に到着すると神眼の気配感知に前方から人の気配が3つ近づいてきているのが分かった。
このまま行けば、直ぐに鉢合わせるな。
「何か来ますね」
「ん」
「この気配は」
3人の声が聞こえてきてLEDランタンの光も見えるので、既にこちらからは視認出来ている。
凛もLEDランタンを買った様だな。ヘッドライトは兎も角、LEDランタンは比較的簡単に手に入るからな。
俺はそのまま進んでいき3人にも俺の姿が見えるくらいに近づくと。
「キャアーー!!」
俺の姿を見た瞬間、美月は悲鳴を上げ咲良は青い顔で後退りして、俺に気付いていた様な凛でさえビクッと身体を震わせていた。
「俺だ。慶の友達光希だ」
「「え?」」
「やはり、そうですよね」
俺が声を掛けると、美月と咲良も呆気に取られてぽかんっとした表情をしていたが、凛だけは納得していた。
ーーー
3人とも落ち着きを取り戻した様なので、どうして俺を見てあんな反応をしたのかを聞こう。
自分達以外に人がいるとは思っていなかった訳では無いだろうしな。
「で、結局3人はどうして俺を見て驚いたりしたんだ?」
3人にそう聞くと、3人はお互いに顔を見合わせながらこの人そんな事も分からないの?と言う被害妄想をしてしまいそうになるくらい困った表情をした。
少しして、代表として凛が俺に何かを言うようで、一歩俺に近づいてスマホで俺の写真を撮る。
そして、撮影した写真を俺に見せてきた。
そこに写っていたのは、身体中真っ赤で今もに血が滴りそうな人型の何かがいた。
いや、実際には今現在も血が滴り落ちていて、人型の何かというか俺なんだけどな。
成る程、確かにこんな奴がいきなり暗闇から出てきたらホラーだな。それは驚くわ。
俺なら手を出していたかもしれない。
これはダンジョン内にも拘らず、唯驚くだけだった3人には感謝しないといけないかもな。
いや、少しは攻撃的であった方が良かったのか?
ダンジョン内で未知のモンスターに遭遇した時の事を考えればな。
「状況は分かった」
「先輩は今日も血塗れですね」
「ああ、今頑張って地図を作っている。まあ、その所為でまた地図が真っ赤になっているんだけどな」
「光希さんは今日はいつからダンジョンに入っているんですか?」
「4時半くらいからで君達よりは遅いよ」
「ん、咲良達は4時集合」
「早いな。まあ、一人でダンジョンに入っていなくて安心したよ。出来れば春とも積極的にダンジョンに行ってほしい」
「分かっています」「ん」「はい」
「そうか、なら安心だ。じゃあ、3人ともダンジョン探索気を付けてな。俺は地図制作に戻る」
そう言って会話を切り上げて3人の横を通り過ぎた。
「はい。先輩も気をつけて」「気を付けて下さい」「ん」
俺は3人と別れ、当初の目的である地図完成を目指す。




