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亜人戦争  作者: ノーパクリ・ノーオマージュ
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3 プラン確認

「ウィル曹長」

「なんだ、リリー一等軍曹」


 腐れオペレーターとのやり取りに半笑いながらも、リリーが階級付けで俺に声を掛けてきたので、任務上の話と判断し、俺も部下に対する応答をする。


「プランの確認を」

「……そうだな」

 リリーの提案に俺は少考し頷く。


 移動中の機内でブリーフィングは済ませていたが、やることのない道程。加えて今は現場を視認できている。ここで再確認も悪くない。


「それではこれより本任務の再確認を行う」

「「イエッサー」」「はーい」

 若干一名、おかしなシャルが混ざっているが、面倒なので無視無視。一度確認は済ませているし、いざとなれば役割は果たすので良しとしよう。


「本任務の目標は、今後予測される密入国者の捕縛だ。

 多くの国民にとってクリスマス休暇の始まり、1220・0812、24名の越境、本国への侵入を監視衛星が確認。

 国境警備隊も対応に動いたが、密入国者の少ないカナダ国境側、加えて雪に覆われたロッキー山脈という想定外のルートからの侵入だったため、密入国及び逃走を許した。

 続く1221・2032、1222・1212、1223・1532、それぞれ別ルートでの30、48、12名の密入国を確認。

 極めつけは昨夜、1224、2228、ロッキー山脈全域で600名の密入国を確認。

 以上が現在の状況だ」


 物騒極まりない俺の報告に、明らかに場の空気が重くなった。


「完全に異常事態じゃないですか。国境警備隊は何してたんですか」

 流石にシャルの口調も苦々しい。


「元々、ほとんどがメキシコ国境側に張り付いてるからな。カナダ側のこっちは手薄も手薄。さらにクリスマス休暇でフルセットだ」


「そうは言っても、対応位したんじゃないですか?」

 リリーが追質問してくる。わかってるくせに、状況確認・共有といったところか。


「したらしいが、まずは雪山装備を確認するところから始まってるからな。そんな状況の国境警備隊に対して、向こうはロッキー山脈全域からの侵入。そこにクリスマスイブだ。できる限りの増員は試みたらしいが、それも600名の侵入に対しては雀の涙ってなもんだろうな」


「……目的は? それだけいれば何人かは捕まえたんじゃ」

 恐る恐るといった感じでソフィも質問してくる。こちらもわかっているはずだが、一応ブリーフィングに参加しなければとでも思ったのだろうか。


「それが余計に怖いところだが、国境警備隊では誰一人捕縛できなかったらしい」

 俺の回答に、いよいよ全員が押し黙る。


 それはそうだろう。一応とはいえ警戒を強めたところにそれだけの密入国者がいたにも関わらず一人も捕縛できなかった。これはもう国境警備隊がどうのといったレベルの話ではなく、相手がそういう相手だった、ということだ。


「もう察しはついているだろうが、雪山という侵入経路にも関わらず短い移動時間、国境警備隊が一人も捕縛できなかった事実からも、密入国者の大多数、もしくは全てが亜人と推定されている」


 亜人。

 前世紀中頃、世紀の大天才ナイト兄弟が生み出した人類と他の生物の遺伝子を組み合わせることで生み出された、人類を超えた身体的能力とアニマ能力を有する新たな生命体。そして、俺達のご同類。


「……ま、私達が呼ばれてるってことはそういうことでしょ」

 シャルが嘯く。さもありなん。亜人に対応するための亜人による部隊。それが俺達だ。


「……それだけの亜人が動くなんて、目的は何なんでしょう」

 もっともな疑問を呈して、不安げにソフィは俯く。


「国境警備隊に一人も捕縛されない練度の統率された集団、しかもこれだけ大規模な作戦行動だ。カウントダウンライブに参加したいってわけじゃないのは確かだろうな」

 重い空気を和まそうと小粋なジョークに肩を竦めてみたのだが、誰も反応してくれない。

 おい、こいつらホントに俺の部下かよ。上官を何だと思ってるんだ。


「敢えて亜人の監視が厳しいアメリカに密入国してるんだから、ろくな話じゃないのは確かよね」

 と、俺を無視したシャルが言えば、


「亜人宣言のあった1月20日まで一月ありません。加えて今は、大統領選挙中」

 リリーも応じたので、


「ちなみに、次の大統領就任演説日は亜人宣言から40周年に当たるらしいぞ」

 俺が止めを刺してみた。


 結果、ソフィの不安顔がヤバい。

 そりゃそうだろう。ソフィじゃなくたって、こんなの嫌な予感しかしない。あと俺達亜人の勘はよく当たるってのが、ますますヤバい。


「ま、それを確かめるための俺達の任務だ。次の密入国者は必ず生かして捕えろとの命令だ」


 不吉のオンパレードを断ち切るように、俺は軽く肩を竦めてプラン目標をまとめた。


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