儚き瓶
遠い世界の どこかには
ボトルの中に 夢がある
幸せ詰めた ボトルたち
きらきら光る 人の夢
夢のボトルと 売る人の
噂は野を超え 山を越え
旅人が来た はるばると
誰かの夢を 知りたくて
夢のボトルは 渡される
誰かの夢は 取引で
いともたやすく渡される
とても値段が 安いから
他人の夢の 価値なんて
金にも成りはしないのさ
人の思いも 信念も
端から見れば 妄想だ
笑って言った その男
ボトルを投げて 手渡した
旅人がフタを 開けたとき
光る夢たちが 飛び出した
――――――――――――
大きくなったら、探検家になるんだ。
皆が知らない宝を、僕が探すんだ!
「いつまで夢を見ているんだ?」
「真面目に将来に向き合うんだ」
…僕は…「」を…
「私たちはただ、お前に
幸せに生きてほしいだけなんだ」
…
――――――――――――
夢はきらきら 輝いて
きらきら消えて無くなった
ボトルの中の あの香り
どこかで感じたあの香り
「夢はこれで終わりだ。つまんないだろ?他人の夢は。
…ところでアンタ探検家か?違うよな。
何でここが分かったんだ?」
僕は捨てた。捨てたんだ。
夢は脆いし、届かない。
夢は誰かを傷つける。
なのにどうして。