決意
皆様、お久しぶりです(*^^*)
かなり間を開けてしまい申し訳ないです!
これからもまったりではありますが、進めていきたいと思います。
拙いですが、楽しんで貰えたら幸いですm(*_ _)m
私は思考する事を諦めて、目の前のドラゴンと魔力が完全に回復するまで雑談をする事にした。
ドラゴンの話を聞いているとどうやらこのドラゴンは世界最古のドラゴンで、3つの大陸に分かれてドラゴン達をまとめている3匹の長のうちの1匹であったらしい。
話を聞くところによると、ドラゴンには3種類あり、1つ目は彼らのような大きな翼を持ち地上に群れで生活し、火と風を操る天空の覇者、火龍。
2つ目は、鋭い鉤爪を持ち深海に住み、水と気候を操る海の王者、水龍。
3つ目は、頭に大きな角を持ち地底を住処にして大地と自然を操る大地の支配者、地龍。
その3部族が空、海、地の頂点に立ち、生物の均衡を保ち環境を守っているのだと。
「だから吾輩らは、強くならねばいけぬのだ。全ては世界の均衡を保つために…。だが、最近、その均衡を崩しかねないことが起こっておる」
「それはどういうこと?」
「…この世界に住む生物が突然死し、さらには自然界が汚染され死に絶えていっている」
「え。それはどうして?」
「ふむ、それは長年生きてきた吾輩でもわからん。だが、これだけは言える。先程、そなたが亜空間に閉じ込めたあの黒いやつが関係している」
「あの黒いのが?」
「うむ、同胞の亡骸やあの禍々しい魔力を見ればわかる。そなたのような綺麗な魔力であれば、強くとも周囲に害はない。だが、やつのような禍々しい魔力であれば命あるもの全てに害を及ぼす。生物も自然もだ」
「でも、もう亜空間に閉じ込めて倒したから大丈夫じゃない?」
「…いや、そうとも言いきれない。先程の戦った場所を見よ」
私は先程まで戦った場所に目を移す。
少しだけ地面がえぐれ、薄黒く汚れている。
私には普通に見え首を傾げた。
「場所を見るのではなく、魔力の流れや質を見るのだ」
その言葉から私は目を閉じ魔力を感じ取っていく。
するとドラゴンや私などの生物は白、壁や地面は灰色に見えた。
そんな白と灰色の世界の中で唯一の違和感。
それはさっき戦った場所だ。
灰色に見えるはずが、そこだけ黒と混じりあうような渦が発生していた。
その黒色は僅かではあったが黒い霧のようなものが流れ出ており、それが地面に吸収されていた。
「あの黒いのは何?」
「白は神の庇護の下、生命を与えられたもの。灰色はそれらによって作り出されたもの。そして黒は…神の庇護から外されたもの。吾輩らはそれを“穢れ”と呼んでいる。それがまだあるということは、まだ先程の穢れの本体が生きている証拠だ」
「うそっ!?!?」
だって、私の全力の雷を受けて、さらに亜空間に閉じ込めて消したのに、それがまだ生きてる?
それが本当だとしたら、私ですら倒せないのだからこの世界の人達に倒せる術はほぼ無いのではないに等しいのではないのか。
その事実に驚愕し顔を青くしていると、ドラゴンがゆっくりと口を開く。
「穢れを倒す術はあるにはある」
「!!!!?それは!!?どんな方法!!!?」
目を伏せドラゴンは首を振る。
その様子に私は意味がわからなかった。
まるでその方法に期待などしていないといった様子だったから。
「だが、可能性は限りなく低く無いに等しいのだ」
「それでも!!方法を知らなければ私も協力のしようがないわ!!」
「…この話を聞いて絶望するかもしれないぞ?」
「それを決めるのは私よ。他の誰でもない私の感情よ」
「…強いな、そなたは。私より心も身体も遥かに。良いだろう。教えよう、他でもないそなただから」
さっきの暗い表情から元気を取り戻したように暖かい瞳で私に微笑んだ。
「穢れを消し去る方法はただ1つ。7つの最上級の称号を持つ7人を見つけ戦うのだ」
「7つの最上級の称号?」
「うむ、そしてスゥよ。そなたはそれらのうち、1つを得ているはずだ」
「…え?」
「穢れは上級以上の称号持ちにしかダメージを与えることは出来ない。しかし、スゥはあの穢れを瀕死まで追い込んだ。それ即ち、そなたが最上級の称号を所持している証拠だ」
穢れにそんな条件があったなんて…。
知るよしも無かったのだから、仕方がないが。
「…そうね。私はきっと最上級の称号を持っているわ。それを例え貴方であっても言えないけれど」
「それで良い。むしろ、それが普通なのだ。称号を周囲に広める事は、あまりいいことでは無い。下手をすれば我が身を滅ぼしかねないからな」
「その通りね」
周囲に得意なことを知らせることは、誰かを助けるためにとても必要ではある。
でも、同時に対策を取られたり、称号による周囲からの重圧に晒されてしまったりする。
だから、この世界の人々は自分の称号を人に伝えている人は少ない。
生産系や医療系の称号は開示をする人が多いが、開示をする事で他者からの信頼が厚くなるのでメリットはある。
「それで?7つの最上級の称号って?」
「圧倒的叡智を持つ、賢者。武の道の頂点、剣聖。癒しの象徴、聖女。魔を滅する者、勇者。魔を統べる者、魔王。全ての生物を使役し呼び出せる、召喚術士。そして、数万年に1度現れるはずの巫女。この7つが最上級の称号であるが…どうした?顔が引きっておるが…」
うん。この称号たちがチートなのは分かってたし、もしかしたらなぁって思ってたから10,000歩譲って賢者、剣聖、聖女、勇者は諦めよう。
でもさ!その他3つの称号よ!!
ただでさえ、勇者の倍加のせいでステータス異常だから、たぶん、魔王を獲得するためのステータスは既に持ってる。
まだ魔族と交流を持ってない事だけが救いだけど…。
召喚術士って…。全てだから私とは違うけど、目の前のドラゴンの長と契約した私は、生物最強の一角を使役することが出来る。ベースが出来てしまってるし…。
最後の巫女に関しては、称号は無いけど十中八九私なのではないのかと疑ってしまう。まぁ、この世界にいるはずのちぃなのかもしれないけど、ちぃは前世の記憶すらないと聞いたから、たぶん私だろう。ただ、何かしらの条件を満たしていないだけで。
「はぁ〜〜〜っ」
この世界に来て、初めて大きなため息をついた私を、ドラゴンの長が心配そうに見つめながら、気まずそうに話しかける。
「…大丈夫か?まぁ…なんだ、そなた以外にも仲間がいるはずだ。しかし、女子であるから他の者よりも多くの危険に晒され、吾輩だけの絆だけではそなたの安全を保証は出来ぬだろう。そこでだ。吾輩だけでなく、水龍、地龍の長の絆を得るのだ。そしてそれは、そなたの力を高め、全ての願いを叶える手段となるだろう」
全ての願いを叶える手段か…。
旅をすればちーに会える確率も上がるし、力を高めることが出来るならこの理不尽な世界の被害者である不細工たちを救うことが出来るだろう。
それならば、私のやることはひとつだ。
「…うん、わかった。やれるだけやってみる」
心残りと言えば、従業員の皆やこれまで知り合ってきた沢山の不細工さん達と会える回数がどうしても減ってしまう事だろうか。
加えて、もしも最上級の称号全てを私が獲得していた場合、下手をすれば私一人であの穢れと戦わなくてはならない。
それはいくら私でも怖い…。
となれば…
「上級以上の称号を持っている人を探して仲間にしなくてはならないのね…」
「女子に酷な事を頼んでしまってすまない…。吾輩に出来ることなら何でも手伝おう」
鋭くも優しさの込められた真剣な眼差しで、私を見つめる姿はとても凛々しく美しかった。
私はこの世界に来て、多くの人から幸せを貰った。
日本で失ったはずの幸せを。
だからこそ、私は強く決意した。
この世界を穢れから守ってみせる。何があっても。
私が得たこの世界での幸せを奪われないように。
次回、2章になります!




